こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、私たちなりの視点で、レース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
ヴィクトリアM 2024 の回顧&未来の主役
2024年 5月12日(日) 2回東京8日 天候 : 曇 馬場状態 : 良
【11R】 第19回ヴィクトリアマイル
4歳以上・オープン・G1(定量) (牝)(国際)(指定) 芝 1600m 15頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | 9 | テンハッピーローズ | 牝6 | 56 | 津村明秀 | 1.31.8 | 10-08 | 33.9 | 14 | *(栗)高柳大輔 | |
2 | 2 | 2 | フィアスプライド | 牝6 | 56 | ルメール | 1.32.0 | 1 1/4 | 03-03 | 34.9 | 4 | (美)国枝栄 |
3 | 4 | 6 | マスクトディーヴァ | 牝4 | 56 | モレイラ | 1.32.0 | クビ | 07-08 | 34.1 | 1 | (栗)辻野泰之 |
4 | 8 | 15 | ドゥアイズ | 牝4 | 56 | 鮫島克駿 | 1.32.1 | クビ | 07-06 | 34.4 | 11 | (栗)庄野靖志 |
5 | 6 | 11 | ルージュリナージュ | 牝5 | 56 | 横山和生 | 1.32.2 | 1/2 | 15-15 | 33.6 | 13 | (美)宗像義忠 |
6 | 3 | 5 | ウンブライル | 牝4 | 56 | 川田将雅 | 1.32.2 | 頭 | 05-06 | 34.6 | 3 | (美)木村哲也 |
7 | 7 | 13 | モリアーナ | 牝4 | 56 | 横山典弘 | 1.32.3 | 1/2 | 13-13 | 33.9 | 6 | (美)武藤善則 |
8 | 6 | 10 | ナミュール | 牝5 | 56 | 武豊 | 1.32.3 | クビ | 13-13 | 33.8 | 2 | *(栗)高野友和 |
9 | 2 | 3 | スタニングローズ | 牝5 | 56 | 西村淳也 | 1.32.6 | 1 1/2 | 03-03 | 35.5 | 5 | *(栗)高野友和 |
10 | 5 | 8 | サウンドビバーチェ | 牝5 | 56 | 松山弘平 | 1.32.7 | 3/4 | 05-05 | 35.2 | 12 | *(栗)高柳大輔 |
11 | 7 | 12 | キタウイング | 牝4 | 56 | 杉原誠人 | 1.32.9 | 1 1/4 | 12-11 | 34.7 | 15 | *(美)小島茂之 |
12 | 8 | 14 | フィールシンパシー | 牝5 | 56 | 横山琉人 | 1.33.0 | 1/2 | 02-02 | 36.1 | 10 | *(美)小島茂之 |
13 | B3 | 4 | コンクシェル | 牝4 | 56 | 岩田望来 | 1.33.5 | 3 | 01-01 | 36.7 | 7 | (栗)清水久詞 |
14 | 1 | 1 | ライラック | 牝5 | 56 | 戸崎圭太 | 1.33.7 | 1 1/2 | 09-08 | 35.8 | 9 | (美)相沢郁 |
15 | 4 | 7 | ハーパー | 牝4 | 56 | 池添謙一 | 1.33.9 | 1 1/2 | 10-11 | 35.7 | 8 | (栗)友道康夫 |
人知を超えた何かが
まずは、人馬共にG1初制覇を達成したテンハッピーローズ&津村騎手に、心からの「おめでとう」を申し上げたい。
単勝200倍台のブービー人気馬。正直に申し上げて、ここまで走りはイメージできなかった。
さて、そんな津村騎手の勝利インタビューを見ながら、私はこんなことを思った。
「やはり、競馬の世界には、人知を超えた何かがあるのかな」と。(あくまでも私見であることをお断りしておく)
津村騎手は、前日の重賞【京王杯SC】において、こちらも伏兵11番人気のグランデマーレに乗っていた。
人気薄の評価を嘲笑うかのように、素晴らしい手応えで直線へ。だが、、、なかなか前が開かない。
まともに追えない場面もあるなどして、結局9着に終わった。
結果は残念。だが、津村騎手は無理に前をこじあけるようなことはせず、最後までクリーンに、誠実に、安全にレースを終えた。勝利を目指すことは大事だが、もっと大事なことがある。そう言いたかったのだろうか?
