日本ダービー 2019【名馬列伝】元年の奇跡。

「芦毛の怪物」この代名詞を聞いて、貴公はどの芦毛を真っ先に連想するだろうか？年号が昭和から平成に変わったこの年、中央競馬には一大ブームが訪れていた。

その大ブームの牽引役となっていたのは、あの「平成三強」オグリキャップ・スーパークリーク・イナリワンによる壮絶な死闘。そして、まだ若かりし頃の天才・武豊を中心とする若手騎手の活躍であった。

そんなムーブメントの中、ある１頭の芦毛の馬が「平成元年の日本ダービー」で歴史を作ろうとしていた。

時は平成元年の89年。競馬がまだフルゲート24頭立てで行われていたこの時代。平成元年の日本ダービーは、なんと皐月賞馬が４人気になってしまうほど、史上稀に見る大混戦となっていた。どの紙面を見ても「主役不在」の４文字が並ぶ。しかし、そのタイトルに対し、荒れ狂う１頭の芦毛馬が異議を唱えたのだ。

　「主役不在？それがなんだ？」

その馬名に刻まれた想いは「勝ってココへ戻ってこい。」そんな熱い思いと願いが込められた馬と人のバトンリレー。

熱い想いを込められた彼の名前は、この競馬の祭典で一番強く輝いた。時代の扉をこじ開けた魂の雄叫びを私は見た。

さぁ、令和最初の

「ウィナーズサークル」に

戻ってくるのは、一体誰だ？

（作：真田 幸太郎）