こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】宝塚記念 2019 における勝負の明暗
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
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1 | 8 | 12 | リスグラシュー | 牝5 | 56 | レーン | 2.10.8 | 02-02-02-02 | 35.2 | 3 | (栗)矢作芳人 | |
2 | 1 | 1 | キセキ | 牡5 | 58 | 川田将雅 | 2.11.3 | 3 | 01-01-01-01 | 35.8 | 1 | (栗)角居勝彦 |
3 | 8 | 11 | スワーヴリチャード | 牡5 | 58 | M.デム | 2.11.6 | 2 | 04-04-03-03 | 35.7 | 6 | (栗)庄野靖志 |
4 | B4 | 4 | アルアイン | 牡5 | 58 | 北村友一 | 2.11.9 | 2 | 03-02-03-03 | 36.1 | 5 | (栗)池江泰寿 |
5 | 2 | 2 | レイデオロ | 牡5 | 58 | ルメール | 2.12.1 | 3/4 | 06-06-05-05 | 36.0 | 2 | (美)藤沢和雄 |
6 | 7 | 10 | ノーブルマーズ | 牡6 | 58 | 高倉稜 | 2.12.4 | 1 3/4 | 08-08-08-09 | 36.0 | 10 | *(栗)宮本博 |
7 | 5 | 6 | スティッフェリオ | 牡5 | 58 | 丸山元気 | 2.12.4 | クビ | 04-04-05-05 | 36.3 | 8 | (栗)音無秀孝 |
8 | 7 | 9 | クリンチャー | 牡5 | 58 | 三浦皇成 | 2.12.5 | 3/4 | 06-07-05-05 | 36.4 | 9 | *(栗)宮本博 |
9 | B3 | 3 | エタリオウ | 牡4 | 58 | 横山典弘 | 2.12.6 | クビ | 10-10-08-08 | 36.4 | 4 | *(栗)友道康夫 |
10 | 6 | 8 | ショウナンバッハ | 牡8 | 58 | 吉田豊 | 2.12.6 | 頭 | 11-11-11-11 | 35.9 | 11 | (美)上原博之 |
11 | 6 | 7 | マカヒキ | 牡6 | 58 | 岩田康誠 | 2.12.9 | 1 1/2 | 12-12-12-11 | 36.3 | 7 | *(栗)友道康夫 |
12 | 5 | 5 | タツゴウゲキ | 牡7 | 58 | 秋山真一 | 2.13.9 | 6 | 09-08-08-09 | 37.5 | 12 | (栗)鮫島一歩 |
とにかくリスグラシューが強かった!そしてレーン騎手が上手かった。
今回の【宝塚記念】はそれに尽きるだろう。
キングスポーツはレース1週前の段階からリスグラシューを軸馬として予告!
おかげさまで馬券を獲らせてもらったが、今回の走りっぷりは、私達の想像の更に上をいっていたかもしれない。
興奮というより感動を覚えるほどのレースだった。
そうだ、言い忘れていたね。
おめでとう!そしてありがとう!リスグラシュー&レーン騎手!
宝塚記念は本当に難しいG1だ
宝塚記念というのは、とにかく難しいG1だ。数々の名馬の前に、大きな壁として立ちふさがってきた。
振り返ってみれば、前人未到のG1・7連勝を狙ったテイエムオペラオーが敗れたのは、2000年の【宝塚記念】だった。
また、あのキタサンブラックにいたっては2016年、2017年と2連敗している。
なぜ、難しいレースなのか?問題は、トリッキーな阪神芝2200Mという舞台にある。
直線が短いため、皆が早めに仕掛けるから先行馬には厳しい舞台だが、一方で狭くてごちゃつきやすいから、後方待機馬にとっても楽ではない。
また、天気や気温の変動が大きい6月末という開催時期もタフ。
つまり何が起きてもおかしくない。
だからこそ、例えマックスのパフォーマンスが素晴らしい馬であっても、僅かな弱点、スキが命取りになる。
▼参考 2017年の宝塚記念▼
テイエムの場合は2000MのG1を勝ったことはあるが、本質的には2400M以上の馬。能力がピークを超えていたこともあるが、距離が合わなかった。
キタサンは脚質も向いていないし、3歳時の【ダービー】がダメだったことからも、暑い時期に体調が上がらない馬だったのだと思う。
リスグラシューを1週前から予告できた理由とは?
では、今回のレースにおいて、どうしてキングスポーツはリスグラシューを指名できたのか?
出走メンバー中、リスグラシューだけは、上でも話題にした「僅かな弱点、スキ」が見当たらなかったのだ!
実際に、ご会員様にご提供した解説文には以下のように記した。
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迷いなし!
12番☆リスグラシュー
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今回、私たちがリスグラシューを指名した最大の理由。
それは「最もスキのない馬」だと考えた点にある。能力の高さは改めて言うまでもない。昨年11月の【エリザベス女王杯】でG1初制覇を果たしたかと思えば、その後2度の海外遠征においても、馬券圏内を確保した。その能力に加えて!
