こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】キーンランドカップ 2022 における勝負の明暗
2022年 8月28日(日) 2回札幌6日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第17回キーンランドカップ
3歳以上・オープン・G3(別定) (国際)(指定) 芝 1200m 16頭立
着 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | ヴェントヴォーチェ | 牡5 | 56 | ルメール | 1.09.1 | 10-07 | 34.0 | 6 | (栗)牧浦充徳 | |
2 | 5 | ウインマーベル | 牡3 | 54 | 松山弘平 | 1.09.2 | 1/2 | 05-02 | 34.5 | 2 | (美)深山雅史 |
3 | 1 | ヴァトレニ | セ4 | 56 | 横山武史 | 1.09.3 | 1/2 | 01-01 | 34.8 | 4 | (栗)長谷川浩 |
4 | 16 | トウシンマカオ | 牡3 | 53 | 川田将雅 | 1.09.5 | 1 1/4 | 08-07 | 34.5 | 1 | (美)高柳瑞樹 |
5 | 11 | オパールシャルム | 牝5 | 54 | 江田照男 | 1.09.5 | クビ | 02-02 | 35.0 | 11 | (美)武藤善則 |
6 | 14 | エイティーンガール | 牝6 | 55 | 武豊 | 1.09.6 | 1/2 | 15-15 | 34.3 | 5 | (栗)飯田祐史 |
7 | 9 | ジュビリーヘッド | 牡5 | 56 | 横山和生 | 1.09.7 | 3/4 | 10-07 | 34.6 | 3 | (栗)安田隆行 |
8 | 6 | シゲルピンクルビー | 牝4 | 54 | 和田竜二 | 1.09.8 | 3/4 | 06-07 | 34.9 | 10 | (栗)渡辺薫彦 |
9 | 12 | マイネルジェロディ | 牡4 | 56 | ホー | 1.09.9 | クビ | 06-05 | 35.1 | 12 | (栗)西園正都 |
10 | 15 | レイハリア | 牝4 | 55 | 松岡正海 | 1.10.1 | 1 1/4 | 03-02 | 35.5 | 9 | (美)田島俊明 |
11 | 7 | マウンテンムスメ | 牝4 | 54 | パコー | 1.10.2 | クビ | 10-12 | 35.1 | 14 | (美)中野栄治 |
12 | 13 | メイショウミモザ | 牝5 | 55 | 丹内祐次 | 1.10.2 | ハナ | 10-12 | 35.1 | 7 | (栗)池添兼雄 |
13 | 10 | ロードマックス | 牡4 | 56 | バシュロ | 1.10.3 | 3/4 | 10-12 | 35.2 | 8 | (栗)藤原英昭 |
14 | 2 | ビリーバー | 牝7 | 55 | 杉原誠人 | 1.10.4 | クビ | 08-07 | 35.4 | 13 | (美)石毛善彦 |
15 | 4 | ジェネラーレウーノ | 牡7 | 57 | 丸山元気 | 1.10.7 | 2 | 03-05 | 36.1 | 15 | (美)矢野英一 |
返 | 3 | サヴォワールエメ | 牝6 | 54 | 松田大作 | (栗)辻野泰之 |
改めて、さすが武豊!
ご存じの通り、今週は「ワールドオールスタージョッキーズ」ウィーク。
札幌に、世界のトップジョッキーたちが集結。
3年ぶりの開催ということもあり「祭典」の中にも、各騎手の「やってやるぞ」という思いが溢れているように感じられ、緊迫感のある良い戦いだった。
そして、優勝した武豊騎手はさすがの一言!
30年ぶりの優勝。その間には、今年を含むダービー6勝も達成している。それはつまり、この30年(厳密に言えばそれ以上)常に競馬界の顔であり続けていることの証。
「やっぱり競馬は武豊」
引き続き、競馬界の顔としての活躍を期待したい。
そんな武豊騎手もエイティーンガールで参戦したのが【キーンランドカップ】だ。
気楽に乗れた面も
さ【キーンランドカップ】の騎乗者でいえば、武豊騎手、川田騎手が【WASJ】で優勝を争っていた。つまり、彼らはこの後の12レース(WASJ4戦)に向けても、緊張感を保ち続けながら騎乗をしていたと推測する。
一方で、ルメール騎手や横山武史騎手あたりは、圏外だった。
その分、ある意味では気楽に乗れていた面もあったのかもしれない。
結果が1着(ルメール)&横山武史(3着)だったから言うわけではなく、そう感じずにはいられないほど
の騎乗をしているように見えた。
多頭数、能力拮抗の一戦らしく出入りの激しい競馬にはなったが、彼らからは自分のパートナーの持ち味を最大限に活かそうとする姿勢がはっきりと伝わってきたし、その姿勢を「結果」に変えられる点こそ、彼らが名手であることの証なのだろう。
今年前半は、実績ほどは目立たなかった両者だが「この秋はかなりやるのでは?」そんな予感がしてならない。
では、ここからは勝ち馬を中心に、気になった3頭をご紹介する。
1着ヴェントヴォーチェ→間違いなかった「大器の予感」
ということで、まずは優勝したヴェントヴォーチェから。重賞初制覇、おめでとう!
