こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、私たちなりの視点で、レース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
オークス 2025 の回顧&未来の主役
2025年 5月25日(日) 2回東京10日 天候 : 曇 馬場状態 : 良
【11R】 第86回優駿牝馬
3歳・オープン・G1(馬齢) (牝)(国際)(指定) 芝 2400m 18頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | 15 | カムニャック | 牝3 | 55 | シュタル | 2.25.7 | 11-11-12-11 | 33.8 | 4 | (栗)友道康夫 | |
2 | 1 | 1 | アルマヴェローチェ | 牝3 | 55 | 岩田望来 | 2.25.7 | 頭 | 06-05-05-05 | 34.2 | 2 | (栗)上村洋行 |
3 | 7 | 13 | タガノアビー | 牝3 | 55 | 藤岡佑介 | 2.25.9 | 1 1/4 | 18-18-18-17 | 33.5 | 10 | *(栗)千田輝彦 |
4 | 2 | 3 | パラディレーヌ | 牝3 | 55 | 丹内祐次 | 2.26.0 | クビ | 09-08-08-08 | 34.3 | 7 | *(栗)千田輝彦 |
5 | 3 | 5 | リンクスティップ | 牝3 | 55 | M.デム | 2.26.2 | 1 1/4 | 14-14-08-08 | 34.5 | 3 | (栗)西村真幸 |
6 | 6 | 11 | ウィルサヴァイブ | 牝3 | 55 | 団野大成 | 2.26.4 | 1 1/4 | 08-08-08-08 | 34.7 | 18 | (栗)須貝尚介 |
7 | 6 | 12 | ブラウンラチェット | 牝3 | 55 | レーン | 2.26.6 | 1 1/2 | 10-10-11-11 | 34.6 | 6 | *(美)手塚貴久 |
8 | 8 | 17 | ケリフレッドアスク | 牝3 | 55 | ディー | 2.26.7 | クビ | 02-02-02-02 | 35.6 | 14 | (栗)藤原英昭 |
9 | 5 | 9 | エンブロイダリー | 牝3 | 55 | ルメール | 2.26.7 | クビ | 06-05-05-05 | 35.2 | 1 | (美)森一誠 |
10 | 8 | 18 | エリカエクスプレス | 牝3 | 55 | 戸崎圭太 | 2.26.8 | 3/4 | 01-01-01-01 | 35.8 | 5 | (栗)杉山晴紀 |
11 | 5 | 10 | タイセイプランセス | 牝3 | 55 | 石橋脩 | 2.26.9 | クビ | 16-16-16-15 | 34.7 | 9 | (美)池上昌和 |
12 | 2 | 4 | アイサンサン | 牝3 | 55 | 北村宏司 | 2.27.0 | 1 | 11-11-12-11 | 35.0 | 15 | (栗)佐々木晶 |
13 | 3 | 6 | ビップデイジー | 牝3 | 55 | 幸英明 | 2.27.0 | ハナ | 15-15-12-15 | 34.8 | 12 | (栗)松下武士 |
14 | 1 | 2 | レーヴドロペラ | 牝3 | 55 | 大野拓弥 | 2.27.1 | 1/2 | 13-13-12-11 | 35.1 | 17 | (美)加藤士津 |
15 | 4 | 8 | サタデーサンライズ | 牝3 | 55 | 田辺裕信 | 2.27.3 | 1 | 04-04-03-03 | 36.0 | 16 | (栗)石坂公一 |
16 | 4 | 7 | レーゼドラマ | 牝3 | 55 | 坂井瑠星 | 2.27.3 | クビ | 02-03-03-03 | 36.0 | 8 | (栗)辻野泰之 |
17 | 7 | 14 | サヴォンリンナ | 牝3 | 55 | 北村友一 | 2.28.1 | 5 | 05-05-05-05 | 36.6 | 11 | (栗)田中克典 |
18 | 8 | 16 | ゴーソーファー | 牝3 | 55 | 津村明秀 | 2.31.1 | 大差 | 16-17-17-17 | 38.7 | 13 | *(美)手塚貴久 |
まずは、すべての出走馬に敬意を!
