こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】府中牝馬ステークス 2022 における勝負の明暗
2022年10月15日(土) 4回東京4日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第70回アイルランドT府中牝馬S
3歳以上・オープン・G2(別定) (牝)(国際)(指定) 芝 1800m 15頭立
着 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | イズジョーノキセキ | 牝5 | 54 | 岩田康誠 | 1.44.5 | 09-11-12 | 33.3 | 12 | (栗)石坂公一 | |
2 | 2 | ソダシ | 牝4 | 56 | 吉田隼人 | 1.44.5 | 頭 | 03-05-05 | 33.8 | 1 | (栗)須貝尚介 |
3 | 1 | アンドヴァラナウト | 牝4 | 54 | 福永祐一 | 1.44.7 | 3/4 | 06-09-09 | 33.8 | 3 | *(栗)池添学 |
4 | 10 | サトノセシル | 牝6 | 54 | ルメール | 1.44.7 | 頭 | 06-05-05 | 34.0 | 2 | (美)堀宣行 |
5 | 9 | アブレイズ | 牝5 | 54 | 大野拓弥 | 1.44.7 | クビ | 03-03-03 | 34.3 | 4 | (栗)池江泰寿 |
6 | 8 | ライティア | 牝5 | 54 | 坂井瑠星 | 1.44.8 | 1/2 | 01-02-02 | 34.7 | 11 | *(栗)池添学 |
7 | 14 | シャドウディーヴァ | 牝6 | 55 | 北村友一 | 1.44.9 | 3/4 | 15-15-14 | 33.5 | 5 | (美)斎藤誠 |
8 | 5 | クリノプレミアム | 牝5 | 54 | 松岡正海 | 1.45.1 | 1 1/4 | 05-05-07 | 34.3 | 10 | (美)伊藤伸一 |
9 | 7 | ラヴユーライヴ | 牝5 | 54 | 戸崎圭太 | 1.45.2 | クビ | 11-09-09 | 34.3 | 6 | (栗)矢作芳人 |
10 | 15 | アカイイト | 牝5 | 56 | 幸英明 | 1.45.5 | 1 1/2 | 14-13-12 | 34.4 | 8 | (栗)中竹和也 |
11 | 12 | クールキャット | 牝4 | 54 | 団野大成 | 1.45.5 | ハナ | 11-11-11 | 34.5 | 13 | (美)奥村武 |
12 | 4 | ホウオウピースフル | 牝5 | 54 | 丸田恭介 | 1.45.6 | 1/2 | 11-13-14 | 34.2 | 14 | (美)大竹正博 |
13 | 11 | リアアメリア | 牝5 | 54 | 藤岡佑介 | 1.45.7 | 1/2 | 06-03-04 | 35.1 | 7 | (栗)中内田充 |
14 | 13 | ゴルトベルク | 牝5 | 54 | 石川裕紀 | 1.46.3 | 4 | 09-08-07 | 35.5 | 15 | (美)手塚貴久 |
15 | 3 | ローザノワール | 牝6 | 54 | 田中勝春 | 1.46.6 | 1 1/2 | 02-01-01 | 36.8 | 9 | (栗)西園正都 |
府中牝馬ステークス=荒れる
「【府中牝馬ステークス】=波乱のレース」
私たちは、このような印象を持っている。
その象徴とも言えるのが、一昨年、2020年のレースではないだろうか。
8頭立てという少頭数のレースだったが、何と上位3着までを
「単勝人気のワースト3頭がしめた!(6~8番人気)」
のだ。それも、翌年、世界の舞台でも活躍する1番人気馬・ラヴズオンリーユーが5着に敗れているのだ。
舞台となる東京芝1800Mは、1週前の【毎日王冠】から「堅く決まりやすい舞台」とイメージされる方も多いかもしれない。
だが【府中牝馬ステークス】はそれとは対照的といって良いだろう。
これが競馬の難しさであり、面白さなのかもしれない。
やっぱり今年も
そんな中、今年はあのソダシが急遽参戦を決めた(来月のマイルCSに直行のプランもあったらしいが、調子が良かったので使ったとのこと)
「さすがにソダシが出るなら、優勝は堅いのか!?」
と思われた競馬ファンも少なくなかっだろうが、そこは「荒れる府中牝馬ステークス」だ。何と1着には単勝12番人気の伏兵・イズジョーノキセキが突っ込んだ!
昨年11月、G1【エリザベス女王杯】に格上挑戦して5着に入った経験があるとはいえ、3勝クラスをようやく前走で制したような馬。
だが、終わってみれば、上がり3ハロン最速の脚で差し切り勝ち。快勝と言って良いだろう。
まずはイズジョーノキセキ陣営に、心から祝福を申し上げたい。
報道でもあったので、既にご存知の方も多いだろうが、岩田康騎手は、園田所属の時代から、イズジョーノキセキのオーナーにはお世話になっていたそうだ。
岩田康騎手にとっても、忘れられない1勝になっただろう。改めて、競馬にはドラマがある。
勝利するに相応しい馬
上でも記したように【エリザベス女王杯】での好走経験があるとはいえ、その後は3勝クラスでも苦戦したレースがあった。そして、前走でようやく勝ち上がってきたのだ。
だから、単勝12番人気という評価も、実績としては妥当と言えると思う。
それでも、今回のイズジョーノキセキのレースぶりを見て、皆様はどう思われただろうか?
人気薄の伏兵が、ハマった結果突き抜けたとうに見えただろうか?
