こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】阪神カップ 2021 における勝負の明暗
【11R】 第16回阪神カップ
3歳以上・オープン・G2(定量) (国際)(特指) 芝・内 1400m 18頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 単勝 | 体重 | ± | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | 12 | グレナディアガーズ | 牡3 | 56 | C.デム | 1.20.3 | 10-10 | 34.0 | 3 | 5.0 | 468 | +2 | *(栗)中内田充 | |
2 | 2 | 3 | ホウオウアマゾン | 牡3 | 56 | 坂井瑠星 | 1.20.6 | 1 1/2 | 06-05 | 34.6 | 4 | 6.5 | 512 | +2 | (栗)矢作芳人 |
3 | 4 | 7 | ダノンファンタジー | 牝5 | 55 | 藤岡佑介 | 1.20.6 | クビ | 06-05 | 34.7 | 2 | 4.3 | 486 | +8 | *(栗)中内田充 |
4 | 1 | 1 | タイセイビジョン | 牡4 | 57 | 三浦皇成 | 1.20.7 | 1/2 | 15-15 | 34.1 | 10 | 28.6 | 478 | +4 | *(栗)西村真幸 |
5 | 5 | 10 | サウンドキアラ | 牝6 | 55 | 武豊 | 1.20.8 | 1/2 | 10-08 | 34.5 | 6 | 13.2 | 466 | +6 | *(栗)安達昭夫 |
6 | 1 | 2 | セイウンコウセイ | 牡8 | 57 | 勝浦正樹 | 1.20.8 | 頭 | 10-10 | 34.6 | 12 | 143.8 | 498 | -2 | (美)上原博之 |
7 | B3 | 6 | ファストフォース | 牡5 | 57 | 小崎綾也 | 1.21.0 | 1 1/4 | 01-01 | 35.7 | 11 | 53.9 | 530 | +2 | *(栗)西村真幸 |
8 | B8 | 16 | ラヴィングアンサー | 牡7 | 57 | 岩田望来 | 1.21.1 | 3/4 | 13-12 | 34.5 | 13 | 150.4 | 514 | +2 | (栗)石坂公一 |
9 | 7 | 15 | ケイデンスコール | 牡5 | 57 | 岩田康誠 | 1.21.2 | 1/2 | 16-17 | 34.2 | 9 | 23.4 | 478 | +4 | *(栗)安田隆行 |
10 | 7 | 14 | ダイメイフジ | 牡7 | 57 | 菱田裕二 | 1.21.2 | ハナ | 04-03 | 35.5 | 18 | 346.1 | 528 | -2 | (栗)森田直行 |
11 | 2 | 4 | ラウダシオン | 牡4 | 57 | M.デム | 1.21.3 | 1/2 | 02-02 | 35.7 | 7 | 19.5 | 522 | +8 | (栗)斉藤崇史 |
12 | 7 | 13 | アストラエンブレム | セ8 | 57 | 西村淳也 | 1.21.3 | ハナ | 13-12 | 34.7 | 17 | 316.2 | 476 | 0 | (美)小島茂之 |
13 | 3 | 5 | デュープロセス | 牡5 | 57 | 横山典弘 | 1.21.4 | クビ | 18-18 | 34.2 | 16 | 255.9 | 480 | -4 | *(栗)安田隆行 |
14 | B5 | 9 | ベステンダンク | 牡9 | 57 | 団野大成 | 1.21.4 | クビ | 03-03 | 35.8 | 15 | 210.4 | 526 | +2 | *(栗)安達昭夫 |
15 | 8 | 17 | ソングライン | 牝3 | 54 | 池添謙一 | 1.21.5 | クビ | 06-08 | 35.4 | 1 | 4.1 | 484 | 0 | (美)林徹 |
16 | B6 | 11 | シヴァージ | 牡6 | 57 | 吉田隼人 | 1.21.7 | 1 1/4 | 16-16 | 34.8 | 8 | 23.1 | 498 | -2 | (栗)野中賢二 |
17 | 8 | 18 | ルークズネスト | 牡3 | 56 | ルメール | 1.21.8 | 3/4 | 04-05 | 35.9 | 5 | 7.6 | 514 | +2 | (栗)浜田多実 |
止 | 4 | 8 | ベストアクター | セ7 | 57 | 富田暁 | 09-12 | 14 | 180.8 | 444 | -2 | (美)鹿戸雄一 |
ありがとう阪神競馬場
今回の【阪神カップ】が、2021年の阪神競馬場における最後の重賞になった。
改めて申し上げるまでもないが、京都競馬場の改修工事の影響により、10月〜12月まで、異例の3ヶ月連続開催となった。
使い込まれたことにより、特に12月に入ってからは、だいぶタフな馬場になっていたようにみえた。
競馬界は、馬も関係者も頑張っているが、競馬場もだいぶ頑張ってくれたという事実を見逃してはいけないだろう(笑)
レースを振り返る前に、阪神競馬場の頑張りを心から労うべきだと考えた。
本当にお疲れ様!そして数々の激闘をありがとう!
