こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】サウジアラビアRC 2021 における勝負の明暗
【11R】 第7回サウジアラビアロイヤルカップ
2歳・オープン・G3(馬齢) (国際)(特指) 芝 1600m 7頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 単勝 | 体重 | ± | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | 6 | コマンドライン | 牡2 | 55 | ルメール | 1.36.4 | 02-02 | 33.5 | 1 | 2.2 | 522 | +10 | (美)国枝栄 | |
2 | 3 | 3 | ステルナティーア | 牝2 | 54 | 福永祐一 | 1.36.5 | 1/2 | 03-03 | 33.4 | 2 | 2.3 | 442 | -4 | (美)岩戸孝樹 |
3 | 1 | 1 | スタニングローズ | 牝2 | 54 | 戸崎圭太 | 1.36.5 | クビ | 05-05 | 33.2 | 3 | 5.4 | 480 | -8 | (栗)高野友和 |
4 | B7 | 7 | ウナギノボリ | 牡2 | 55 | 菅原明良 | 1.36.7 | 1 | 05-05 | 33.4 | 4 | 17.6 | 478 | +10 | (栗)音無秀孝 |
5 | 5 | 5 | ロードリライアブル | 牡2 | 55 | 横山武史 | 1.37.2 | 3 | 01-01 | 34.6 | 5 | 36.1 | 474 | -2 | (栗)清水久詞 |
6 | 4 | 4 | ガトーフレーズ | 牝2 | 54 | M.デム | 1.37.5 | 1 1/2 | 07-07 | 33.8 | 6 | 46.8 | 430 | +2 | (美)清水英克 |
7 | 2 | 2 | ケッツァー | 牡2 | 55 | 柴田大知 | 1.37.7 | 1 1/2 | 03-04 | 34.5 | 7 | 75.8 | 478 | +4 | (美)高橋祥泰 |
注目の出世レース!サウジアラビアRC
【サウジアラビアRC】といえば、今や誰もが認める出世レースだ。
何と言っても、あのグランアレグリアはここを勝った後に大きく羽ばたいた。
また、昨年優勝のステラヴェローチェも、今春のクラシックG1で活躍!先日の【神戸新聞杯】を快勝したことから、再来週の【菊花賞】でもチャンスがあるかもしれない。楽しみだ。
それだけに
「明日のスター候補はいるのか?」
という視点でレースを楽しまれた方は多いと思う。
結果は、ご存知の通り上位人気3頭でのワンツースリーだったが、3連複190円は、JRA重賞の最低配当タイ記録(2016年【弥生賞】と並ぶ数字)なのだそうだ。
2016年【弥生賞】の勝ち馬は、後のダービー馬マカヒキ。
マカヒキのような大物が、今回のレースから出てくるだろうか?
レースのレベルはどうだったか?
大物が出てくるかどうか?
という点に関しては、やはりレースのレベルを考える必要が出てくるはずだ。
物差しとなるのは、やはり勝ち時計だろう。
年によって馬場状態の差はあるだろうから、過去の【サウジアラビアRC】の時計と比較するつもりはない。
それよりも、同日に同じ舞台で行われたレースだ。
実は、この日の午前中、2歳未勝利戦が、同じく東京芝1600Mで行われた。
奇しくも【サウジアラビアRC】のコマンドラインと同様に、ルメール騎手が騎乗した1番人気馬ラズベリームースが優勝している。(ちなみに2番人気の2着馬に福永騎手が騎乗していた点も同じ)
意外な結果が待っていた
では、勝ち時計を比較してみよう。
サウジアラビア⇒1分36秒4
意外にも【サウジアラビアRC】の方が2秒以上も遅かったのだ!
流れの違いなどはあったにしても、この数字には正直に言って驚いた。
また、冷静に考えれば3着でゴールしたスタニングローズは、前走【新潟2歳ステークス】で5着に敗れている馬。
そういった馬が今回は3着。それも勝ち馬とは0.1秒差しかなかったのだ。
「今年のレベルは低かったのでは?」という声も当然出てくるだろう。
勝ち馬には魅力を感じる
こうした点を踏まえて、私たちなりの結論を申し上げておきたい。
「特にレベルが高いとは思わないが、決して低くもない」
微妙な言い回しにはなってしまうが、現状ではこんなところではないだろうか。
特に、勝ち馬コマンドラインは、なかなか魅力がありそうだ!