1⇒距離適性が完璧。今回の舞台は【エリザベス女王杯】と同じ芝2200M。
2⇒コース適性。阪神芝コースでは過去に6回走って全て馬券圏内。
3⇒道悪も可。【桜花賞】【秋華賞】【ヴィクトリアマイル】という道悪の3つのG1で連対。
4⇒最後に状態!海外帰りながら万全の仕上げ。
ちなみに直近10年で3着以内に食い込んだ牝馬はなんと8頭!「夏は牝馬を狙え」という格言があるが、この時期の牝馬は体調が上がりやすいのかも。能力拮抗の大一番だけに、僅かな隙が致命傷となりかねない。ライバルたちには、距離や状態など、何かしらのスキを抱えているが、リスグラシューにだけはそれがなかった。だから迷いなし!
4連覇達成へ!頼んだぞリスグラシュー!
唯でさえ力のある馬。
そんな馬にわずかなスキさえもなければ、それは好走するだろう。
当然の勝利だったのだ。
皆様も、来年以降【宝塚記念】を予想される際は
できるだけスキのないタイプを指名!
この点を重視してほしい。
今日は圧勝だったけれど
2着馬に圧勝という完勝だったがゆえに、早くも競馬ファンの間では
「リスグラシューが国内最強!!」
という声が出ているようだが、その点に関しては、リスグラシューの激走を読み切っていた私達だからこそ申し上げたい。
今日はあくまでも今日!!
だと。
なぜなら、上にも記したように、リスグラシューには今回のレースを勝つための条件が完全に揃っていたから。
例えば天皇賞秋なら、あるいはジャパンCならと想像すると、同じように考えることはできないかもしれない。
とはいえ、国内トップホースの1頭であることは間違いないのだ。
今回2着のキセキ、逆襲を目指すレイデオロ、あるいはアーモンドアイらと、これからどんな戦いを見せてくれるのか?
今回的中をプレゼントしてくれたことを感謝しつつ、また冷静に予想に向き合いたい。
いずれにしても、秋が待ち遠しくて仕方ないぞ!
最後にレーン騎手について少々
短期免許の最終日をG1勝ちで飾ったレーン騎手。
彼の素晴らしさを、今回の来日中の成績などは各所で書かれていると思うので、ここで改めてご紹介はしないが、本当に物凄い騎手が現れたものだ。
実は彼が重賞初勝利を挙げた「新潟大賞典のレース回顧」において、彼について以下のように書いた。転載してみよう。
最後に、今週から短期免許で来日、伏兵・メールドグラースを勝利に導いたレーン騎手について。
日本でも活躍したウィリアムズ騎手を師とあおぐ、豪州の若手トップジョッキー。今回の結果を別にしても、将来的にはかなりのレベルにまで到達しそうな気がする。
一流ジョッキーにとって最大の要素は
体内時計
だと言われる。時計が正確、つまりペース判断が正確だから、位置取り&仕掛けどころにミスがない。自然と結果は出る。ちなみに、全盛時代の武豊騎手などはその象徴ともいえる存在だった。武豊騎手とエアグルーヴでコンビを組んだ伊藤雄二元調教師なども絶賛いていた。
レーン騎手のこの3日間の騎乗ぶりを見ていると、まさにかつての武豊を見ているかのようで驚かされた。ぜひ、皆様も彼のこれからに注目してほしい。
今日のレースを見て、改めて体内時計と、そして他馬を見極める目の正確さを感じた。
早めに好位につけたが、もしもレイデオロを最大のライバルだと考えていたら、もう少し違った位置取りになったかもしれない。
「キセキが最も怖い」と冷静に見極めたからこそ、あの位置になったのではないだろうか。
なんと言ってもまだ25歳だ。恐らく、近い将来世界でもトップの騎手になるだろう。だからこそ、怪我だけには気をつけて、再び母国で頑張ってほしい。
(来週も地方では乗るようだが)また彼のパフォーマンスを見られる日を楽しみにしている。
次走こそ狙え!この馬が未来の主役だ!
何と言っても「グランプリ」だ。
出走全馬が、既に主役級の活躍をしてきた馬だから、今更「未来の主役」などと呼ぶのは失礼かもしれない。
それを承知で、シンプルに
「この秋に活躍できそうな馬」
という視点で考えてみた。そこで指名したのが
4着のアルアイン
前走【大阪杯】の勝利はお見事だったが、一方で「人気薄ゆえの気楽さ」や「展開が向いた」面もあったのかなと見ていた。
だが、今回は違う!
