こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】神戸新聞杯 2018 における勝負の明暗
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 3 | 3 | ワグネリアン | 牡3 | 56 | 藤岡康太 | 2.25.6 | 07-07-06-05 | 34.2 | 2 | |
2 | B2 | 2 | エタリオウ | 牡3 | 56 | M.デム | 2.25.7 | 1/2 | 10-10-10-09 | 33.9 | 3 |
3 | B6 | 6 | メイショウテッコン | 牡3 | 56 | 松山弘平 | 2.25.7 | 頭 | 01-01-01-01 | 34.7 | 6 |
4 | 7 | 8 | エポカドーロ | 牡3 | 56 | 戸崎圭太 | 2.26.1 | 2 1/2 | 08-08-08-08 | 34.5 | 1 |
5 | 4 | 4 | ステイフーリッシュ | 牡3 | 56 | 川田将雅 | 2.26.4 | 1 3/4 | 03-03-03-03 | 35.2 | 4 |
6 | 5 | 5 | タイムフライヤー | 牡3 | 56 | 和田竜二 | 2.26.5 | 1/2 | 04-04-05-05 | 35.1 | 8 |
7 | 7 | 7 | ビッグスモーキー | 牡3 | 56 | 浜中俊 | 2.26.5 | クビ | 02-02-02-02 | 35.4 | 9 |
8 | 1 | 1 | ゴーフォザサミット | 牡3 | 56 | 蛯名正義 | 2.26.8 | 1 1/2 | 06-06-06-05 | 35.3 | 5 |
9 | 8 | 9 | アドマイヤアルバ | 牡3 | 56 | 岩田康誠 | 2.26.9 | 3/4 | 09-09-09-09 | 35.2 | 7 |
10 | 8 | 10 | ハーベストムーン | 牡3 | 56 | 幸英明 | 2.28.0 | 7 | 05-05-04-03 | 36.8 | 10 |
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ダービー馬ワグネリアン、皐月賞馬エポカドーロ、ダービー4着エタリオウなど、3歳世代トップクラスが複数出走するということで注目を集めた【神戸新聞杯】だったが、終わってみればワグネリアンがダービー馬の貫禄を見せつけることになった。
2着馬エタリオウとは半馬身差、そこから頭差で伏兵のメイショウテッコンが続いていたことから、中には「結構危なかったんじゃないか?」という見方をする人もいると思う。
だが、私の考えは違う。「やはり強いな」と強く感じた。
理由は2つある。まずは
急な乗り替わりでも力を出し切った点
改めてご紹介するまでもなく、福永祐一騎手の頭部負傷に伴い、急遽、藤岡康太騎手が騎乗することになった。
誤解のないように記しておきたいが、藤岡康太騎手は、間違いなく今回の代役に相応しい騎手。
芝2000M~2400Mでの安定感が抜群
以下のデータをご覧頂きたい。
藤岡康太 直近5年半の芝レース(会場問わず)における距離別成績
条件 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
芝2000~2400M | 7.0 | 17.8 | 26.7 |
芝1600~2000M | 6.0 | 15.2 | 23.4 |
芝1200~1600M | 8.4 | 14.2 | 21.6 |
2013年頭から、約5年半における、藤岡康太騎手の芝レースにおける距離別を調べてみたが【神戸新聞杯】の舞台である芝2400を含む「2000M~2400M」が、全3項目のうち、連対率・複勝率の2項目でトップになっているのだ!
昔から、競馬の世界では、距離の長いレースになるほど騎手の腕が問われると言われている。ご存知の方も多いだろう。つまりこのデータは、彼が単純に長い距離を得意にしているという安易な結論ではなく、彼の腕が確かだということの証明なのだ。更に!
言わずと知れた勝負強さ
こちらに関しては、改めて語るまでもないかもしれない。
デビュー3年目の2009年、ジョーカプチーノとのコンビで成し遂げたG1初制覇(NHKマイルカップ)は競馬ファンの印象に強烈に残っているだろう。
ちなみに20歳4ヶ月という若さでのG1制覇は、グレード制導入後では10番目のスピード記録だったという。
もちろん、兄藤岡佑介より9年も早いG1勝ちだ!
