こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、私たちなりの視点で、レース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
天皇賞秋 2025 の回顧&未来の主役
2025年10月26日(日) 3回京都9日 天候 : 小雨 馬場状態 : 稍重
【11R】 第86回菊花賞
3歳・オープン・G1(馬齢) (牡・牝)(国際)(指定) 芝・外 3000m 18頭立
| 着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 5 | 9 | エネルジコ | 牡3 | 57 | ルメール | 3.04.0 | 15-14-08-04 | 35.0 | 1 | (美)高柳瑞樹 | |
| 2 | 7 | 15 | エリキング | 牡3 | 57 | 川田将雅 | 3.04.3 | 2 | 17-17-12-08 | 35.2 | 2 | (栗)中内田充 |
| 3 | 7 | 14 | エキサイトバイオ | 牡3 | 57 | 荻野極 | 3.04.4 | 3/4 | 04-05-02-01 | 35.7 | 13 | (栗)今野貞一 |
| 4 | 6 | 12 | ゲルチュタール | 牡3 | 57 | 坂井瑠星 | 3.04.4 | ハナ | 09-09-12-08 | 35.2 | 5 | *(栗)杉山晴紀 |
| 5 | 8 | 18 | レッドバンデ | 牡3 | 57 | 佐々木大 | 3.04.5 | クビ | 07-06-06-04 | 35.5 | 9 | (美)大竹正博 |
| 6 | 3 | 6 | ミラージュナイト | 牡3 | 57 | 藤岡佑介 | 3.04.5 | クビ | 18-18-17-14 | 35.1 | 8 | (栗)辻野泰之 |
| 7 | 1 | 1 | コーチェラバレー | 牡3 | 57 | 西村淳也 | 3.04.6 | 3/4 | 15-16-12-14 | 35.3 | 15 | (栗)安田翔伍 |
| 8 | 3 | 5 | ジョバンニ | 牡3 | 57 | 松山弘平 | 3.04.7 | クビ | 09-09-12-16 | 35.2 | 6 | *(栗)杉山晴紀 |
| 9 | 4 | 8 | レクスノヴァス | 牡3 | 57 | 横山和生 | 3.04.8 | クビ | 02-03-03-02 | 36.0 | 10 | *(栗)上村洋行 |
| 10 | 7 | 13 | アロンディ | 牡3 | 57 | 団野大成 | 3.05.1 | 2 | 11-12-08-08 | 35.9 | 17 | (栗)武英智 |
| 11 | 1 | 2 | アマキヒ | 牡3 | 57 | 戸崎圭太 | 3.05.4 | 2 | 11-12-17-18 | 35.7 | 12 | (美)国枝栄 |
| 12 | 2 | 3 | ライトトラック | 牡3 | 57 | 和田竜二 | 3.05.5 | 3/4 | 06-06-08-08 | 36.3 | 11 | *(栗)友道康夫 |
| 13 | 6 | 11 | マイユニバース | 牡3 | 57 | 武豊 | 3.05.5 | クビ | 11-11-03-03 | 36.7 | 4 | (栗)武幸四郎 |
| 14 | 4 | 7 | ショウヘイ | 牡3 | 57 | 岩田望来 | 3.05.6 | クビ | 04-04-03-04 | 36.7 | 3 | *(栗)友道康夫 |
| 15 | 8 | 17 | レイヤードレッド | 牡3 | 57 | 嶋田純次 | 3.06.3 | 4 | 11-14-16-16 | 36.9 | 18 | (美)手塚貴久 |
| 16 | 2 | 4 | ヤマニンブークリエ | 牡3 | 57 | 横山典弘 | 3.06.4 | 1/2 | 02-02-06-08 | 37.3 | 7 | (栗)松永幹夫 |
| 17 | B8 | 16 | ラーシャローム | 牡3 | 57 | 岩田康誠 | 3.08.3 | 大差 | 07-06-08-13 | 39.2 | 16 | (美)奥村武 |