毎年のように申し上げていることではあるが、大事なことなので何度でも(笑)
【オークス】そして【ダービー】というのは、すべての競走馬、そしてホースマンにとって、生涯たった一度の特別な舞台だ。
2022年に生産された競走馬は7700頭あまりだと言われているが【オークス】そして【ダービー】に出走できる馬は、合計で36頭。
割合でいうと、わずか「0.5%」の精鋭たちなのだ。
もちろん、どんなに素質があろうとも、ケガをしたり体調を崩したりすることで、涙をのむこともある。
つまり、この舞台に到達したこと自体に本当に大きな価値があり、私たちは心から敬意を表するべきなのだと思う。
結果的には優勝馬もいれば、残念ながら最下位に終わった馬もいる。それでも、ぜひ胸を張ってほしい。
熱い勝負をありがとう。そしてお疲れ様。
これぞ、現代競馬の象徴だ
さて、そんな【オークス】
レースを見終えた今、最も強く感じる思いは
だということ。
近年の日本競馬界は、かつてないほど能力拮抗の時代に入ったと言われる。イクイノックスのような、十年に一頭クラスの桁違いの馬を除けば、どんなに力があっても、少し体調が整わなかったり、距離や馬場などの条件が合わなかったりするだけで、簡単に凡走することも。
あのアーモンドアイでさえ、体調が合わなかった【有馬記念】では9着に終わっている
一方、今年の3歳牝馬勢の場合は【桜花賞】の上位3頭、中でも優勝したエンブロイダリーの能力の高さ、そして状態の良さを評価する声は多く1番人気に推された。
だが、唯一の懸念材料と言われていた「距離(父は名マイラーのアドマイヤマーズ)」の部分がモロに出てしまった。序盤から、2着アルマヴェローチェと同じような位置を走っていたが、直線では伸びずに9着に沈んだ。
上位勢は、適性が違った
実際にレース後、ルメール騎手は
「もう少し短いところの方が合っている」
という趣旨のコメントを残している。
対して、優勝したカムニャック(前走・フローラS優勝)を含め、上位3頭は、デビュー当時から、長いところで期待をされてきた、あるいはここにきて2000M以上のレースで結果を出してきた馬。
もちろん、G1で上位にくるのだから、それ相応の能力の持ち主であることは前提だ。
特にカムニャックに関しては、前走【フローラS】の回顧の際「オークスで勝ち負け」と言い切らせてもらったほど、高く評価した馬でもある。(ちゃんと読んでおくと、回顧は役立つんですよ笑)
参考⇒フローラS週の回顧
その上で、距離適性の違いが、しっかりと結果に反映されたということだ。
決めつけることなかれ
要するに、現代の競馬においては「決めつけてはいけない」ということ。

上でも名前を挙げた、イクイノックス級の馬が出現したら、さすがにどんなレースでも狙っていいだろう(笑)
逆に言えば、そこまでとは思えないほどの馬であれば「本当に条件に合っているのか?」をとにかく大事にしたい。
ただ「どの条件を重視すべきか?」という部分もレースによって異なってくるだろう。そこで大事になるのが「大局観」であり、私たちは
「キングのキーワード」
という形で、各レース毎に皆様にはご紹介している。
目の前に迫った【日本ダービー】に関しても「この部分は必ず意識しなくてはいけない」という方向性を既に見定めており、まもなく、有料会員様には公開するつもりだ。
なんだか宣伝のようになってしまい恐縮だが(笑)
今こそ「大局観(キングのキーワード)」にこだわり続けてきた私たちの出番だと信じている。今後の春G1、さらに夏競馬、秋競馬と、楽しみにしていてほしい。
最後に1頭お伝えするなら
では、最後に「未来の主役」を一頭。
ここまでの話と矛盾するようだが、比較的どんな条件であっても対応し、力を発揮できそうな馬として、4着パラディレーヌ(7番人気)を挙げさせてほしい。
このレースにおける私たちの軸馬だったこともあり、特にじっくりとレースぶりを見ていたが、良い意味で、思ったのと違う走りをしてくれた。
牡馬一線級を相手に勝利を経験している実力と、オークス向きの爆発的な末脚を活かしてまとめて差し切る、そんなイメージをしていたが、、、
クセの強い馬という評判はどこへやら。終始折り合い、立ち回りも上手く、最後まで丁寧に競馬をしていた。
レース後、丹内騎手は
という趣旨のコメントを残しているが、彼も良い意味で驚いたのではないだろうか。
確かに、今回は一歩足りなかった。だが、今日の走りを見る限り、距離は2000前後がベストに感じられるが、恐らくコースの向き不向きはなさそう。
【秋華賞】では、非常に面白い存在になるんじゃないだろうか!?楽しみを持って、未来の主役に指名する。
平安ステークス 2025 の回顧&未来の主役
2025年 5月24日(土) 2回京都9日 天候 : 雨 馬場状態 : 稍重
【11R】 第32回平安S
4歳以上・オープン・G3(別定) (国際)(指定) ダート 1900m 16頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | 7 | アウトレンジ | 牡5 | 58 | 松山弘平 | 1.57.2 | 03-03-03-03 | 35.1 | 4 | (栗)大久保龍 | |
2 | 3 | 6 | ロードクロンヌ | 牡4 | 57 | 藤岡佑介 | 1.57.4 | 1 1/2 | 05-05-05-06 | 35.2 | 2 | (栗)四位洋文 |
3 | 6 | 12 | レヴォントゥレット | 牡4 | 57 | 鮫島克駿 | 1.57.4 | 頭 | 01-01-01-01 | 35.6 | 10 | (栗)矢作芳人 |