次の阪神開催がスタートするのは、来年の2月12日&13日(13日には京都記念が行われる)
再び阪神競馬場でのレースが見られる日を楽しみにしている。
改めて感じた「適性」の重要性
では、ここからは【阪神カップ】の話題にいってみたい。
何と言っても、直近5年の3連単平均配当が10万馬券を超える波乱の重賞。
ましてや、上でも記したように、非常に力の要る馬場状態だった。
そのため、何が起きても驚けなかったとは思うが、、、結果的には上位人気サイドの決着。3連単の配当も1万円台にとどまった。
穴党としては少々物足りない部分もあったが、レースの中身は間違いなく濃かった。特に優勝した2番人気・グレナディアガーズの走りっぷりは目立った。
上がり3ハロン最速の末脚を繰り出した、4角10番手からの差し切り勝ち。
しかも、2着馬には1馬身1/4もの差をつけている。完勝と言ってよいだろう。
そんなグレナディアガーズの激走を見て強く感じたのは、今年、私たちがレース回顧のコラムで何度も記してきた「適性」についての重要性だ。
ターコイズSの回顧で書いたこととは?
例えば皆様は、12/18日に行われた重賞【ターコイズS】の回顧の内容を覚えていらっしゃるだろうか?
お読みになっていない方もおられるだろうから、適性について記した部分を抜粋。
優勝したミスニューヨークに関する内容という形でご紹介した。(全文については、下記のリンク先でどうぞ)
オールマイティーを求める時代ではない
そして、ミスニューヨークがそうであるように、近年
という馬が非常に増えている。
これこそが「能力拮抗の現代競馬」の大きな特徴であり、上で記した「まさに現代競馬」という私の思いに繋がってくるのだ!
一昔前のように「サンデーサイレンス産駒が圧倒的」という時代ではない。
サンデー全盛時代は、トップレベルの馬と、それ以外の馬たちとの間にはレベルの差があった。だから、条件を問わずに(たとえ不得手な舞台でも)それなりに走れたのだと思う。
だが、今はサンデーの子供世代の種牡馬が大勢いて、しかも皆レベルが高い!
そこにロードカナロアらの子供たちも絡んでくるのだ。
アーモンドアイさえ惨敗したのだから
種牡馬が幅広くハイレベルになれば、同じように産駒達も幅広くハイレベルに。
そうなれば、力があると言われる馬でも、条件が合わなければ惨敗したっておかしくはない。
近年でわかりやすい例を挙げればアーモンドアイだろう。
体調面の不安があっただろうが、明らかに合わなそうな荒れ馬場の暮れの中山で【有馬記念】を戦ったことで9着に惨敗しているじゃないか。
何が言いたいかといえば
馬券を買う側の私たちの側が「オールマイティーを求める時代ではない」という思考を持つことだろう。
魅力的な馬を見れば、あっちでもこっちでも買いたくなる。
だが、冷静に「馬にとって合う条件なのか否か」を精査すること。その先にこそ、馬券における栄光の瞬間が待っているのだ!
参考⇒ターコイズS 2021 回顧
前走との違いが顕著
その【ターコイズS】から1週後に行われた【阪神カップ】。
優勝したグレナディアガーズは、前走のG1【マイルチャンピオンシップ】で13着に惨敗。
そのレース後、当時の鞍上・池添騎手は、以下のような話をしている。
一転、今回のレース後、鞍上のCデムーロ騎手は
同じ阪神コースで行われたレースだが、たった200M距離が短いだけで、ここまでガラリと馬が変わる(落ち着く)ことに驚かずにはいられない。
潜在能力は抜群
皆様もご存知の通り、グレナディアガーズは2歳G1馬だ。約1年前に行われた【朝日杯FS】を勝っている。
競走馬は、年齢を重ねるに連れて距離適性が出やすいとも言われるだけに、世代限定ではカバーできたマイルの距離も、古馬相手では難しかったかもしれない。
とはいえ、2歳でG1を勝ったという事実自体が、潜在能力の証であり、価値は大きい。
好素材が、折り合い難を出さずにすむ舞台で戦えたら、好走も当然なのだろう。
改めて、各馬の適性を十分に考えながら予想に挑むことの重要性を痛感する。
尚、個人的には1200Mでも対応できるだけのスピードの持ち主だと思う。
今後の動向に注目していきたい。勝ち馬だが、素直に未来の主役へ!
