こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、私たちなりの視点で、レース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
ローズS 2024 の回顧&未来の主役
2024年 9月15日(日) 3回中京4日 天候 : 曇 馬場状態 : 稍重
【11R】 第42回関西テレビ放送賞ローズS
3歳・オープン・G2(馬齢) (牝)(国際)(指定) 芝 2000m 15頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 2 | クイーンズウォーク | 牝3 | 55 | 川田将雅 | 1.59.9 | 07-06-06-06 | 33.5 | 2 | (栗)中内田充 | |
2 | 3 | 4 | チェレスタ | 牝3 | 55 | 西村淳也 | 2.00.1 | 1 1/2 | 03-03-03-02 | 34.3 | 7 | (栗)松下武士 |
3 | 6 | 10 | セキトバイースト | 牝3 | 55 | 藤岡佑介 | 2.00.1 | 頭 | 01-01-01-01 | 35.8 | 11 | (栗)四位洋文 |
4 | 3 | 5 | タガノエルピーダ | 牝3 | 55 | 幸英明 | 2.00.2 | 1/2 | 05-05-04-04 | 34.2 | 4 | (栗)斉藤崇史 |
5 | 8 | 15 | レガレイラ | 牝3 | 55 | ルメール | 2.00.3 | クビ | 15-15-15-15 | 33.1 | 1 | (美)木村哲也 |
6 | 4 | 6 | レディーヴァリュー | 牝3 | 55 | 永島まな | 2.00.3 | 1/2 | 02-02-02-02 | 34.6 | 9 | (栗)小林真也 |
7 | 5 | 9 | ラヴァンダ | 牝3 | 55 | 岩田望来 | 2.00.5 | 3/4 | 03-04-04-04 | 34.4 | 8 | (栗)中村直也 |
8 | 1 | 1 | カニキュル | 牝3 | 55 | 戸崎圭太 | 2.00.7 | 1 1/2 | 09-08-08-08 | 34.1 | 5 | (美)菊沢隆徳 |
9 | 2 | 3 | オーロラエックス | 牝3 | 55 | 松山弘平 | 2.00.8 | 1 | 09-10-10-10 | 34.1 | 3 | (栗)杉山晴紀 |
10 | 4 | 7 | サンセットビュー | 牝3 | 55 | 鮫島克駿 | 2.00.9 | 1/2 | 12-10-12-11 | 34.0 | 14 | (栗)新谷功一 |
11 | 8 | 14 | サフィラ | 牝3 | 55 | 北村友一 | 2.01.0 | クビ | 14-13-13-13 | 34.0 | 12 | (栗)池添学 |
12 | 7 | 13 | ハワイアンティアレ | 牝3 | 55 | 池添謙一 | 2.01.3 | 1 1/2 | 12-13-13-13 | 34.2 | 13 | (栗)松永幹夫 |
13 | 6 | 11 | フレミングフープ | 牝3 | 55 | M.デム | 2.01.7 | 2 1/2 | 08-08-08-08 | 35.1 | 6 | (栗)友道康夫 |
14 | 7 | 12 | ザブライド | 牝3 | 55 | 和田竜二 | 2.01.9 | 1 1/2 | 09-10-10-11 | 35.1 | 15 | (栗)西村真幸 |
15 | 5 | 8 | ラビットアイ | 牝3 | 55 | 横山典弘 | 2.03.6 | 10 | 06-06-06-06 | 37.2 | 10 | (栗)鈴木孝志 |
強い!クイーンズウォーク!