上の記事の中で鞍上の北村友も語っていたように、4コーナーでの手応えが明らかに悪く、直線では大きく失速する場面もあるかと見たが、最後まで粘って4着でまとめている。
苦しく条件下で粘れるのは、真の底力があればこそ。
私はマラソン観戦が趣味なのだが、多くの選手が「速い選手よりも強い選手を目指したい」という。
苦手な条件下だったり、本当に苦しくなった時に粘れる選手こそが「強い選手」だろう。今日のアルアインはまさにそれ!
3歳時に【皐月賞】を勝ち、早い段階から期待されていた馬だが、ここにきてスケールアップしている印象!
2200Mはさすがに長かったが、マイル~2000Mのベストディスタンスなら、再びのG1勝ちがあっても驚けない!
これからを楽しみにしたい。
レースを見逃した方はコチラから
【みんなのKEIBA 次回6月30日(日)】
上半期ラストGⅠ「宝塚記念」
みんなの夢をのせ、レースを制したのは3番人気⑫リスグラシュー
唯一の牝馬が3馬身差で圧勝した!
騎乗したレーン騎手は初来日にしてGⅠ2勝目!
2着は1番人気①キセキ、3着は6番人気⑪スワーヴリチャード
3連単は1万4560円の払戻し pic.twitter.com/mzC7pkFLw6— フジテレビ競馬 (@fujitvkeiba) June 23, 2019
【宝塚記念 2019】のレース後の関係者のコメント
~レース後のコメント~
1着 リスグラシュー(D.レーン騎手)
「気持ちは最高です。仕上りが完璧な馬に乗せていただき、厩舎スタッフには心から感謝しています。とくにかく素晴らしいです。スタートが良く、ハナを切っていくかどうか考えましたが、流れや展開でこの位置(2番手)でいいと判断しました。結果も良かったので、この判断で良かったと思います。直線に入ったところでは、後ろにすごい能力の高い馬がたくさんいることは分かっていました。それを意識してはいましたが、リスグラシューも手応えが良かったので自信はありました。この素晴らしいレースに参加できて、それと同時に大勢のお客さまの前で乗れたことと、応援していただいていることを心から感謝したいと思います。”アリガトウゴザイマス”(日本語で)」
(矢作芳人調教師)
「びっくりするくらい強かったです。ゲートをしっかり出てほしいと伝えていましたが、まさか2番手につけていくとは思っていませんでしたし、ジョッキーの好判断です。香港を2度経験し、馬が非常に強くなってます。秋はアメリカのBCなら、フィリー&メアターフと思っていましたが、この強さならターフでもいいと思います。またオーストラリアのコックスプレートも今回のような競馬ができたらいいと思います。オーナーサイドと相談になりますが、いずれにせよ海外に挑戦することになると思います」
2着 キセキ(川田将雅騎手)
「自分の競馬はできていると思います。3着以下を突き放していますし、勝ち馬が強かったですね。返し馬でもお客さまの期待を感じましたし、結果それに応えられず申し訳ありません」
3着 スワーヴリチャード(M.デムーロ騎手)
「勝った馬の後ろで進めましたが、いつも通り最後はジリジリでした」
4着 アルアイン(北村友一騎手)
「前走のときのように3~4コーナーで手応えがありませんでした。1ハロン長かったのか、内側が少し緩い馬場がこたえたのか分かりません。とにかく勝負どころでグッと来るものがなかったです。力があるのは確かなのですが……」
5着 レイデオロ(C.ルメール騎手)
「馬は良かったです。内の狭いところで馬場も緩くて、加速ができませんでした。馬場が合わなかったのかもしれません」
(藤沢和雄調教師)
「予定通りのポジションでしたが、流れに乗っただけで、脚を使えませんでした。この後は放牧に出します」
6着 ノーブルマーズ(高倉稜騎手)
「今回は外めの枠からスピードに乗れず、馬場に脚をとられていました。体力を温存し、終いには来ています。去年のように内で脚をためられていれば良かったのですが」
7着 スティッフェリオ(丸山元気騎手)
「馬込みは大丈夫でした。今回は初めて向正面でずっと右手前で走っていました。これから強いメンバーと戦って、経験を積んで力を付けてほしいです」
8着 クリンチャー(三浦皇成騎手)
「4コーナー先頭のイメージでレースをしましたが、一流馬を相手に自分から動いていけませんでした。これを使って良くなるでしょうし、次はチャンスだと思います」
9着 エタリオウ(横山典弘騎手)
「調教は良かったけど、レースでは全然進んでいきませんでした。(進んでいかないのは)気が悪いからではなく疲れているからではないのでしょうか」
10着 ショウナンバッハ(吉田豊騎手)
「道中は良い感じでしたが、ペースが上がったところでついていけませんでした」
11着 マカヒキ(岩田康誠騎手)
「馬場を気にしているのか、進んでいかない感じでした。3~4コーナーでいいところに出したらスッと行きましたが、踏ん張りが効かない感じでした」
(via ラジオNIKKEI )
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