| 18 | 5 | 10 | ジーティーアダマン | 牡3 | 57 | 北村友一 | 3.10.8 | 大差 | 01-01-01-04 | 42.0 | 14 | *(栗)上村洋行 |
レース前のルメール騎手
いきなりで恐縮だが、、、
実はレース当日のお昼頃(3~5レースを3連勝した後)マスカレードボールに騎乗することになっていたルメール騎手が、以下の旨の話をされていたことはご存知だろうか。
今週から東京コースはBコースにかわった。
また、週中にかなりの降雨があったことで、土曜日の芝は良馬場発表ながら、少々影響が感じられた。そして、その状態からレース当日に晴天になると「内側から乾いていく」のが東京の特徴でもある。
元々【天皇賞秋】ウィークは、内有利の芝になりがちではあるが、こうした点を鑑みると、今年の芝はいつも以上に「内有利」でもおかしくなかった。
だが、名手のくだしたジャッジは「フラット」だった。
懸念材料の解消
御存知の通り、マスカレードボールは並の3歳馬ではない。
これまでに東京で3戦して2勝&オール連対。またダービー2着馬でもある。
一昨年、あのイクイノックスがダービー2着から参戦して優勝を収めたが「あの歓喜を再び」とばかりに、同じローテのマスカレードボールに期待された方も多かったと思う。(1番人気も納得)
ただ、そういった競馬ファンにとって、何よりルメール騎手をはじめとした関係者にとって、最大の懸念材料が
「馬場状態」
だったように思う。
上でも記した通り、例年以上に内有利の馬場になってしまえば、ルメール騎手曰く「スタートが速くない」この馬にとっては、中団、後方から外を回される厳しい条件になってしまう。
だが、その点がスタート前の段階で解消された。
必然の勝利だったのかもしれない

懸念材料の解消が、名手に勇気を与えたのだろう。
道中でのルメール騎手は、実に落ち着いていた。
馬場状態の不利がない分、無理して内を取りに行く必要がないから、他の馬がどのように動こうとも全く動じない。
武豊騎手がスローの流れを演出したが
「自慢の瞬発力を爆発させれば問題ないでしょ!」
とでも言いたげに見えた。
1番人気に推されるほどの素材が、懸念材料をレース前に解消し、尚且つ、鞍上が誰よりもこの舞台を熟知している男の一人、天皇賞秋男のルメールなら、この勝利は必然だったのかもしれない。
いずれにせよ、同期のクロワデュノールらとともに、今後の日本競馬界を担う存在が誕生したことを、心より祝福したい。
余談をひとつ
尚、これはあくまでも余談なので読み流してほしいが、よく、G1デーになると「一鞍入魂」とでも言うのか、G1にだけしか乗らない騎手がいる。川田騎手などもたまに行う。
実際、例えばかつての名手・藤田伸二騎手は、そのパターンで【天皇賞春】を勝ったこともある(ヒルノダムール)
確かに集中できる強みはあると思うし、直前のレースで怪我をするかもしれないリスクを抑えられる。一方今回のルメール騎手を見ていると、当日のレースに乗っていたからこそ「知識」ではなく「実感」として馬場状態を感じられる。
一長一短があるし、好みの部分もあるだろうが、個人的には、能力拮抗の時代に入った現代競馬においては「鞍上の実感」も大きな強みになるように感じるし「当日もガンガン乗る派」を推したい。
見逃せない「あの馬の走り」
さて、上で「武豊騎手がスローの流れを演出」と記したが、その証が、各馬の上がりタイム。
4着馬シランケドが叩き出した、メンバー中で最速の上がりが驚異の「31.7」
改めて「武豊騎手が前にいると、みんな動けないんだな」と感じた。ホウオウビスケッツなど、明らかにスロー故に折り合えていなかったから、何で行かなかったのかと不思議に思うのだが、、、それは置いておこう。
ただ、こうした流れは、明らかに「向き不向き」が出る。
上位勢でいえば、優勝したマスカレードボールは「問題なく対応できるタイプ」であり、今名前を挙げたシランケドは「向くタイプ」だったと思う。
一方で、瞬発力勝負向きに思えなかったのが、ミュージアムマイルだ。
今回のパートナーだったCデムーロ騎手も「切れるというよりはジワジワ脚を使う馬」という趣旨のコメントをしているが、だからこそ【皐月賞】のような、内回りコースが舞台で、レースの途中から流れが速くなりがちなレースが向くのだと考えていた。
超オールラウンダーの誕生か!