どう見てもそうではない。
前半から、道中でのフットワークは実に軽快で落ち着いていた。
また、上手くソダシの後ろをついていった岩田康騎手の手綱さばきも見事だったとはいえ、上がり3ハロンで最速タイムをマークした末脚に関しても、反応の速さ、息の長さともに実に見事。
ここを勝利にするに相応しい一頭だったと言い切りたい。
第2のイズジョーノキセキは必ずいる!
ここで大事になってくるのは、当たり前のことかもしれないが
「これだけの実力を備えている馬であっても、3勝クラスを勝ち上がるのに時間を要した」
ということではないだろうか。
つまり、今日のイズジョーノキセキに近いパフォーマンスができる可能性を秘めた馬は、まだまだ沢山どこかに隠れているということ!
このところの重賞は、人気が順当に結果を出すレースが少なくない。
先週の【毎日王冠】【京都大賞典】は共にガチガチの決着だった。
また【秋華賞】も同様だったし【府中牝馬ステークス】も2~4着は上位人気3頭がしめている。
そのため「やっぱり競馬は上位人気馬を信頼すべきなんだ」と考える人もいるだろうが、イズジョーノキセキのように、隠れた伏兵が突然ベールを脱ぐケースがある!
私たちも、常にアンテナを張って、穴馬発掘に挑んでいきたいと再確認させられた。
2着ソダシ⇒改めて「大器」
では、最後に2頭ほど、気になった馬について触れていこう。
まずは2着のソダシから。敗れたとはいえ頭差の2着だ。
大目標を先に置く中での過程だと考えれば、全く悲観することはない。
レースぶりに対する率直な印象としては、多くの方が感じられていることと同様かもしれない。
【ヴィクトリアマイル】のレースぶりが余りにも良かったがゆえに「マイラーとして完成したのかな」という印象も持っていたが、そういった細かい距離適性の枠に当てはまる馬ではないようだ。
1ハロン伸びた1800Mでも、立ち回りの上手さは健在だし、何より普通なら勝っていたレース。
今回は、イズジョーノキセキの人馬の上手さと強さが素晴らしすぎただけ。
須貝調教師も
「次に向けた競馬はできたと思います」
と語っている。【マイルCS】は得意の阪神マイルだ。まず上位争いは堅いとみた!
10着アカイイト⇒やはり内回りで
昨年の【エリザベス女王杯】を制したアカイイト。
その昨年、実はここでの7着敗戦から、本番での勝利にこぎつけているだけに、当然、陣営としては今年も「ここを使ってから」のイメージだったと思う。
それでも、休み明けながら調教は動いていたので
「今年はいきなり結果を出す場面もあるかも!」
と期待していたが、結果は残念。ひょっとしたら、馬自身が「叩き台だし無理はしないよ」とでも感じていたのではないだろうか(笑)
直線に入った段階では良い手応えに見えたが、そこからは全く伸びず。
私たちの経験上、この手の失速の殆どは「仕上がり途上故のガス欠、もしくは距離が長い」のどちらかなのだが、今回はそうではない。
どちらかといえば得意とは言い難い、直線の長いコースだったこともあり、馬自身が前向きになりきれなかったのではないかと推測する。
調教での動きなどから、力の衰えは全くないと思う。連覇を狙う【エリザベス女王杯】なら、得意の内回りコースだけに、絶対に見直しが必要だ!実績ある馬だが、敢えて未来の主役に指名。
【府中牝馬ステークス2022】のレース後の関係者のコメント
1着 イズジョーノキセキ(岩田康誠騎手)
「最高のレースに体が反応して、あのガッツポーズになりました。ソダシが前にいることは分かっていたので、その後ろについていけば、道は開けると思っていました。そして、長い直線の東京競馬場で、この馬の末脚だからこそ勝つことができました。
やっとここまで、舞台を進めることが出来ました。馬主さんは園田の頃から応援して下さっていて、重賞初制覇と、その期待に応えることができて嬉しいです」2着 ソダシ(吉田隼人騎手)
「残り1ハロンでアンドヴァラナウトを振り切って、押し切れるかと思ったのですが、苦しくなったところを差されてしまいました。この距離でも頑張ってくれています。レースがイメージより流れたので、ついていくと良くないと思い、一列下げて運びました。展開的にはアンラッキーでした。GI馬ですから押し切って欲しかったところですが、次が本番ですし切り替えて馬を作り直したいです」
2着 ソダシ(須貝尚介調教師)
「よく頑張ってくれたのですが……。1800mでもうまく立ち回って、最後まで走り切ってくれました。抜け出して1頭になるとフワッとするところがあるようです。斤量差もありましたし、それを考えれば次に向けた競馬はできたと思います」
3着 アンドヴァラナウト(福永祐一騎手)
「最内が開くと思っていたので狙っていました。いい脚を使ってくれています。体は増えていましたが雰囲気は良かったですし、このままの感じでいって欲しいです」
4着 サトノセシル(C.ルメール騎手)
「いい競馬をしてくれました。切れるタイプではありませんが、よく頑張ってくれています。重賞は勝てそうな馬です」
5着 アブレイズ(大野拓弥騎手)
「いいポジションがとれましたし、直線もしっかり伸びています。このメンバーでも差のない競馬で、頑張ってくれました」
8着 クリノプレミアム(松岡正海騎手)
「いい位置を取れましたが、少し重たかったかもしれません。4コーナーでもたついてしまいました」
10着 アカイイト(幸英明騎手)
「休み明けという感じのレースでした。手応えよく直線を向くことはできたのですが。去年もこのレースを使って良くなりましたし、次走で頑張りたいです」
(via ラジオNIKKEI )
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