気になる2頭をピックアップ!
さて、ここまで勝ち馬についてだけ触れてきたが、最後に2頭ほど、その他に気になる馬をピックアップしてご紹介してみたい。
数行程度の解説にはなるが、役立つ部分もあると思う。目を通していただけると幸いだ。
まず1頭目は
2着ホウオウアマゾン⇒脚質の広がりは能力強化の証
以前から、レース回顧のコラムなどで記してきたことでもあるが、私たちは昔から
脚質の広がり=能力強化の証
という考え方をしてきた。
本来、競走馬は先行馬にせよ、差し馬にせよ、自分にとって慣れた形でレースを運ぶのが最も楽だ。
その他の形でも戸惑うことなく力を発揮できるとすれば、それだけ余裕をもってレースに臨めていることの証。余裕がもてるのは、つまり能力強化があればこそだ。
その点、前走【マイルチャンピオンシップ】(5着)など、逃げ(あるいは2番手)のスタイルで結果を出してきた馬が、今回は4角5番手からしっかりと脚を伸ばして2着でゴール。
しかも、鞍上の坂井瑠星騎手いわく
だったそうだ。これは今後に期待が持てそうだ。
尚、これまではマイルを中心に使われてきた馬だが、調教などを見ているとスタミナも感じるし、1800Mくらいまではいけるのではないか?
幅広い舞台で活躍が見られることを期待したい!
楽観視はできないかも
もう1頭は、1番人気を裏切ってしまったソングラインだ。
15着ソングライン⇒楽観視はできないかも
同じく15着に終わった4月の桜花賞は、まれに見る大きな不利があってノーカウントと言えるだけに、実質、初めて馬券圏内を外した形。それも惨敗だ。
鞍上の池添騎手は次のような話をしている。
「ポジションは良いところにつけられたと思ったのですが、3コーナーで一気に手応えがなくなりました。外を回す余裕もなかったです。1400メートルという距離なのか、久々の右回りなのか、敗因は分かりません。いつもの感じと違いました」
鞍上自身も敗因をつかめていないようだが、牝馬には時々、今回のような理解しにくい敗戦がある。
主な例だと、2019年1月【シルクロードS】で、2番人気を裏切り18着に終わったラブカンプー。前走G1【スプリンターズS】で2着に好走するほど充実していただけに、本当に驚いた。
そして、ラブカンプーは、その後二桁着順が続いた。
一度失速すると、なかなか浮上してこないケースも牝馬にはある。
だから、今後のソングラインは楽観視しない方が良いかもしれない。
もし今後、どこから私達がソングラインを高く評価しているなら、それは調教で抜群の動きを見せた時!もちろん、そんな日が1日でも早く来ることを祈っている。
【阪神カップ 2021】のレース後の関係者のコメント
レース後のコメント
1着 グレナディアガーズ(C.デムーロ騎手)
「(日本での重賞制覇は)久しぶりですね。本当に嬉しいです。直線ではすごく良い手応えでした。瞬発力があって、すごく良い走りが出来ました」
2着 ホウオウアマゾン(坂井瑠星騎手)
「正直マイルCSの時と比べると状態は今ひとつでしたが、それでも終いの伸びは良いものがありました。改めて能力の高さを感じました。来年が楽しみです」
3着 ダノンファンタジー(藤岡佑介騎手)
「スタートが決まり、理想は外の3番手でしたが、行く馬がいたので一列下げる形になりました。内に押し込まれる感じでしたが、我慢して走りましたし、抜け出した時は押し切れると思いました。最後は勝ち馬の脚が上でしたが、この距離は安定して走ってくれます」
4着 タイセイビジョン(三浦皇成騎手)
「折り合いは大丈夫でした。故障した馬の影響を受けましたが、上手くリカバーしてくれました。終いは良い脚で伸びたのですが、残り100メートルで甘くなりました。今回は強い相手になっても、よく頑張っています。1200メートルがベストですが、折り合いさえつけば1400メートルまで大丈夫でしょう」
5着 サウンドキアラ(武豊騎手)
「スムーズなレースは出来ましたが、決め手の差は出たと思います」
6着 セイウンコウセイ(勝浦正樹騎手)
「故障した馬の影響で、バランスを崩すところがありました。そこからよく伸びてくれました。改めて力を示してくれました。あの不利が残念でした。これが最後のレースということで寂しいです」
15着 ソングライン(池添謙一騎手)
「ポジションは良いところにつけられたと思ったのですが、3コーナーで一気に手応えがなくなりました。外を回す余裕もなかったです。1400メートルという距離なのか、久々の右回りなのか、敗因は分かりません。いつもの感じと違いました」
(via ラジオNIKKEI )
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