ここからの津村騎手が楽しみだ
津村騎手は、若い頃から、その技術の高さを評価されてきた騎手だ。
それは、川田、藤岡佑といったトップジョッキーが揃う黄金世代の中で、競馬学校卒業時に「アイルランド大使特別賞(特に技術が優秀だった生徒に与えられる)」を受賞している点からもわかる。
それだけに、仮に、多少強引に乗っても、その技術で何とかできそうにも思えるが、そういった騎手ではない。
そして、そんな前日の姿勢を競馬の神様は見ていたのだろうか。
今日は序番から本当にスムーズに外に出せたし、外を回ったとはいえ、直線ではさえぎるものは何もなし。人馬共に、一生懸命に、それでいて気持ちよさそうに、直線を走り、そしてゴール板を駆け抜けた。
もちろん、関係者を含めた人馬の努力、実力があればこそだが、目に見えない力が、背中を押したのかなと思えてしまう。それくらい、鮮やかだった。
今後の人馬、もちろんテンハッピーローズには期待したいが、やはり注目は津村騎手だ。元々技術の高い騎手が、この勝利で自信を得た。また、周りからの見る目も変わるはずだから、質の良い馬も集まってくるだろう。
今年の下半期、そして来年以降、津村騎手の成績が一気に伸びる気がする。騎乗馬から目が離せないぞ!
2強についての考え方
ここからは、明暗を分けた形になった(といってもどちらも優勝はできなかったが)2強について振り返りたい。恐らく、どの馬について語るよりも、この部分こそが、最も今後の馬券検討に役立つ部分だと判断したからだ。
まず、両馬とも、決してスムーズなレースではなかった。
マスクトディーヴァは直線で追えない場面があったし、ナミュールは、スタートで立ち遅れたことに加え、高野調教師が語っているように、接触する場面があってバランスを崩し、力を出せなかったようだ。
とはいえ、人気馬だけに目が行きがちだが、今回のレースに関していえば、大なり小なり、多くの馬にそういった部分はある。
本当にスムーズに最後まで走り切れたのは、数頭だけだと思う。
そういった点からいえば「着順=能力順」ということはないにせよ、彼女たち2頭の力が、事前の人気ほど(2頭の馬連配当は3倍台)抜けていた訳ではないことは、素直に受け止めるべきだと思う。
牝馬マイル路線は「混戦」だ!
それを前提に、私はナミュールのここからの巻き返しには相当に期待が持てると思っている!
結果論かもしれないが
レースが終わった後での「結果論」になってしまうかもしれないが、出遅れはいつものことなので仕方ないにせよ、今日のナミュールは、序盤から本来の軽快な動きが見られなかった。
ノーザンファーム&名将・高野調教師の元で入念に調整はされたはずだし、実際に調教でも素晴らしい動きをしていた。
それでも、前走【ドバイターフ】でのアタマ差2着の激走明けから、1ヶ月半での帰国初戦というローテは、やはりタフだったのか。目に見えない疲労が、いざ実戦では出てしまったのかもしれない。
もしかしたら、3週後の【安田記念】出走なら問題なかったかもしれないが、こればかりは、言っても仕方のないこと。
ただ、上でも記した通り、調教では良い動きをしていた。
やはりマイル路線の牝馬としては別格だと思う。
当たり前のことをいうようだが、今回の問題点は「その動きを本番で出し切れなかった」というだけの話。
だから「巻き返しに期待が持てる」のだ。
ノーザンファーム&名将・高野調教師が、このまま黙っているはずがない。次こそは(それがいつになるかはわからないが)心身ともに完璧、つまり目に見えない疲労が入るこむ余地のないほどの態勢で出走してくるはず。
今回の敗戦により「少しでも美味しい配当」になることを期待しながら、敢えて、未来の主役に指名したい。
京王杯SC 2024 の回顧&未来の主役
2024年 5月11日(土) 2回東京7日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第69回京王杯スプリングカップ
4歳以上・オープン・G2(別定) (国際)(指定) 芝 1400m 15頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | B8 | 15 | ウインマーベル | 牡5 | 58 | 松山弘平 | 1.19.7 | 04-04 | 33.2 | 1 | (美)深山雅史 | |
2 | 3 | 4 | レッドモンレーヴ | 牡5 | 58 | 横山和生 | 1.19.7 | ハナ | 15-15 | 32.2 | 2 | (美)蛯名正義 |
3 | 6 | 11 | スズハローム | 牡4 | 57 | 鮫島克駿 | 1.20.1 | 2 | 07-07 | 33.3 | 8 | (栗)牧田和弥 |
4 | 5 | 9 | ダノンスコーピオン | 牡5 | 58 | 戸崎圭太 | 1.20.2 | 3/4 | 09-09 | 33.1 | 6 | (栗)福永祐一 |
5 | 2 | 2 | リュミエールノワル | 牡5 | 57 | 川田将雅 | 1.20.2 | クビ | 02-02 | 33.9 | 4 | (美)上原佑紀 |
