こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】スワンステークス 2018 における勝負の明暗
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 単勝 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | 8 | ロードクエスト | 牡5 | 56 | M.デム | 1.21.5 | 10-10 | 34.2 | 2 | 5.6 | |
2 | 8 | 10 | モズアスコット | 牡4 | 58 | ルメール | 1.21.5 | ハナ | 07-08 | 34.5 | 1 | 1.3 |
3 | 5 | 5 | グァンチャーレ | 牡6 | 56 | 古川吉洋 | 1.21.6 | 1/2 | 05-04 | 35.1 | 8 | 38.7 |
4 | 3 | 3 | ベステンダンク | 牡6 | 56 | 川田将雅 | 1.21.6 | クビ | 03-02 | 35.3 | 4 | 13.9 |
5 | 8 | 11 | コウエイタケル | 牡7 | 56 | 小牧太 | 1.22.2 | 3 1/2 | 03-04 | 35.7 | 10 | 70.9 |
6 | 4 | 4 | デアレガーロ | 牝4 | 54 | 福永祐一 | 1.22.2 | ハナ | 07-08 | 35.2 | 5 | 21.9 |
7 | 6 | 6 | レーヌミノル | 牝4 | 54 | 和田竜二 | 1.22.2 | ハナ | 01-01 | 36.2 | 3 | 12.4 |
8 | 6 | 7 | キングハート | 牡5 | 56 | 小崎綾也 | 1.22.5 | 1 3/4 | 02-02 | 36.2 | 9 | 63.9 |
9 | 1 | 1 | ドルチャーリオ | 牡5 | 56 | 池添謙一 | 1.22.8 | 2 | 11-10 | 35.4 | 11 | 154.6 |
10 | 2 | 2 | サフランハート | 牡5 | 56 | 幸英明 | 1.22.8 | クビ | 07-06 | 35.9 | 6 | 27.3 |
11 | 7 | 9 | ヒルノデイバロー | 牡7 | 56 | 四位洋文 | 1.22.9 | 1/2 | 05-06 | 36.1 | 7 | 32.6 |
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優勝馬を差し置いてという形になり申し訳ないが、やはりまずは、注目を一身に集めていた(単勝1.3倍)モズアスコットのレースぶりから振り返る必要があるだろう。
6月の【安田記念】を勝った現役トップマイラー。その【安田記念】は9番人気という低評価での勝利だったが、それでも私は彼が「本物」だと確信していた。
理由については「スワンステークスの狙い」にも記していたが、ご覧になっていない方もいるだろうから、転載しておきたい。
今回の【スワンステークス】での勝ち負けの話は別にして
「マイル王に相応しい実力派」だと確信している
理由は2つある。
まず1つは
前有利の流れの中「上がり最速の脚」で差し切っているから
単に勝利を収めただけならば、ラッキーという部分もあるかもしれない。だが「上がり最速の脚」はマグレでは使えない。
不利な流れをものともしなかった点も含め、価値のある内容だったと考える。
もうひとつの理由は
連闘をものともせずに勝ったから
競馬の世界には「連闘効果」といった言葉がある。「馬体が絞れて力を出しやすくなる」とか「精神的に火がつく」などと言う人もいるが、実際には、連闘には好成績が残ってはいない。以下のデータをご覧頂きたい。
2017年頭から今年春までの約1年半、レース間隔別の成績を調べたものだ。
レース間隔別の成績(2017年1月以降)
間隔 | 着別度数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 |
---|---|---|---|---|
連闘 | 74- 96- 100- 1538/ 1808 | 4.1% | 9.4% | 14.9% |
2週 | 583- 602- 644- 6556/ 8385 | 7.0% | 14.1% | 21.8% |
3週 | 938- 948- 905- 8375/11166 | 8.4% | 16.9% | 25.0% |
4週 | 605- 609- 583- 5709/ 7506 | 8.1% | 16.2% | 23.9% |
5~ 9週 | 882- 891- 863-10833/13469 | 6.5% | 13.2% | 19.6% |
10~25週 | 719- 652- 699- 9196/11266 | 6.4% | 12.2% | 18.4% |
半年以上 | 91- 89- 96- 1440/ 1716 | 5.3% | 10.5% | 16.1% |
集計期間:2017. 1. 5 ~ 2018. 4. 8
勝率、連対率、複勝率ともにワーストの数字!それを乗り越えて勝利を収めたのがモズアスコットなのだ。
だが今回はどうだろうか
これほど力のあるモズアスコットでも、やはり今回は、いかにも休み明けらしい仕上がりに見える。この後ご紹介する2頭を含めライバルにも強豪が多い。ここを目標にキッチリ仕上げている伏兵の存在もあるだけに、簡単なレースにはならないだろう。
「本物である」ということの理由と同時に「いかにも休み明けらしい仕上がりだから、今回は簡単なレースにはならない」という旨も記しておいたが、案の定の結果だった。
鞍上ルメールのレース後のコメントが全てを物語っている。
「使いつつよくなるタイプの馬なので、少し太い感じでした。スムーズなレースができましたが、最後に少し甘くなったのはピークまであとひと息の状態だったからでしょう」
どこまでデキを上げられる?
