こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】ジャパンカップ 2021 における勝負の明暗
【12R】 第41回ジャパンカップ
3歳以上・オープン・G1(定量) (国際)(指定) 芝 2400m 18頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 単勝 | 体重 | ± | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 2 | コントレイル | 牡4 | 57 | 福永祐一 | 2.24.7 | 08-07-08-08 | 33.7 | 1 | 1.6 | 456 | -8 | (栗)矢作芳人 | |
2 | 4 | 7 | オーソリティ | 牡4 | 57 | ルメール | 2.25.0 | 2 | 05-04-05-02 | 34.4 | 3 | 7.1 | 520 | +2 | (美)木村哲也 |
3 | 2 | 4 | シャフリヤール | 牡3 | 55 | 川田将雅 | 2.25.2 | 1 1/2 | 05-05-06-05 | 34.4 | 2 | 3.7 | 446 | -6 | (栗)藤原英昭 |
4 | 6 | 12 | サンレイポケット | 牡6 | 57 | 鮫島克駿 | 2.25.4 | 3/4 | 04-06-06-07 | 34.5 | 10 | 70.5 | 474 | +2 | (栗)高橋義忠 |
5 | 3 | 6 | グランドグローリー | 牝5 | 55 | C.デム | 2.25.5 | 3/4 | 09-09-09-09 | 34.2 | 8 | 56.6 | 466 | [外]ビエトリ | |
6 | 7 | 14 | ユーバーレーベン | 牝3 | 53 | M.デム | 2.25.5 | クビ | 07-08-09-09 | 34.2 | 5 | 25.5 | 472 | +8 | (美)手塚貴久 |
7 | 6 | 11 | シャドウディーヴァ | 牝5 | 55 | 横山典弘 | 2.25.6 | 1/2 | 03-02-03-05 | 34.8 | 11 | 76.4 | 478 | -4 | (美)斎藤誠 |
8 | 8 | 18 | ジャパン | 牡5 | 57 | 武豊 | 2.25.7 | クビ | 11-12-11-12 | 34.3 | 9 | 59.3 | 482 | *[外]オブライ | |
9 | 5 | 9 | アリストテレス | 牡4 | 57 | 横山武史 | 2.25.8 | 1 | 01-01-02-02 | 35.3 | 4 | 20.5 | 480 | +8 | (栗)音無秀孝 |
10 | 3 | 5 | キセキ | 牡7 | 57 | 和田竜二 | 2.26.0 | 1 | 18-14-01-01 | 36.6 | 7 | 37.4 | 512 | +6 | (栗)辻野泰之 |
11 | 2 | 3 | ブルーム | 牡5 | 57 | ムーア | 2.26.1 | 1/2 | 14-11-11-09 | 34.8 | 6 | 29.0 | 464 | *[外]オブライ | |
12 | 8 | 16 | ユーキャンスマイル | 牡6 | 57 | 藤岡佑介 | 2.26.2 | 1 | 13-14-13-12 | 34.7 | 14 | 240.1 | 506 | +6 | *(栗)友道康夫 |
13 | 7 | 13 | モズベッロ | 牡5 | 57 | 池添謙一 | 2.26.5 | 1 1/2 | 14-14-16-15 | 34.8 | 16 | 278.8 | 488 | +6 | (栗)森田直行 |
14 | 7 | 15 | マカヒキ | 牡8 | 57 | 藤岡康太 | 2.26.5 | クビ | 12-14-16-15 | 34.9 | 12 | 76.9 | 508 | +2 | *(栗)友道康夫 |
15 | 5 | 10 | ロードマイウェイ | 牡5 | 57 | 三浦皇成 | 2.27.0 | 3 | 16-12-13-12 | 35.5 | 18 | 397.5 | 474 | +4 | (栗)杉山晴紀 |
16 | B1 | 1 | ムイトオブリガード | 牡7 | 57 | 柴田善臣 | 2.27.0 | クビ | 16-18-18-18 | 35.1 | 15 | 258.8 | 490 | -2 | (栗)角田晃一 |
17 | B4 | 8 | ウインドジャマー | セ4 | 57 | 北村宏司 | 2.27.0 | 頭 | 09-09-15-15 | 35.4 | 17 | 311.5 | 508 | -2 | (美)藤沢和雄 |
18 | 8 | 17 | ワグネリアン | 牡6 | 57 | 戸崎圭太 | 2.27.1 | クビ | 02-02-03-02 | 36.6 | 13 | 94.6 | 464 | -2 | *(栗)友道康夫 |
ありがとうコントレイル
今回の【ジャパンカップ】に関しては、どの馬が強かったとか、あそこがポイントだったとか、細かいことを語る必要などないだろう。
この2年間、競馬界の主役を担い続けてくれたコントレイル!