3歳牝馬路線を代表する出世重賞【ローズS】を制したのは、単勝2番人気のクイーンズウォークだった。
【オークス】好走の実績から、そもそもここでは能力上位だったが、それに加えて、降雨により、少々力の要る馬場になったことも追い風にはなっただろう。
キズナ産駒は、タフな馬場をこなるパワフルな馬が多いと言われているが、520キロを超える雄大な馬体を含め、まさにその特徴を受け継いでいるようだ。
(キズナ自身も凱旋門賞で好走の実績あり)
とはいえ、先へ向けて余力残しだったことも調教の具合などからも明らか。
レースの流れに乗ったり、器用に立ち回れるセンスの持ち主でもあるだけに、本番の【秋華賞】を含め、今後、大きな活躍をすることは間違いない。
そんなクイーンズウォークの勝利と同様に、注目を集めるのは「鞍上・川田の活躍」
レース前の段階から、中京芝2000M重賞で「6連勝中」と、大きな話題になっていたが、今回の勝利でそれを「7」に伸ばした。
兄貴的な存在だった福永祐一騎手の、中京での強さ(特にスプリント)は有名だが「福永さん、中距離なら譲りませんよ」といったところだろうか。笑
馬にとっての正しい位置取り
こうして、表にまとめてみると、改めて素晴らしい数字だ。
川田騎手 中京芝2000Mの重賞における最近の成績
日付 | レース名 | 馬名S | 性齢 | 人気 | 着順 |
---|---|---|---|---|---|
240915 | ローズS G2 | クイーンズウォーク | 牝3 | 2 | 1 |
240811 | 小倉記念HG3 | リフレーミング | 牡6 | 1 | 1 |
240310 | 金鯱賞G2 | プログノーシス | 牡6 | 2 | 1 |
230312 | 金鯱賞G2 | プログノーシス | 牡5 | 1 | 1 |
230205 | きさらぎG3 | フリームファクシ | 牡3 | 1 | 1 |
230114 | 愛知杯HG3 | アートハウス | 牝4 | 1 | 1 |
220918 | ローズSG2 | アートハウス | 牝3 | 1 | 1 |
そんな川田騎手のレースを見ていて強く思うのは
「レースにおける正しい位置取りではなく、馬にとっての正しい位置取りをしているな」
ということ。
わかりやすく申し上げよう。
もしも「レースにおける正しい位置取り(つまりペースを考慮し、それに最適な位置取り)」をしていれば、川田騎手の馬の周囲にいた馬たちが、上位を独占しているはずだ。
だが、例えば今回なら、道中で近くにいた馬の一部が最終的に下位に沈んでいる。
あくまでも「馬にとって正しい位置取り(何よりも馬優先)」だからこそ、結果的にパートナーたちは気持ちよく走れるのだろう。

元々、競馬の世界では、名手の条件として「ペース判断」を挙げる人が多かった。
(あの騎手の体内時計は完璧だ。あの騎手の馬の側につければまず大丈夫、といった話を何度も聞いたことがある)
もちろん、それはそれで重賞なことは当然。
だが、それ以上に「馬ありき」と貫けること、それだけ馬のことをレース前の段階から把握しておくこと、つまり「技量と情報量の両者を最高レベルで高めること」の重要性を川田騎手は示している。
今後の名手の基準は、今の川田騎手のスタイルになるだろう。本当に凄まじい騎手だと思う。
レガレイラをどうみる?
さて、ここからは、クイーンズウォークを抑える形で1番人気を集めながら、無念の4着に終わったレガレイラについて考えたい。
4コーナー15番手という位置取りは、前を走っていた馬が粘れた流れの中では致命的と言って良い。
だから、4着とはいえ、上がり3ハロンで最速の脚を使った点を含め(勝ち馬を0.4秒も上回る33.1)中身はそれなりに濃かったと思う。
脚質的にもそうだし、大外を引いてしまったことも含め、今回は運が向かなかった面もあったと、割り切った方が良いだろう。

問題は今後だ。ローテーション的にどこに向かうのかはわからないが、恐らく多くの競馬ファンは
「差し一手だし、決して反応も速い方ではないし、直線が長い東京でのレースを目指すべきではないか?」
と思われるのではないだろうか。
だが、実は、私は全く「逆」だとみる。むしろ直線が短い狭いコース、内回りコースこそが本領を発揮できる舞台ではないか!
