こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、私たちなりの視点で、レース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
朝日杯FS 2024 の回顧&未来の主役
2024年12月15日(日) 7回京都6日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第76回朝日杯フューチュリティS
2歳・オープン・G1(馬齢) (牡・牝)(国際)(指定) 芝・外 1600m 16頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 2 | アドマイヤズーム | 牡2 | 56 | 川田将雅 | 1.34.1 | 02-02 | 33.6 | 5 | (栗)友道康夫 | |
2 | 2 | 4 | ミュージアムマイル | 牡2 | 56 | C.デム | 1.34.5 | 2 1/2 | 03-04 | 33.8 | 2 | (栗)高柳大輔 |
3 | 2 | 3 | ランスオブカオス | 牡2 | 56 | 吉村誠之 | 1.34.9 | 2 1/2 | 09-10 | 34.0 | 9 | (栗)奥村豊 |
4 | 1 | 1 | ダイシンラー | 牡2 | 56 | 横山典弘 | 1.35.3 | 2 | 01-01 | 34.9 | 12 | (栗)梅田智之 |
5 | 4 | 8 | アルテヴェローチェ | 牡2 | 56 | 武豊 | 1.35.4 | 3/4 | 12-13 | 34.4 | 1 | (栗)須貝尚介 |
6 | 4 | 7 | クラスペディア | 牡2 | 56 | 小崎綾也 | 1.35.4 | クビ | 05-07 | 34.7 | 14 | (栗)河嶋宏樹 |
7 | 8 | 15 | ドラゴンブースト | 牡2 | 56 | 田口貫太 | 1.35.4 | クビ | 05-04 | 34.9 | 10 | (栗)藤野健太 |
8 | 3 | 5 | コスモストーム | 牡2 | 56 | 秋山稔樹 | 1.35.5 | 1/2 | 05-07 | 34.8 | 15 | (栗)北出成人 |
9 | 6 | 11 | ニタモノドウシ | 牡2 | 56 | ムーア | 1.35.8 | 1 1/2 | 14-13 | 34.7 | 6 | (美)高木登 |
10 | 3 | 6 | アルレッキーノ | 牡2 | 56 | ルメール | 1.35.8 | ハナ | 12-10 | 34.8 | 8 | (美)国枝栄 |
11 | 5 | 9 | エルムラント | 牡2 | 56 | 藤岡佑介 | 1.35.8 | 頭 | 16-16 | 34.5 | 16 | (美)鹿戸雄一 |
12 | 6 | 12 | パンジャタワー | 牡2 | 56 | 松山弘平 | 1.35.8 | クビ | 09-09 | 35.0 | 4 | (栗)橋口慎介 |
13 | 5 | 10 | トータルクラリティ | 牡2 | 56 | 北村友一 | 1.36.1 | 1 3/4 | 03-03 | 35.6 | 3 | (栗)池添学 |
14 | 7 | 13 | エイシンワンド | 牡2 | 56 | 幸英明 | 1.36.3 | 1 | 14-13 | 35.3 | 11 | (栗)大久保龍 |
15 | 8 | 16 | タイセイカレント | 牡2 | 56 | 坂井瑠星 | 1.36.3 | クビ | 09-10 | 35.5 | 7 | (栗)矢作芳人 |
16 | 7 | 14 | テイクイットオール | 牡2 | 56 | 岩田望来 | 1.36.7 | 2 1/2 | 05-04 | 36.2 | 13 | (栗)中竹和也 |
改めて感じること
先週、阪神JFのレース回顧の際に、私はこんなことを書かせてもらった。
ちょっと長くなるが、そのまま転載させていただこうと思う。
2024年の競馬界において、馬券を買う側(競馬ファン)にとっての最大の収穫は「イメージほど、一部のトップジョッキーの腕が抜けている訳ではない」
ことを結果が証明してくれたことではないだろうか。
芝・ダートの中央G1を複数勝った騎手はわずか3名だけ。
あの川田騎手が(海外転戦なので忙しかったにせよ)たった1勝しかできていない。
また、ルメール騎手も3勝しているとはいえ、苦戦したレースも多く、G1に関していえば、相当不本意な1年だったのではないか。
一方で、菱田騎手や津村騎手、さらに岩田望来騎手まで、5名の騎手がG1初勝利を達成している。
もちろん、川田騎手やルメール騎手は素晴らしい騎手であり、彼らを貶めるつもりはない。
そうではなくて「彼らに近い腕を持つ騎手、乗り馬次第でキッチリ結果を出せる騎手が、実は少なくないことがわかった」ということが言いたい。
そんなことを記した途端に、川田騎手&アドマイヤズームが快勝。
ひょっとしたら、このコラムを見ていて「俺を舐めるな!!」と燃えていた?笑
冗談はともかく、今日のレースぶりをみると、改めて名手だなと感じる。
難しさを必要以上に感じさせない
今回、川田騎手が騎乗したアドマイヤズームは「単勝5番人気」
川田騎手が乗っても5番人気にとどまったという事実が、この馬に対して「半信半疑」の見方をしていた人が多かったことの証。
それだけ「難しい馬(すぐにテンションがあがってしまう馬)」だと言われていたし、実際に、今回のレース後も、そのあたりは川田騎手が認めている。
相手関係が格下ならまだしも、超トップレベルの戦いとなるG1においては、わずかなスタミナロスが命取りになる。
だからこそ、それに繋がる気性の難しさが皆を半信半疑にさせたのだ。
だが、実際にレースを見てどうだっただろう?