着差こそ2着ウインマーベルに半馬身差だが、上がり3ハロンのタイムは最速をマーク、それも上がり2番目のエイティーンガールには0.3秒、3番目のウインマーベルには0.5秒もの差をつけていた。
要するに、中身の上では「完勝」と言って差し支えないレベルだと思う。
振り返ってみれば3走前のオープン特別【春雷ステークス】では、重賞で何度も好走経験のあるタイセイビジョンに3馬身もの大きな差をつけての勝利。
多くの競馬ファンが
「将来のG1候補が出現した」
と感じたに違いない。もちろん、私たちもその一人。
一方で、重賞に挑戦したその後の2走(直近2走)がいずれも掲示板圏外(7着&9着)と振るわなかったことで、今回は6番人気の低評価にとどまった。
それが、終わってみれば、上でも記したように完勝!特にキレのある動きは、G1を狙うに相応しいレベルであり、大器の予感が間違いなかったことを改めて感じさせてくれた。
改めて「着順で評価してはダメ」
今回の結果を受けて、当たり前のことだし、これまでに何度も言ってきたことではあるが、改めて
なのだと実感させられる。
上で、近2走が7着&9着だったと記したが、両レースには明確な敗因があった。
2走前は初の重賞挑戦&想定以上に速い流れに馬が戸惑っていたようだ。
また、前走【アイビスSD】は前が狭くなったことで、全く力を出しきれぬままに終わっている。
そして、これらは「マル秘情報」でもなんでもなく、公の場で、はっきりと厩舎関係者が明言していることだ!
それらを知った上で冷静に馬を判断できたか、あるいは着順に引っ張られたか。
そこが、馬券的な勝負の分かれ目になったということ。(もちろん、全てを承知の上で評価を下げた人は、それがその人の見解だから致し方ないが)
全てのレースの全馬の関係者のコメントを頭に入れるのは絶対にむりだが(笑)攻めてオープン、重賞の有力馬のコメントくらいは、頭に入れておくようにしよう。
きっと、あなたにとってプラスになるはずだから。
2着ウインマーベル→大器ぶりなら負けていない
半馬身差の2着に敗れたのは3歳馬のウインマーベル。
レース後の、松山騎手の悔しそうなコメントが印象的だ。
本当に悔しそうだった。それだけの素質をウインマーベルから感じているのだろう。
ましてや彼は牝馬3冠ジョッキーであり、数々の実力馬の背中を知っている。そんな彼の思いだけに、極めて信憑性は大きいのではないだろうか。
確かに、レースぶりに「雰囲気」がある。
もちろん、前半の行きっぷりの良さからも伝わるスピード感は魅力だが、その背景には、母コスモマーベラス譲りの「スタミナ」がある。
その母は、2006年、第1回【ヴィクトリアマイル】の4着馬であり、2000M前後でも活躍していた馬。偉大なから受け継いだ、一本筋が通った底力だ。
だから、大きく崩れそうな雰囲気が全くない。恐らく展開的にも、スローからハイペースまで対応できるタイプだし、ヴェントヴォーチェ同様、かなりのところまでいきそうな気がする。
出走がかなえば【スプリンターズS】でも必ず注目したい!未来の主役だ!
9着マイネルジェロディ→もう少しやれてもいい
敢えて惨敗した組から1頭、4歳馬で12番人気のマイネルジェロディ。
0.8秒差の9着は、決して目立つ結果ではない。ただ、レース後にホー騎手が
というのは事実だと思う。
コチラから見ていても、随分力が入ってしまっているように感じられた。いつもはここまで力む馬ではないのでもったいなかったし、スムーズだったら果たしてどうだったか?
ホー騎手は「良い馬です」とも語ってくれた。
まだ4歳馬だ。さすがにG1云々はイメージしにくいが、G3勝ちくらいまでなら十分に可能性があるのでは?
頭の片隅でも構わないので、名前を入れておいてほしい!
【キーンランドカップ 2022】のレース後の関係者のコメント
1着 ヴェントヴォーチェ(C.ルメール騎手)
「自分のリズムで走ったら最後は良い瞬発力を使うことが出来ます。今回もスタートでそんなに速くなかったので、後ろの方になりました。その後は段々ペースアップしてくれました。内側でスムーズな競馬が出来ました。最後はいつも通りの瞬発力を使ってくれました。もう少し前の方に行きたかったのですが、残念ながらスタートの後は前の馬がぶつかっていたので、後ろのポジションになりました。しかし、3コーナーの前ではポジションを上げられました。この馬はスプリンターですから歳を重ねて強くなります。今回は重賞を勝ちましたが、さらに上のメンバーでもやれると思います。次はまた応援してください」
2着 ウインマーベル(松山弘平騎手)
「悔しいです。馬はよく頑張ってくれました。ここまで上手く仕上げてくれていて、力を出せる状態でした。まだ成長を感じますし、これからの馬だと思います」
4着 トウシンマカオ(川田将雅騎手)
「精一杯の競馬をしてくれたと思います」
6着 エイティーンガール(武豊騎手)
「ペースが落ち着きすぎて、馬群はみんな外を通り難しいレースになりました。良い脚は使っているのですが、上がりはみんな伸びていました」
9着 マイネルジェロディ(C.ホー騎手)
「ゲートが思っていた以上に速くて力んだ分、終いは同じスピードになってしまいました。良い馬です」
(via ラジオNIKKEI )
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