彼に対する感謝の思い、それだけを書けば十分ではないか。
考えてみてほしい。
確かに、シンボリルドルフもディープインパクトもオルフェーヴルも強かった。
単純な走りのインパクトという意味では、上記面々にはかなわなかったかもしれない。
それでも、コントレイルだけは、日本競馬史上で例を見ない
なのだ。
競馬界には「コントレイルがいた」
共に3冠を獲得したパートナーの福永騎手は、コントレイルに対して、次のような旨の話をしている。
まさしくその通りだと思う。
コロナが問題になり始めた、昨年の春を思い出してみよう。
様々なイベントが中止になった。世界的イベントの東京五輪でさえ延期になった。
この先コロナ問題がどうなったいくのか?誰にも想像できない状況だった。
だが!競馬界にはコントレイルがいた!
現代の競馬ファンにとっては、桁違いに思い入れのあるディープインパクト、その息子であるコントレイルが、父に続いて無敗の3冠ロードを駆け出し始めたのだ!
競馬界に、そして競馬ファンに光が差さないはずはなかった。
彼の周りは、常ににぎやかだった
そんなコントレイルは、ただ強かっただけの馬ではない。
勝ち続けた3冠ロードもそうだが、その後の敗れたレースも含め、彼が出走するレースはいつでもにぎやかだった。
例えば、昨年の【ジャパンカップ】は、史上初めて、3冠馬3頭の激突で「100年に一度の大一番」とも呼ばれた。
また、今回の【ジャパンカップ】は4世代のダービー馬の激突となった。
コントレイルが行くところに、常に話題あり!
それこそが、ただ強いだけの馬ではなく
であることの証明だったのかもしれない。
主役であり続けた
さて、常に話題が集まる戦いの中、コントレイルは主役であり続けた。
昨年の【ジャパンカップ】を除く全てのレースで1番人気の支持。
(そのジャパンカップもアーモンドアイに続く2番人気で単勝2.8倍)
主役に推されるということは、ライバルたちからのマークを集めるということでもある。
コントレイルにとっては(もちろん鞍上も)楽しめるレースなど一度もなかっただろう。
厳しい位置に押し込められて、心が折れかけたこともあるかもしれない。
だが、コントレイルは、どういった状況下でも、決して圏外へは落ちなかった。
デビューから引退まで、全て3着以内!
この点を、私たち競馬を愛する人間は、もう少し高く評価すべきではないだろうか。
崩れないことの価値
コントレイルは、ファンからの厳しい評価をされ続けた馬でもある。
【大阪杯】で3着に【天皇賞秋】で2着に負けたこと。
また、同世代の馬の苦戦が続いたことなどから
「コントレイルは世代に恵まれた3冠馬ではないのか?」
といった声が数多くあがった。私もSNS上などで何度もそういった声を目にしたことがある。
だが、私は予想家として長年競馬の世界を見てきた中で
と感じてきた。
馬も生き物だ。常に絶好調でいる方が難しい。
人間だってそうだ。あの大谷選手でさえ、後半戦は打てずに苦しんだ時期があった。
コントレイルはそれでも頑張り続けた!