もちろん「凄く折り合いがつきそうな馬」という雰囲気こそなかったが、恐らく大半の方が
「2歳馬としては、よくある程度の若さ」
くらいにしか見えなかったのでは?
難しさを必要以上に感じさせない騎乗ができる。これは真の名手の条件の一つであり、改めて川田騎手の実力を感じさせるものだったのではないか。
馬場の恩恵は大きかったが
具体的には
「難しい馬なりの、気持ちよく走れるポジションを見つけ、そこに誘導することができる」
という部分だろう。
序盤からすぐに2番手あたりにつけた。内枠でもあったし、前に馬をおいて壁をつくって折り合わせるのが、難しい馬に対する対処の仕方かと思いきや、それよりも気持ちよく走れるポジションを優先して結果を出す。素晴らしい。
尚、4コーナーを回った時点の手応えから、勝利を確信したそうだ。
今回、後続につけた2馬身半という大きな差に関しては、間違いなく、内側の馬場が良かった影響が大きいと思う。(今週からDコースに替わり、内の馬場が良くなった)
それでも「正直な名手」に、4コーナーを回った時点で勝利を確信させられるだけのものを備えていることは間違いない。
明らかにG1馬に相応しいし、今後はマイル路線を歩むとの事なので、昨年のジャンタルマンタルに続き、大きく羽ばたく可能性は極めて高いとみた!
もう1頭、気になる馬をチェック
最後に、1番人気を裏切る形になったアルテヴェローチェ。
特に見せ場なく、後方追走から5着でゴール。前走【サウジアラビアRC】でのはつらつとしたフットワーク、直線での動きとは、あまりに違うレースぶり。一体どうしたのか?
実は、奇しくも、私が感じたことと全く同じようなことを、かつての名手、アンカツこと安藤勝己さんが、ご自身のXでポストされていた。
次のような趣旨だ。
致し方ない結果、ということだろう。
だが、理由がハッキリしているからこそ、個人的には、さほど悲観することはないように思うのだ。
実は前走時、武豊騎手はフランスにいた(凱旋門賞出走)ため乗れなかった。だが、遠くフランスの地から「とりこぼさないでくれ」と強く願っていたらしい。名手にそこまで思わせるほど「未来」のある素材なのだ。
名門・須貝厩舎と武豊騎手なら、このままでは終わらせないだろう。恐らく、アドマイヤ同様、マイル路線に行きそうな予感だし、逆襲に燃える人馬を「未来の主役」に指名したい。
ターコイズS 2024 の回顧&未来の主役
2024年12月14日(土) 5回中山5日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第10回ターコイズS
3歳以上・オープン・G3(ハンデ) (牝)(国際)(特指) 芝 1600m 16頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 6 | アルジーヌ | 牝4 | 55.5 | 西村淳也 | 1.33.2 | 08-07-07 | 34.4 | 2 | (栗)中内田充 | |
2 | 6 | 12 | ビヨンドザヴァレー | 牝4 | 53 | 菱田裕二 | 1.33.3 | 1 | 02-03-02 | 34.9 | 6 | (栗)橋口慎介 |
3 | 7 | 14 | ドゥアイズ | 牝4 | 55.5 | C.デム | 1.33.4 | クビ | 04-05-02 | 34.8 | 3 | (栗)庄野靖志 |
4 | 1 | 1 | モズゴールドバレル | 牝5 | 53 | 丹内祐次 | 1.33.4 | 頭 | 06-03-05 | 35.0 | 15 | (栗)藤岡健一 |
5 | 1 | 2 | アドマイヤベル | 牝3 | 54 | 横山武史 | 1.33.4 | 頭 | 09-08-08 | 34.4 | 8 | (美)加藤征弘 |
6 | 2 | 4 | イフェイオン | 牝3 | 54 | 戸崎圭太 | 1.33.4 | クビ | 02-02-02 | 35.1 | 5 | (栗)杉山佳明 |
7 | 3 | 5 | フィールシンパシー | 牝5 | 54 | 横山琉人 | 1.33.4 | ハナ | 04-05-05 | 34.9 | 4 | *(美)小島茂之 |
8 | 4 | 7 | ミアネーロ | 牝3 | 54.5 | ルメール | 1.33.5 | 1/2 | 12-12-14 | 34.1 | 1 | (美)林徹 |