直線が長いコースほどペースが上がらない
確かに、直線のことだけを考えれば、東京のような舞台は合うだろう。
だが、これまでの予想家としての経験上、直線の長いコースは、多くの騎手が、その直線を恐れる(途中での失速を恐れる)ため、序盤から無理をさせず、ペースが上がらないことが多い。
ゆったりとした流れで直線に入れば、どの馬も余力が残っている。
だから、前にいる馬も、それなりの脚を使えてしまうため、どんなに良い脚を繰り出しても「差し届かず、、、」で終わってしまうものだ。
(もちろん、ディープインパクトだとかイクイノックスなどの特例は、今回は考えないことにしたい)
対して、直線が短いコースほど、後ろの馬は早い段階から積極的に攻めていく。マクってレースを動かすような馬も、そうしたコースの時には数多く出て切る。
結果、急流になり前の馬が苦しくなり、後ろの馬たちに浮上のチャンスが生まれてくる。
そういえば、この馬がG1勝ちを収めた舞台も中山芝2000Mであり、自ら、少しずつ位置取りをあげる場面もあったような、、、
参考⇒ホープフルS 2023
陣営の意向は知らないが、個人的には、ぜひ【秋華賞】でその姿を見たい。
未来の主役に指名し、注目していこう。
セントライト記念 2024 の回顧&未来の主役
2024年 9月16日(祝) 4回中山5日 天候 : 曇 馬場状態 : 良
【11R】 第78回朝日杯セントライト記念
3歳・オープン・G2(馬齢) (国際)(指定) 芝 2200m 14頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 1 | アーバンシック | 牡3 | 57 | ルメール | 2.11.6 | 09-06-05-07 | 34.0 | 2 | (美)武井亮 | |
2 | 5 | 8 | コスモキュランダ | 牡3 | 57 | M.デム | 2.11.9 | 1 3/4 | 09-10-07-03 | 34.2 | 1 | (美)加藤士津 |
3 | 4 | 6 | エコロヴァルツ | 牡3 | 57 | 岩田康誠 | 2.12.3 | 2 1/2 | 01-02-02-02 | 35.0 | 3 | (栗)牧浦充徳 |
4 | 6 | 10 | ヤマニンアドホック | 牡3 | 57 | 津村明秀 | 2.12.4 | 1/2 | 02-01-01-01 | 35.4 | 4 | (美)辻哲英 |
5 | 7 | 12 | スティンガーグラス | 牡3 | 57 | 武豊 | 2.12.7 | 2 | 13-13-09-09 | 34.6 | 5 | (美)木村哲也 |
6 | 6 | 9 | アスクカムオンモア | 牡3 | 57 | 戸崎圭太 | 2.12.9 | 1 | 06-06-07-08 | 35.1 | 6 | (栗)藤原英昭 |
7 | 8 | 14 | タンゴバイラリン | 牡3 | 57 | 菅原明良 | 2.13.1 | 1 1/4 | 03-02-03-05 | 35.6 | 9 | (美)栗田徹 |
8 | 7 | 11 | パンジャ | 牡3 | 57 | 小林勝太 | 2.13.2 | クビ | 11-12-10-09 | 34.9 | 14 | (美)金成貴史 |
9 | 2 | 2 | タガノデュード | 牡3 | 57 | 丹内祐次 | 2.13.2 | 頭 | 03-04-03-03 | 35.8 | 10 | (栗)宮徹 |
10 | 5 | 7 | ログラール | 牡3 | 57 | 北村友一 | 2.13.3 | 3/4 | 11-10-13-13 | 34.8 | 11 | (栗)松永幹夫 |
11 | 3 | 3 | エコロレイズ | 牡3 | 57 | 横山和生 | 2.13.5 | 1 1/4 | 05-05-05-05 | 35.9 | 8 | (美)岩戸孝樹 |
