こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】函館2歳ステークス 2022 における勝負の明暗
2022年 7月16日(土) 1回函館11日 天候 : 小雨 馬場状態 : 稍重
【11R】 第54回函館2歳S
2歳・オープン・G3(馬齢) (国際)(特指) 芝 1200m 13頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | 12 | ブトンドール | 牝2 | 54 | 鮫島克駿 | 1.11.8 | 09-06 | 36.6 | 4 | (栗)池添学 | |
2 | 3 | 3 | クリダーム | 牡2 | 54 | 武豊 | 1.12.0 | 1 1/4 | 01-01 | 37.5 | 3 | (栗)須貝尚介 |
3 | 2 | 2 | オマツリオトコ | 牡2 | 54 | 横山武史 | 1.12.0 | クビ | 13-13 | 35.8 | 8 | (美)伊藤圭三 |
4 | 6 | 9 | ゴキゲンサン | 牝2 | 54 | 藤岡佑介 | 1.12.2 | 1 | 07-06 | 37.1 | 10 | (美)伊藤大士 |
5 | 6 | 8 | ミスヨコハマ | 牝2 | 54 | 斎藤新 | 1.12.2 | 頭 | 09-06 | 37.0 | 7 | (美)斎藤誠 |
6 | 5 | 6 | ニシノシークレット | 牡2 | 54 | 勝浦正樹 | 1.12.2 | ハナ | 06-05 | 37.3 | 6 | (美)村田一誠 |
7 | 5 | 7 | シンゼンイズモ | 牡2 | 54 | 浜中俊 | 1.12.3 | クビ | 12-11 | 36.8 | 12 | (栗)荒川義之 |
8 | 4 | 5 | スプレモフレイバー | 牡2 | 54 | 吉田隼人 | 1.12.7 | 2 1/2 | 02-02 | 38.1 | 1 | (美)久保田貴 |
9 | 8 | 13 | アスクドリームモア | 牡2 | 54 | 岩田康誠 | 1.12.9 | 1 1/4 | 03-03 | 38.1 | 5 | (栗)藤原英昭 |
10 | 4 | 4 | オボロヅキヨ | 牡2 | 54 | 松田大作 | 1.13.4 | 2 1/2 | 07-09 | 38.3 | 13 | (栗)渡辺薫彦 |
11 | 7 | 10 | ミシェラドラータ | 牡2 | 54 | 池添謙一 | 1.13.4 | 頭 | 09-11 | 38.2 | 2 | (栗)清水久詞 |
12 | 7 | 11 | ニーナブランド | 牝2 | 54 | 横山和生 | 1.13.6 | 1 1/4 | 03-09 | 38.8 | 9 | (美)高橋裕 |
13 | 1 | 1 | ロッソランパンテ | 牝2 | 54 | 三浦皇成 | 1.14.3 | 4 | 03-03 | 39.5 | 11 | (美)杉浦宏昭 |
早熟レースから出世レースへ
【函館2歳ステークス】に対して、皆さまはどういったイメージをお持ちだろう?
恐らく「早熟の馬たちのレース。重賞とはいえ先には繋がりにくい」などとお考えの方もいらっしゃると思う。
確かに、かつてはそういった時期もあった。
だが、近年はその傾向にも変化が出始めている!
例えば2019年の優勝馬ビアンフェは、4歳だった昨年、重賞を勝った。
また、5歳になった今年も、重賞で好走をしている。
調教技術の進化もあり
「伸びしろを残しつつの早い段階での仕上げ」
が可能になったということだろう。
それだけに、ここでの好走馬、あるいは着順の上では凡走でも中身のある走りをした馬、こういった面々に関しては、これからも追いかけていく必要がありそうだ。
目立った馬はいたか?
では、具体的に目立った馬はいたのか?
さて、通常の重賞レース回顧は、勝ち馬を中心に、レース全体の特徴・ポイントを振り返ることで「明日の高配当獲得へのヒントを掴む」という目的の元に書いている。
だが、今回は2歳戦の重賞第一弾。
レース全体を振り返る以前に「知らない馬ばかりのレースだった」という方が多いと思う。
ということで今回は特別に、私たちが目立つ素材だと考えた3頭をピックアップ!
簡単ではあるが、彼らを1頭ずつご紹介(解説)する形をとることにした。
ぜひ、参考になさってほしい。
1着ブトンドール⇒条件が向いたとしても
まずはもちろん優勝したブトンドールから!
世代最初の重賞タイトルの獲得、おめでとう!
ブトンドールといえば、前走の新馬戦、今回と同じ函館芝1200M・稍重の舞台において、上がり3ハロン最速の脚を繰り出して快勝!
その際に見せた、ライバルたちとは一味違う軽快なフットワークから
であることは明白だった。
だから、その前走よりもさらに時計のかかる馬場(前走の勝ち時計は1分11秒1、今回は1分11秒8)が、ブトンドールの追い風になったことは確かだろう。
とはいえ、それだけで重賞を勝てるほど、競馬は甘くはない。
結論からいうと「大きな可能性を秘めた素材」だと考えている!
