宝塚記念 2019【名馬列伝】ファン投票を超える、人を惹きつける魅力。

 

本当に私たち人間は「他人から見た自分」が大好きだ。他人が思っている評価に合わせて生きようとばかりしている。

小さな小さな生き物だ。その習慣から離れられない。けれど、ファン投票７位。単勝オッズ８位だった彼女はこう思っていた筈だ。

 

「それがどうした？」と。

 

彼女はどんな時でも自分自身に従って戦っていた。決して鞍上の導きになど頼らない。ましてや他人にどう思われるかなどお構いなしだ。

 

「あなたは私の上に乗っていなさい。」

 

そんな、自分を曲げない戦い方をする彼女に、他人の評価ばかりを気にしていた僕はいつしか虜になっていた。

 

迎えた第57回宝塚記念。逃げるキタサンブラック。後方から迫る怪物・ドゥラメンテ。さぁ、彼女はどうするか？迷いなく。彼女のとった選択は大外一気での真っ向勝負。

 

そして最後に笑ったのは、

怪物でも、祭りでもない。

自分自身に従った

牝馬のマリアライトだった。

 

他人から見た自分に従えば、自分がどう思っているかにフォーカス出来なくなる。自分自身が無くなって行く。そしていつしか、少年少女の頃に抱いた熱いものは「他人の評価」という強風に晒され掻き消されていく。

けれど、彼女は違ったんだ。「嫌われないように」と他人の顔色ばかりを伺う生き方をしていた自分とは、自信のあり方が違った。

 

マリアライトが教えてくれた大切なこと。

それはファン投票も、他人の評価も関係ない。自分自身を失わない。自分軸だって良いじゃないか！自分自身に従って新しい一歩を踏み出そう。

 

（作：真田 幸太郎）