12 | 3 | 4 | ルカランフィースト | 牡3 | 57 | 横山武史 | 2.13.8 | 1 1/2 | 06-08-10-11 | 35.6 | 7 | (美)鹿戸雄一 |
13 | 8 | 13 | アスクハッピーモア | 牡3 | 57 | 田辺裕信 | 2.14.0 | 1 1/4 | 13-13-14-13 | 35.4 | 12 | *(美)田村康仁 |
14 | 4 | 5 | サルヴェージワーク | 牡3 | 57 | 佐々木大 | 2.14.1 | 3/4 | 06-09-10-11 | 35.9 | 13 | *(美)田村康仁 |
シンプルに「強い」
伏兵の台頭もあった前日の【ローズS】に対し、こちらはスンナリと、上位人気3頭で決着した。
振り返ってみれば、2着のコスモキュランダ&3着エコロヴァルツは、共にG1で連対経験のあるような馬だ。
また、優勝したアーバンシックも【皐月賞】の4着馬であり【ダービー】でも4番人気という高い評価を受けた馬。
つまり、戦前から、新興勢力にとって、乗り越えるのは「高すぎる壁」だったことは明白。
ただ、それでも、例年、新興勢力が台頭するケースの多い【セントライト記念】だけに
「ひょっとしたら!?」
という期待をもってレースを見た競馬ファンは少なくなかったと思うが、そんなに甘くはなかったし、それと同時に、そうした面々よりも上位で春を終えた馬、例えば【ダービー】の上位3頭あたりは、相当な力の持ち主と言えるだろう。
※実際に、ダービー3着のシンエンペラーが、先日の【アイルランドチャンピオンS】でスムーズさを欠きながら3着に。【凱旋門賞】でも楽しみだ!
菊花賞をイメージすると

尚【ダービー】馬のダノンデサイルは【菊花賞】に直行するようだ。
ダービー馬の意地にかけても、しっかり仕上げてくるだろうし、ましてや鞍上は百戦錬磨の横山典さんだ。
【ステイヤーズS】で6勝もしている「長距離の天才」でもあるだけに、まず上位争いには絡むはず。
そうはいっても、やはり「一度使われたことのアドバンテージは大きい」
ましてや【セントライト記念】の舞台の中山芝2200Mは、高低差が大きく、極めてタフでスタミナが求められる舞台。
(コース形態の話は、レース前に公開した狙いの記事で詳しく記しているのでぜひ)
そこで上位に入った3頭は、タイプ的にも、当然【菊花賞】でも活躍のチャンスは大きいと考えるべきだろう。
では、今回の3頭が【菊花賞】に出走すると仮定して、期待したいのはどの馬なのか?
あくまでも「現時点での私見」にはなるが、最後に記しておこう。
想像よりも良くなっている
まず、シンプルに強いのは2着のコスモキュランダだと思う。
結果的に勝ち馬には差されたが、自ら動いた点、外を回った点など、勝ち馬よりもかなりタフな競馬をしていることは明白であり、本番でも優勝争いに絡むだろう。
それを前提に、忘れてはいけないのは、3着だったエコロヴァルツだ。
ひょっとしたら「軸にしてたし、思い入れ入ってんじゃないの?」と思われる方もいるだろうが(笑)決してそうではない。
私たちが想像した以上に、精神的に進化を遂げている。
レース後、岩田騎手が
と語っていたが、大一番を前に、精神的な難しさを完全に克服し、ひとつ理想の形でレースを終えられたのは、鞍上の自信という意味でも大きいだろう。
今回は、人気3頭の中で最も前を走る立場だっただけに、目標にされる難しさもあったはず。
だが、本番では、かなり人気を落とすに違いない。マークもされない気楽に走れる立場で、尚且つ「折り合いはバッチリ」なら、未知数の3000Mの舞台も、むしろ「見方」になってくれるはず。
上で、横山典弘騎手の長距離での強さを書いたが、岩田康誠騎手の長距離での素晴らしい実績に関しても、今さら語るまでもないだろう。
ぜひ、皆様もエコロヴァルツの走りにご注目いただきたい!