そこに「心身両面での真の強さ」を感じてほしい。
多くの競馬ファンがこうした見方をできるようになれば、もっと皆が競馬を楽しめ、また穏やかな心でいられるのではないだろうか。
思いの詰まった福永騎手のコメント
私に言わせれば、本来の価値と比べて、不当に叩かれたコントレイル。
誰よりもそれをわかっているのが福永騎手自身であり、騎手仲間だろう。
だからこそ、福永騎手はレース後に涙を流しながら、全ての思いを込めて
と語ったに違いない。
また、そんな福永騎手に対して、かつての先輩である藤田伸二元騎手は次のようなツイートをしていた。
天晴れ祐一❗️
感動した?
物凄いプレッシャーだったろう…素晴らしいレースを魅せてもらったよ?
— 藤田 伸二 (@FujitaOfficial) November 28, 2021
元々、藤田伸二元騎手は「騎手としての」福永騎手をそれほど高くは評価していない部分があったはず。
だが、そういったこと抜きに、元騎手だからこそ、福永騎手の置かれた立場、コントレイルが歩んできて苦しい軌跡を十分に理解していたのだろう。
その思いが、レース後のツイートに繋がったに違いない。
これで終わりじゃない
そんなコントレイルも、いよいよ来年からは種牡馬生活がスタートする。
レース後、福永騎手は
と語っていたが、父ディープインパクトの後継としての期待は非常に大きくなる。
個人的には、かなり成功する可能性が高いとみている。
というのも、やはり現代の競馬界は「早熟」の血が求められやすい。
わかりやすく言えば「早い段階で金になってくれる馬でなければ維持できない」という願いが馬主側にある。
その点コントレイルは【東スポ杯2歳S】で桁違いの走りをし、3歳時に3冠を獲得した。
こうした背景があるだけに、良質な牝馬が集まるとみた!
また、コントレイルは2400Mも強いが、本質的には2000M付近がベストだと言われてきた馬。
産駒にも、幅広い距離適性が伝わると推測できる。
コントレイルの夢の続きは、まるで飛行機雲のように、どこまでも続いていくはずだ!
現役時代に続いて、種牡馬としても父に続く大活躍を見せてくれることを心から願いながら、今回のコラムを締めくくらせてもらおう。
レースを見逃した方はコチラ
【みんなのKEIBA 次回12月5日(日)午後3時】
史上初のダービー馬4頭の激突!
海外G1馬3頭参戦!
そして、令和の3冠馬コントレイルのLASTラン!
熱い視線が注がれた「ジャパンC・GⅠ」は
コントレイルが人気に応え見事有終の美!2着に3人気の⑦オーソリティ
3着に2人気の④シャフリヤール pic.twitter.com/BvIxruj26D— フジテレビ競馬 (@fujitvkeiba) November 28, 2021
【ジャパンカップ 2021】のレース後の関係者のコメント
1着 コントレイル(福永祐一騎手)
「今日で終わりだと思うとこみ上げるものがありますが、本当に立派でした。立派な走りをしてくれました。デビュー前から何事もなく順調に来た馬ではなかったですし、引退する今日までそういった不安を抱えながらずっと走っていたのですが、そういうことも今日乗り越えて本当に立派な走りをしてくれました。今日は非常に良いポジションでレースが出来ましたし、あとは馬を信じる以外は何もしていないです。今までの2年2カ月は夢のような時間でした。今までのジョッキー人生のすべてをあの馬に注ぎ込みましたし、それに応えてくれましたし、素晴らしい馬と巡り合えました。感謝しかないです。ラストランを本当に無事終えることができて、次のキャリアに無事送り出すことができてそこが一番です。課題のスタートもクリアして言うことないです。完璧でした。コロナ禍の中生まれた三冠馬で、鬱屈とした世の中に光を差し込んでくれた馬だと思います。無観客の中、ダービーまでは行われましたが、最後は制限付きながらお客さんの前で雄姿を見せることができて、本当に心から良かったと思います。またこれから種牡馬としてさらに重要な役割を担わなければなりませんが、そこも含めて今後とも応援して頂ければと思います」
(矢作芳人調教師)