6 | 1 | 1 | トウシンマカオ | 牡5 | 57 | 菅原明良 | 1.20.2 | ハナ | 05-05 | 33.6 | 3 | (美)高柳瑞樹 |
7 | 2 | 3 | ソーヴァリアント | 牡6 | 57 | モレイラ | 1.20.3 | クビ | 05-05 | 33.7 | 5 | (美)大竹正博 |
8 | 7 | 12 | メイショウチタン | 牡7 | 57 | 柴田善臣 | 1.20.3 | ハナ | 01-01 | 34.5 | 9 | (栗)本田優 |
9 | 4 | 7 | グランデマーレ | 牡7 | 57 | 津村明秀 | 1.20.4 | 1 | 09-09 | 33.4 | 11 | (栗)藤岡健一 |
10 | 7 | 13 | ダディーズビビッド | 牡6 | 57 | 浜中俊 | 1.20.5 | クビ | 09-09 | 33.5 | 7 | (栗)千田輝彦 |
11 | 8 | 14 | バルサムノート | 牡4 | 57 | 北村友一 | 1.20.7 | 1 1/2 | 12-12 | 33.4 | 10 | (栗)高野友和 |
12 | 6 | 10 | ロードマックス | 牡6 | 57 | 吉田豊 | 1.21.0 | 1 1/2 | 12-12 | 33.7 | 15 | (栗)中村直也 |
13 | 4 | 6 | プルパレイ | セ5 | 57 | オシェア | 1.21.1 | 3/4 | 12-12 | 33.8 | 12 | (栗)須貝尚介 |
14 | 5 | 8 | アネゴハダ | 牝5 | 55 | 三浦皇成 | 1.21.1 | クビ | 07-08 | 34.2 | 13 | (栗)佐々木晶 |
15 | 3 | 5 | クリノガウディー | 牡8 | 57 | 松岡正海 | 1.23.2 | 大差 | 02-02 | 36.9 | 14 | (栗)藤沢則雄 |
新潟大賞典と同様のパターン
上でご紹介している【京王杯SC】の結果表を御覧になり
「はいはい、新潟大賞典のパターンね」
と思われた方は、回顧のコラムのヘビーユーザーだと考えて間違いないだろう。
いつもありがとうございます(笑)
具体的にはどういうことか?【新潟大賞典】の際に、詳しくお話をしているので、ここでは簡単に申し上げるが、要するに
だったということだ。
ぜひ、上位5着までの馬の、4角位置どり、そして馬番をご覧いただきたい。
一目瞭然だとは思うが、好位の馬がいれば、中団の馬もいる。後方待機だった馬もいる。
一方の枠順も、比較的内側の馬から、真ん中付近の馬、さらには外側の馬まで。
つまり「前が有利だった」とか「内が有利だった」といったような偏りがいっさいないのだ。
だからこそ、文字通りのガチンコ勝負であり、基本的には、ここでの上位馬は、そのまま能力上位だと考えてよい。
レースの傾向的に【安田記念】には直結しにくいが、1400M前後の距離で、これからも彼らは活躍していくに違いない。
やはり、この馬になるだろう
中でも、今後の動向に非常に注目したいのは、4着ダノンスコーピオンになるだろう。
ご存知の通り、一昨年の【NHKマイルC】の王者も、昨年は出走した5戦全てで二桁着順と、本当に苦しんだ。
そんな馬が「福永祐一厩舎」への転厩初戦となった今回、いきなり復活の4着に好走!驚かれた方も多いだろう。
戦前、福永師から、次のような趣旨のコメントが出ていた。
「きっちりとフィジカル面は整えた。それで、どうなるか見てみたい」
要するに、これでダメなら、問題はメンタルにあることが判明するということ。
だが、結果は好走。しかもレース後、戸崎騎手は「まだ良くなる兆しがある」と語った。
これで、問題はメンタルではなかったことが判明。
福永厩舎での鍛え方がこの馬には合っていることが判明したし、次走の【安田記念】(ここから3週、美浦に滞在し、レースに臨むそうだ)でも、決して侮れないだろう。
早い段階で、No1厩舎になる可能性も
それにしても、福永厩舎の快進撃は素晴らしい。
このコラムをご覧の方なら、私が細かい数字を語るまでもなく、あらゆる「率」がハイレベルであることはご存知だろう。
そんな師も、騎手としてのデビュー当時は、自分の騎手としてのセンスのなさに苦しんだという。
それでも馬が集まるから、数字を残さないといけない。そこで、ひとまず「戦略」を磨くことに特化したそうだ。
そこである程度の成果が出た後に、騎乗フォームの改造へ。紆余曲折ある中で、最終的には3冠ジョッキーにまで辿り着いた。
このように、福永師は、長い目で物事を考えられる人。恐らく、調教師としても、似たようなスタンスでいると思う。
そんな人が「もうこれだけの数字を出している」
軌道に乗ったら、どこまでいってしまうのだろうか?
もちろん、今後初めて預かることになる「まっさらな馬」をどう育てるのか、未知数な部分もあるが、それでも、私たちが想像するよりも早い段階で、No1調教師になるかもしれない。
ダノンスコーピオンと共に「未来の主役」として注目しよう!
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