可能性を感じる理由とは?
では、どうして可能性を感じたのか?
結論としては、やはり「精神的の魅力」だ。
レース後、鮫島駿騎手はこんなことを語っている。
その通り、心地よさそうに落ち着いたフットワークで走れていた。
経験の浅い2歳馬にもかかわらず、周囲の動きに気を取られず、自分の走りができるのは、精神的に非常に成熟していることの証。
当たり前のことを言うようだが、落ち着いて走れたら「余計なスタミナロスがない=最後まで脚が伸ばせる」
少なくとも2歳時〜3歳前半くらいまでは、大きなアドバンテージになるはず!
条件が向いたとは言え重賞を勝てた根本的な走力に精神面の魅力が加われば!
来年の【桜花賞】あたりでも面白い存在になっているかも!?ぜひ、意識しておいてほしい!
2着クリダーム⇒時間はかかるかもしれないが
続いては2着のクリダームだ。
タフな馬場をものともせずに前半から先頭を走り、結果的には勝ち馬に差されはしたが、最後までよく粘った。
単純な走力的な部分でいえば、勝ち馬と互角の評価も可能かもしれない。
唯一、ブトンドールとは対照的で、精神的な若さは気になるところだ。
(あくまでも現段階では)すぐに劇的に改善する雰囲気ではないようにも思う。
とはいえ、名門・須貝厩舎の管理馬だ。
精神的に簡単だったとは言い難いゴールドシップにいくつもG1を獲得させた陣営だけに、難しいなりに上手く成長させていくのではないだろうか。
現時点では逃げ・先行型のスプリンター。
5着ミスヨコハマ⇒もったいないレースに
もったいないレースになってしまったのが、5着のミスヨコハマだ。
早速、レース後の鞍上・斎藤新のコメントをご紹介してみたい。
本当にその通りだと思う。
経験の浅い2歳馬にしては難しいレースになってしまった。ましてや繊細な牝馬、途中で気持ちが切れてもおかしくないが、しっかりと5着でまとめりあたり、心身両面での魅力を感じた。
尚、鞍上は次のコメントも残している。
こちらも同感。
そういえば、昨年の【函館2歳ステークス】の5着馬は、後にG1【NHKマイルカップ】で衝撃の走りを見せたカワキタレブリー。
同じ5着だからという訳ではないが(笑)ミスヨコハマにも羽ばたく予感あり!
この馬を未来の主役に指名しておきたい。
【函館2歳ステークス 2022】のレース後の関係者のコメント
レース後のコメント
1着 ブトンドール(鮫島克駿騎手)
「特にこの位置が欲しいというプランはなくて、できるだけ直線に向くまで馬のリズムでしっかり走れれば良いなと思っていました。2着馬がすごく遠い位置にいたので、何とか届いてくれと思って馬を鼓舞しながら追っていました。ラスト100mくらいで交わせそうだなという末脚でしたし、その辺りで勝てると思いました。将来性のある馬ですし、今後はオーナーサイド、先生ともしっかり相談して、しっかり(距離適性を)見極めて、次に乗せてもらえるようなら、しっかり結果を残せるように頑張りたいですね。例年だと僕は函館では騎乗していなくて、小倉で乗っているのですが、今回滞在を決めて、最終週にたくさんのお客さんの前で結果を出すことができて良かったと思います。今回チャンスを頂いたオーナーや全ての人に感謝したいです」
2着 クリダーム(武豊騎手)
「惜しかったです。この枠で好スタートを切れたので、迷わず先手を取りました。振り切ったかと思いましたが、一頭強い馬がいました。この馬も良いスピードがあります」
3着 オマツリオトコ(横山武史騎手)
「良い馬ですがダート向きだと思っていて、馬場が荒れればワンチャンスあると思っていました。スタートで進んでいかないなど、課題も多い中で、最後の脚は目を引くものがありました」
4着 ゴキゲンサン(藤岡佑介騎手)
「一度使われて順当に上積みがありました。1200mにしては出入りが激しくなりましたが、気持ちの強い牝馬なので、気持ちを途切れさせずに頑張ってくれました。先々楽しみです」
5着 ミスヨコハマ(斎藤新騎手)
「スタートでトモを落としたり、3コーナーから4コーナーにかけても窮屈になるなど、スムーズではなかったのですが、これまで2戦とは違う形のレースでも頑張ってくれました。まだ幼さが残るので、成長してくればもっとやれると思います」
8着 スプレモフレイバー(吉田隼人騎手)
「クリダームを負かすために早め早めの形になりましたが、結果的に厳しくなりました。まだ体を上手く使えていない感じです。人気になっていたので勝ちたかったのですが、走り切れませんでした」
11着 ミシェラドラータ(池添謙一騎手)
「3戦目で、思った以上にイレ込んでいました。ゲートも上に出る感じでしたし、3コーナーでは押し込められて、行くところ行くところ進路がありませんでした。今日は競馬になりませんでした」
(via ラジオNIKKEI )
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