「ホッとした気持ちと寂しい気持ちに挟まれています。展開的に厳しいレースになり、道中ヒヤヒヤしましたが、最後にこの馬の強さを見せることができ感激しています。ゲートを出て安心しました。もう少し良い位置を取る作戦でしたが、以前より行かなくなったのかペースを聞いた時位置が良くないなと思いました。今日は究極に仕上がってその通りのパフォーマンスだったと思います。ここまでプレッシャーとの戦いでした。よくぞうちの厩舎に来てくれました。感謝しかありません。コントレイルの子供で凱旋門賞を取りたいと思います」
((株)ノースヒルズ前田代表)
「感無量です。今日ほどの感動はありません。3回負けましたがそれぞれ要因がありますし、この成績は凄い名馬の証であり言うことはありません。パドックで馬を見て今日はやってくれると思いましたし、4コーナーを回った時絶対負けないと思いました。これで種牡馬になりますが、コントレイルに負けない馬を作って欲しいですね。コントレイルの子でダービー、ジャパンカップを獲りたいです。矢作厩舎に預けたからこそこういう馬になったと思います」
2着 オーソリティ(C.ルメール騎手)
「4番手から完璧な競馬が出来ました。精一杯走っていますが、坂を上がって疲れました。勝ち馬はめちゃくちゃ強いです」
(木村哲也調教師)
「スローペースでしたが、しっかりコントロールできていました。1コーナーでトラブルがありましたが、精神的に巻き込まれず我慢してくれました。最後は脚が鈍っているところは、アルゼンチン共和国杯の時と走り方が違っていました。この3週間で調教の感じが良くなかったのか、2度とこういうことをしないようにしたいです。それでも馬はよく頑張ってくれています」
3着 シャフリヤール(川田将雅騎手)
「目の前にはオーソリティ、後ろにはコントレイルがいて3歳馬ですが年長の馬を相手に一生懸命頑張っています。来年はさらに良い走りが出来ればと思います」
(藤原英昭調教師)
「1コーナーで他に入られて、ラチをこすってストレスがかかっていました。完全に三冠馬は強かったです。よく食らいついてくれました。競馬としては完璧に乗ってくれています。課題は見つかりましたが、今後も成長させてしっかり馬を作っていきたいです。今日は貴重な経験になりました」
4着 サンレイポケット(鮫島克駿騎手)
「一日馬場を見ていた感触で、道中はインを通ることを選択しました。直線では上位3頭に迫る脚を使っています。天皇賞秋もそうでしたが、強い相手に頑張っていながらその一角を崩せないのは私の技術不足です。馬は良い走りをしています」
5着 グランドグローリー(C.デムーロ騎手)
「良いスタートを切り、コントレイルを見ながら運べる理想的なポジションを取れました。2コーナーでの不利は痛かったものの、最後まで気持ちを切らさず素晴らしい走りを見せてくれました」
(ジャンルカ・ビエトリーニ調教師)
「5着という結果に非常に満足しています。馬が内によれてバランスを崩したように見えましたが、クリスチャンが直線で立て直してくれました。この馬はとてもメンタルの強い馬です。ジャパンカップに参戦できたことはとてもいい経験になりましたし、素晴らしいレースですのでまた別の馬で参戦したいです」
6着 ユーバーレーベン(M.デムーロ騎手)
「前走よりやる気があってオークスくらいの気配でした。勝ち馬の後ろでじっくり進めましたが、3、4コーナーからのプレッシャーがきつく直線も進路取りがタイトでした。スムーズだったら5着はあったと思います」
8着 ジャパン(パトリック・キーティング調教助手)
「馬場はこの馬にはちょっと速かったかもしれません。スタート後は良い位置を取れましたが、途中でついて行けなくなったようです」
9着 アリストテレス(横山武史騎手)
「行けるなら行こうと思っていましたし、途中から捲られても大丈夫でした。反応も良かったです。ただ終いはきつくなってしまいました」
11着 ブルーム(R.ムーア騎手)
「スタートで出遅れてしまいました。ペースは遅かったですが、最後は伸びませんでした」
(パトリック・キーティング調教助手)
「出遅れが痛かったです」
(via ラジオNIKKEI )
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