4 | 7 | 13 | ジンセイ | 牡4 | 57 | 川田将雅 | 1.57.5 | 1/2 | 06-05-05-03 | 35.3 | 5 | (栗)庄野靖志 |
5 | B8 | 15 | タイトニット | 牡5 | 57 | 坂井瑠星 | 1.57.5 | クビ | 08-08-07-06 | 35.1 | 7 | (栗)今野貞一 |
6 | 1 | 1 | テーオードレフォン | 牡6 | 57 | シュタル | 1.57.8 | 1 1/2 | 06-05-07-09 | 35.5 | 6 | (栗)梅田智之 |
7 | 2 | 4 | メイショウハリオ | 牡8 | 59 | 浜中俊 | 1.57.8 | ハナ | 12-12-11-11 | 35.2 | 3 | (栗)岡田稲男 |
8 | 6 | 11 | マーブルロック | 牡5 | 57 | 武豊 | 1.58.2 | 2 1/2 | 02-02-02-02 | 36.3 | 8 | (栗)西園正都 |
9 | 4 | 8 | ブライアンセンス | 牡5 | 57 | 岩田望来 | 1.58.2 | クビ | 08-08-07-08 | 35.9 | 1 | (美)斎藤誠 |
10 | 3 | 5 | ルクスフロンティア | 牡5 | 57 | 岩田康誠 | 1.58.5 | 1 3/4 | 08-10-11-14 | 36.0 | 9 | (栗)松永幹夫 |
11 | B1 | 2 | スレイマン | 牡7 | 57 | 北村友一 | 1.58.5 | クビ | 14-14-15-15 | 35.7 | 13 | (栗)池添学 |
12 | B5 | 9 | カンピオーネ | 牡6 | 57 | 高杉吏麒 | 1.58.6 | 1/2 | 14-14-15-15 | 35.7 | 12 | (美)栗田徹 |
13 | 5 | 10 | ペプチドソレイユ | 牡5 | 57 | 古川吉洋 | 1.58.7 | 1/2 | 16-16-14-11 | 36.1 | 16 | (栗)武英智 |
14 | 8 | 16 | バハルダール | 牡6 | 57 | 田口貫太 | 1.58.8 | クビ | 12-12-11-11 | 36.2 | 15 | (栗)池江泰寿 |
15 | 7 | 14 | ライオットガール | 牝5 | 55 | 吉村誠之 | 1.58.9 | 3/4 | 11-10-10-09 | 36.4 | 14 | (栗)中村直也 |
16 | 2 | 3 | メイクアリープ | 牡6 | 57 | 幸英明 | 1.59.0 | 1 | 03-03-03-03 | 36.9 | 11 | (栗)大根田裕 |
どうした、ブライアンセンス?
今回のレースを振り返る中で、やはり最も素晴らしかったのは優勝したアウトレンジ。
もちろん、2着馬に1馬身半差という決定的な着差をつけての勝利という結果自体も見事。
ただ、それ以上に「中身」だろう。
序盤から、鞍上の意のままに余裕をもって好位追走したかと思えば、仕掛けられてからの反応も速く、上がり3ハロンでは最速をマーク。
レースのどの部分を切り取ってみても、全くスキは感じられなかった。
レース後、松山騎手は
という趣旨のコメントを語っていたが、決してサービストークなどではないだろう。

G3でこれだけの完勝ができるなら、上の舞台、つまりはG1での活躍は必ず訪れるはずだし、何と言ってもまだ5歳だ。この先、何度も私たちを痺れさせてくれるだろう。期待したい。
一方で勝ち馬の勝利と同じくらい印象的だったのが、1番人気馬ブライアンセンスの「9着惨敗」ではないだろうか。
いったい、どうしたんだ?
確かに流れも合わなかったが
前走、重賞の【マーチステークス】を快勝しての参戦。
「強さ」もそうだが、デビューから前走までの14戦中、掲示板を外したのが2回だけ(最低着順は7着)という素晴らしい安定感の持ち主でもある。
それだけに、まさかの9着に驚かれた方は多いだろう。
レース後、岩田望騎手はこんな趣旨のことを話していた。
もちろん、そういった面もあったのかもしれないが、個人的には少々懐疑的だ。
そういう、合わない展開でも力を出せる馬だからこそ、上で記したような安定感を見せてこられたのではないか?
これは私の推測だが、ジョッキーは恐らく陣営に気を遣ったとみる。というのも、明らかに「仕上げが上手くいっていなかった」
それは「1週前追い切り」をみればわかる。
答えは1週前にあり
これまで、回顧のコラムでは何度かお話してきたと思うが、今の調教は
「1週前が実質最終追い」
本当の最終追いは整える程度、というのが主流だ。

例えば、昨年引退した友道厩舎のドウデュースが、1週前に爆発的な動きを見せ、ライバル陣営を震え上がらせていたことは、皆様もご承知だろう。
私たちも、予想においては調教のチェックを非常に大事にしているが、最重要視しているのは、間違いなく1週前。
特にオープンや重賞以上のトップグレードの馬たちは、よほどのことがない限り、そこから大きくデキが変動することはない。
逆にいえば、多少最終追いがよく見えても、1週前までの段階で本来の動きではなかったら、信用はしにくい、ということになる。
その点、ブライアンセンスは、1週前、格下の馬相手の併せ馬で遅れをとっていた。そして、案の定の結果だった。
今後、皆様も馬券を買われる上では、必ず1週前追いをチェックしてほしい。そして、例え格下の馬が相手だとしても「併走遅れ」の場合は要注意!!!