私が見る限り、勝負どころの反応も、本来のものからすれば、やや物足りないように見えた。
もちろん、ここを使われたことにより【マイルチャンピオンシップ】の時はもう少し状態を上げてくるだろう。だが、ルメールが語る通り「使いつつよくなるタイプの馬」ならば、休み明け2戦目の【マイルチャンピオンシップ】の時点でも、まだ上がりきっていないのでは?
【安田記念】時の「連闘」のような思い切った策をとる必要があるのかも?
繰り返すが、彼は間違いなく「本物」!だが【マイルチャンピオンシップ】に関しては楽観視できない!というのが結論だ。
勝ち馬はまだまだ期待できる!
そのモズアスコットを倒して勝利を収めたのがデムーロ騎手騎乗のロードクエストだ。
実は、2016年9月の【京成杯オータムハンデ】から、2年以上も勝利を挙げられていなかった。3歳春にはG1【NHKマイルカップ】で2着に激走しているほどの大器が、何故、苦しみ続けたのだろうか?
考え方は色々だろうが、私は「器用すぎたから」だと思う。
2000M以下ならどんな距離でも対応可能。だから、陣営は色々と試してしまうのだ。今年に入ってからも。1200M、1400M、1600Mを走っている。
結果「ひとつの路線を極められない」ことになり、好走しても勝利までは届かない、ということだったのではないか。
だが、今回は相手が仕上がり途上にせよ、G1馬にも勝った!だから、今後は1400M~1600Mだけに特化して、馬を作ってほしい!くれぐれもスプリントには戻らないでほしい。
上でも記した通り、3歳時にはG1で2着したほどの大器だ!しっかりと歩めば、まだまだやれる!これからの注目したい。
【 #スワンS 】ロードクエスト、鼻差差し切り2年1か月ぶりの復活V! https://t.co/ZF72YPf35y #競馬 #keiba #スポーツ報知
— スポーツ報知 競馬取材班 (@hochi_keiba) October 27, 2018
次走こそ狙え!この馬が未来の主役だ!
今回の「未来の主役」としてご紹介するのは
6着デアレガーロ
やはり、レース後の鞍上・福永のコメントを引用する必要があるだろう。
「いい感じでレースが出来ていたのですが、4コーナーの手前で躓いて、その後はトモの入りが悪くなり、しっかりと追えない感じでした。何もなければいいのですが」
全く同じ思いを抱いた。
道中でのスムーズなレース運びは能力の高さを感じさせるもの。重賞【京都牝馬ステークス】での好走歴から、京都が合う事も確かなのだろうが。怪我なく、次走を迎えられるなら、ぜひ狙ってみたい!(京都に出走なら尚更だ!)
【スワンステークス 2018】を見逃した方は下記からご覧下さい。
【スワンステークス 2018】のレース後の関係者のコメント
~レース後のコメント~
1着 ロードクエスト(M・デムーロ騎手)
「ゴール前まで勝てるかどうかわかりませんでしたが、最後の2完歩で交わしてくれました。新馬戦から乗せてもらって、ホープフルステークスも走った馬なので1400mは短いと思っていましたが、ペースがそれほど速くなくいいポジションを進むことができて、いい脚を使いました。次も楽しみです」
2着 モズアスコット(C・ルメール騎手)
「使いつつよくなるタイプの馬なので、少し太い感じでした。スムーズなレースができましたが、最後に少し甘くなったのはピークまであとひと息の状態だったからでしょう」
4着 ベステンダンク(川田将雅騎手)
「枠も良く、内目でスムーズにレースができて、最後までしっかり脚を使ってくれました。重賞勝ち馬を相手によく頑張りました。いい経験になったと思います」
6着 デアレガーロ(福永祐一騎手)
「いい感じでレースが出来ていたのですが、4コーナーの手前で躓いて、その後はトモの入りが悪くなり、しっかりと追えない感じでした。何もなければいいのですが」
(via ラジオNIKKEI )
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