私が考える根拠は2つある。
まずひとつは「鞍上の指示に対して素直(センス抜群)」な点だ。
実はレース後、ルメール騎手は次のような話をしていた。
ご紹介してみよう。
鞍上にうながされると、非常にスムーズに位置を上げていった。
コンマ1秒を争う世界だからこそ
レース回顧では、これまに何度か申し上げている内容でもあるが、何と言っても競馬はコンマ1秒を争う世界だ。
ほんのわずかな差が、勝負の明暗をハッキリと分けることがある。
それだけに、鞍上の指示に対してすぐに反応できるか?少し時間がかかるのか?という点も大きい。
今回のレースを見る限り、コマンドラインは「反応できる」!つまり
コンマ1秒を稼げる馬
ということになるのだ。
この部分は、今後、ライバルたちとの能力が拮抗するレース(大一番)でこそ、より力を発揮することになるに違いない。
国枝師&ルメール騎手を信じる
もうひとつの根拠は、やや願望に近い部分もあるが、、、笑
管理する国枝騎手、そして鞍上ルメール騎手の、この馬に対する期待度の高さだ。
国枝調教師は、デビュー前の段階から、この馬に対して
と語るなど、大器であることを隠そうとはしなかった。
一方のルメール騎手は、今回のレース後、次のように語っている。
絶賛と言ってよいレベルのコメントを残している。
国枝師&ルメール騎手といえば、アーモンドアイで日本競馬界の頂点に立った。
師からすれば、最も頼りになるジョッキーに愛馬を託した事実が、期待の大きさの証明だ。
また、ルメール騎手も福永騎手や川田騎手などと同様、馬に対する見立てのレベルが高い騎手のひとり。「クラシックが考えられる」というコメントは、決してお世辞などではないはず。
抜群の競馬センスと、超一流の競馬人が認めるポテンシャルで!
今後の競馬界を盛り上げてほしい。
負けはしたが、魅力的な馬
最後に1頭だけ。
馬券に絡むところまではいかなかったが、魅力を感じた馬をご紹介しておこう。
4着ウナギノボリ
ウナギノボリという個性的な名前を目にした方の多くは「ひょっとして」と思われたかもしれないが、そう、馬主は珍名馬でお馴染みの小田切有一オーナーだ!
そして小田切有一オーナーといえば、代表馬のオレハマッテルゼ、そしてウナギノボリの兄でダート路線で活躍したビックリシタナモーなど、音無調教師とのコンビで活躍してきた。
そんな両者が、現5歳世代以来、3シーズンぶりのコンビ復活ということで楽しみにしていたが、確かに魅力的な馬!
4着に終わったが、4コーナーを回った時の手応えでは、アワヤ勝ち負けの想像までできた。
結果的に、思ったより伸びきれなかったのは、恐らく距離だと思う。
次走以降、1400Mに出走なら、ぜひ狙ってみたい!
期待を込めて、未来の主役に指名しておきたい。
【サウジアラビアRC 2021】のレース後の関係者のコメント
レース後のコメント
1着 コマンドライン(C.ルメール騎手)
「嬉しいですね。今日はゲートの中でちょっとチャカチャカしていて、スタートが遅れて後ろからになりました。でも、今日は2回目の競馬だったので、後ろからの競馬をしたかったんです。ただ、すぐにペースが遅くなったのでポジションを上げて行きました。直線はずっと反応しましたし、心配していませんでした。2着馬もとても良い馬ですが、ゴールまで反応して伸びてくれました。これでクラシックを考えられますし、まだまだ伸びしろがあります。来年大人になったら、トップレベルに行ける馬だと思います。2戦2勝できて来年がとても楽しみな馬です。ぜひ応援してください」
(国枝栄調教師)
「このあとは一旦(ノーザンファーム)天栄へ戻す形になると思います。(今後は)オーナーサイドと相談になりますが、方向性としてはマイルより長いところになるでしょうか。楽しみです」
2着 ステルナティーア(福永祐一騎手)
「2戦目で陣営も上手く仕上げてくれました。馬も落ち着いていました。スローペースの中、3番手で前に壁を作ることができませんでしたが、我慢もきいて脚を使えると思っていました。ただ、ルメール騎手が動いて行った時に自分は上手く動けず、ジョッキーの判断の差が出たと思います」
3着 スタニングローズ(戸崎圭太騎手)
「内枠の分、スタートで一旦下がって一列後ろになってしまいました。最後は直線で伸びているだけにもったいなかったです」
4着 ウナギノボリ(菅原明良騎手)
「クセのない良い馬です。最後も良い脚を使ってくれました。これから良くなっていくと思います」
5着 ロードリライアブル(横山武史騎手)
「逃げたくありませんでしたが口向きが悪く、コントロール不能になってしまいました」
6着 ガトーフレーズ(M.デムーロ騎手)
「スタートして狭い所に入って、やる気を無くしてしまいました。硬い馬場のよーいドンの競馬も、この馬には向きませんでした」
(via ラジオNIKKEI )
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