(奇しくも、兄も同じG1NHKマイルカップでG1初勝利を挙げている)
競馬の世界に限った話ではないかもしれないが、勝負強さを発揮できる人というのは、結局のところ「度胸」がズバ抜けている人なのだと思う。ビビっていたら、勝負強さなど発揮できる筈がない。
藤岡康太もそうだろう。だから例えダービー馬とのコンビとなっても、落ち着いて、馬の力を引き出す騎乗をするに違いない。
このように、素晴らしいジョッキーだ。それを大前提として、ワグネリアンというのは少々かかる面があり、決して乗りやすい馬ではない。だから、誰が騎乗するにせよ、実戦での初コンビは簡単ではないと考えていた。(実際に、レース後に藤岡康太から「行きたがる面があった」とのコメントが出ている)
それを乗り越えて勝利したのだからさすがだ。
「やはり強いな」と考えたもうひとつの理由は
ベストではない2400Mでダービーに続き連勝した点
ダービーを勝っているだけに、ワグネリアンにとってのベストは2400Mだと考える人は多いかもしれない。だが決してそうではない。
上でも記した通り、ワグネリアンにはかかる面がある。本来はもう少し短いところがいいのだ。
実際に、レース終了後に友道調教師がこんなことを語っていた。
クラシックラスト1冠の権利は得たが、次戦は天皇賞・秋(10月28日・東京)に決定した。鞍上は福永。友道師は「オーナーと話をして決めました。東京の二千は一番合っていると思いますしね。きょうは弾みがつく勝利でした」と語った。(via デイリースポーツ)
これなら、初めての古馬との対戦となる大一番でもチャンスあり!同期のダノンプレミアムと共に【天皇賞秋】で3歳馬旋風が起きるかも!
地力は間違いないが
2着のエタリオウに関しては、ほぼ勝負が決まってからの追い込みだから、勝ち馬と半馬身差という着差よりは、能力差があるように感じるが、それでもタフな阪神の坂を軽快に駆け上がってきたあたりに底力を感じる。
さあ迎えるはG1【菊花賞】。京都でも勝利している実績はあるが、父ステイゴールド譲りのパワーがあるだけに、本質は直線に坂のあるコース向きだろう。適性を底力でカバーできるか?注目。
いつもは「未来の主役」に特化してご紹介するコーナーだが、今回は、敢えて「既に主役」のエポカドーロについて触れておきたい。出遅れがあったにせよ、4着に敗戦。その結果に対する率直な思いを記しておこう。
4着のエポカドーロ
まさかの出遅れにはガッカリされた方も多いだろう。
これまで、常に逃げ、あるいは好位で競馬をしてきた馬にとって、出遅れは致命的。それでも4着まで追い上げるのはさすが、という考え方もあると思う。
一方で、私は「慣れない展開にせよ3着から2馬身半の差は、思ったより開かれたな」という印象を受けた。
【皐月賞】勝ち&【ダービー】2着という圧倒的な成績に目がくらみがちだが、よもやの展開が訪れた時、それを簡単に跳ね返せるほど抜けた馬ではないことがわかった。
当然【菊花賞】でも1番人気候補だろうし、勝利する可能性も十分にある。だが、強さを信じすぎ、思い込みすぎると、痛い目に遭うかも。あくまでも「世代トップクラスの一頭」という冷静な目で評価するのがベストではないだろうか。
【神戸新聞杯 2018】を見逃した方は下記からご覧下さい。
【みんなのKEIBA 次回9月30日(日) 】
神戸新聞杯・GⅡはダービー馬③ワグネリアンが勝利!
2着の3番人気②エタリオウ、3着の6番人気⑥メイショウテッコンと
ともに菊花賞優先出走権が与えられます。
1番人気の皐月賞馬エポカドーロは4着。3連単は1万650円の払い戻し。#みんなのKEIBA pic.twitter.com/MfoHeWYEpB— フジテレビ競馬 (@fujitvkeiba) September 23, 2018
【神戸新聞杯 2018】のレース後の関係者のコメント
~レース後のコメント~
1着 ワグネリアン(藤岡康騎手)
「ダービー馬ですからね。自信を持って乗りました。普段から調教には乗っていましたから、(急遽の乗り替わりでも)その点は気持ちが楽でした。夏を越えて体がひと回り大きくなって、心も大きく成長しての秋初戦でした。折り合いがポイントでしたが、行きたがるところはありました。でも馬の力に助けられました。ラストはダービー馬の根性を見せてくれました」
2着 エタリオウ(友道康夫調教師)
「この馬のスタイルで、最高にいい脚を使ってくれました。距離が延びてさらに良さそうですし、胸を張って菊花賞へ行けます」
3着 メイショウテッコン(松山騎手)
「スタートに課題がありますが、ハナに立ってからは折り合いもついてマイペースで運べました。次は京都になりますが、距離も大丈夫ですし、コースもプラスになると思います。4コーナーでセーフティリードが欲しかったですね」
4着 エポカドーロ(戸崎騎手)
「スタートがあんな感じになってしまいました。自分のレースが出来ませんでした。前に行きたかっただけに残念ですが、これを使って良くなりそうです」
5着 ステイフーリッシュ(川田騎手)
「秋初戦で、これだけのメンバーですからね。掲示板は外していませんし、この馬の上には強い馬が来ていましたから、よく頑張っています」
7着 ビッグスモーキー(浜中騎手)
「スタート良く、逃げ馬を行かせてのレースをしました。前とは大きな差がなかったですし、よく頑張ってくれました」
9着 アドマイヤアルバ(岩田騎手)
「今日は中団あたりから運びたかったのですが、進んで行きませんでした。使っての変わり身を期待です」
(via ラジオNIKKEI )
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