9 | 8 | 15 | シングザットソング | 牝4 | 55 | 斎藤新 | 1.33.6 | クビ | 06-08-08 | 34.7 | 10 | *(栗)高野友和 |
10 | 6 | 11 | ワイドラトゥール | 牝3 | 53 | 北村友一 | 1.33.6 | 頭 | 09-10-10 | 34.5 | 7 | (栗)藤原英昭 |
11 | 5 | 10 | ミシシッピテソーロ | 牝4 | 53 | 木幡巧也 | 1.33.8 | 1 1/2 | 14-12-11 | 34.4 | 14 | (美)畠山吉宏 |
12 | 7 | 13 | セントカメリア | 牝5 | 53 | 松岡正海 | 1.33.9 | 1/2 | 15-15-15 | 34.2 | 13 | *(栗)高野友和 |
13 | 4 | 8 | ペイシャフラワー | 牝4 | 52 | 永島まな | 1.34.1 | 1 1/4 | 15-16-16 | 34.2 | 9 | (栗)高橋康之 |
14 | 2 | 3 | キタウイング | 牝4 | 52 | 丸田恭介 | 1.34.2 | 1/2 | 12-12-11 | 34.9 | 12 | *(美)小島茂之 |
15 | 8 | 16 | コナコースト | 牝4 | 55 | 三浦皇成 | 1.34.6 | 2 1/2 | 09-10-11 | 35.4 | 11 | (栗)清水久詞 |
16 | 5 | 9 | マメコ | 牝5 | 53 | 津村明秀 | 1.35.2 | 3 1/2 | 01-01-01 | 37.1 | 16 | (栗)武英智 |
リピーター有利のレースだったが
「ターコイズステークスといえば?」
そう問われたなら、シンプルにこう答えればよい。
「リピーター有利のレース」
だと。
このあと、直近3年の上位3頭をご紹介するが、ミスニューヨークは2連覇&昨年も3着。
また、昨年優勝のフィオアスプライドは、一昨年、当時は12番人気という伏兵の立場だったが、堂々2着にまとめている。
ただでさえ、仕上げに差が生まれやすいと言われる厳寒期であることに加え、舞台はトリッキーな中山マイルだけに、やはりこちらも差が生まれやすい。・
だから「リピーター有利」なのであり、レース実績があればベストだが、少なくとも冬の好走実績や中山実績はほしいところだ。だから、正直にいって、アルジーヌの優勝に関しては驚いた部分もあった。
来年の栄光も
確かに、今年2月に2勝クラスを勝ち上がっているように、比較的、寒い時期に強い馬だといえるだろう。
一方で、中山を走るのは今回が初めてだった。
ましてや、3着だったドゥアイズと並ぶ、トップハンデ(55.5キロ)を背負わされてのレースだった。
しかし、終わってみれば、2着馬に1馬身差。
ハンデ戦というのは、全馬を平等な能力値にするために斤量を設定するレースだから、そこで1馬身もの差をつけるのは、完勝といってよい。
それも、私が語るまでもなく、レース映像をご覧いただければお分かりの通り、終始スムーズなレースぶり。
レース後、西村淳騎手が「ポテンシャルが高い。まだ奥がある」という趣旨のことを語るなど絶賛していたが、結局のところ、それほどのレベルの馬にとっては、リピーター云々は関係ないということだろう。
そういえば、昨年の優勝馬で、2着に1馬身1/4差をつけたフィアスプライドは、今年のG1【ヴィクトリアM】で堂々の2着。
近い雰囲気を感じるアルジーヌも、来年の栄光が見えてきたかも!?相当な逸材が現れたものだ。
その他、意識しておきたい馬は?
アルジーヌは明らかに抜けていたが、他にも見どころのある馬はいた。
その筆頭格が、6着だった3歳馬のイフェイオン。
序盤から好位につけると、終始行きっぷりよく追走。直線でも抜け出すのではないかという手応えに見えた。
だが、直線では無念の急失速で6着に終わった訳だが、経験上、この手の失速は、仕上がり途上の分のガス欠。
戸崎騎手は「キレ負けした」と語っていたが(それもあったのかもしれないが)私は、むしろバテた部分が大きかったように見えた。
だからこそ、全く悲観する必要はない。
直線に入るまでの堂々としてレースぶりから、ここなら能力上位は明らかだった。
一度疲れた次走は、少なくとも今回と同じレベルの相手と戦えば、馬券圏内には絡めるに違いない。
4歳となる来年が楽しみだし「次にどこを使うか?」という部分にも注目しつつ、未来の主役として応援したい。
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