そんな馬が、究極の瞬発力勝負をものともせずに2着!
自身の上がり3ハロンも、マスカレードボールと同じ32.3だった。
息の長い脚えでG1を勝った。頂上決戦の瞬発力勝負でも2着に入った。

ある意味、マスカレードボール以上の「超オールラウンダー」が誕生したと言って良いのかもしれない。
個人的には、ミュージアムマイルは【有馬記念】でみたい。
「超オールラウンダー」であることを前提に、最大の持ち味が「息の長い脚」だということは確かだし、有馬はそれが求められがちなレース。
血統的にも母父にハールクライがいるのだから、全く心配はいらないだろう。
サンデーレーシングの馬ということで、使い分けなどもあるかもしれないが、、、
未来の主役に指名し、有馬記念に出走の際は注目したい!

ファンタジーS 2025 の回顧&未来の主役
2025年11月 1日(土) 3回京都10日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第30回KBS京都賞ファンタジーS
2歳・オープン・G3(馬齢) (牝)(国際)(指定) 芝・外 1400m 12頭立
| 着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 2 | 2 | フェスティバルヒル | 牝2 | 55 | C.デム | 1.20.9 | 09-09 | 33.1 | 1 | (栗)四位洋文 | |
| 2 | 6 | 8 | ショウナンカリス | 牝2 | 55 | 池添謙一 | 1.20.9 | クビ | 06-06 | 33.5 | 10 | (美)加藤士津 |
| 3 | 6 | 7 | メイショウハッケイ | 牝2 | 55 | 武豊 | 1.20.9 | ハナ | 09-09 | 33.2 | 3 | (栗)本田優 |
| 4 | 5 | 5 | ブラックチャリス | 牝2 | 55 | 浜中俊 | 1.21.0 | クビ | 05-04 | 33.8 | 2 | (栗)武幸四郎 |
| 5 | 5 | 6 | ベレーバスク | 牝2 | 55 | 丹内祐次 | 1.21.1 | 3/4 | 06-06 | 33.6 | 4 | (美)清水英克 |
| 6 | 1 | 1 | ポペット | 牝2 | 55 | 横山典弘 | 1.21.1 | 頭 | 11-11 | 32.8 | 5 | (栗)高橋康之 |
| 7 | 7 | 9 | メイプルハッピー | 牝2 | 55 | 亀田温心 | 1.21.5 | 2 1/2 | 03-04 | 34.4 | 6 | (栗)北出成人 |
| 8 | 3 | 3 | ナオミライトニング | 牝2 | 55 | 北村友一 | 1.21.5 | ハナ | 08-06 | 33.9 | 12 | (栗)矢作芳人 |
| 9 | 4 | 4 | マーブルパレス | 牝2 | 55 | 酒井学 | 1.21.7 | 1 1/4 | 01-01 | 34.8 | 7 | (栗)西園正都 |
| 10 | 7 | 10 | フルールジェンヌ | 牝2 | 55 | 田口貫太 | 1.21.7 | クビ | 02-02 | 34.8 | 8 | (栗)鈴木孝志 |
| 11 | 8 | 12 | シラヌイ | 牝2 | 55 | 吉村誠之 | 1.22.3 | 3 1/2 | 03-03 | 35.3 | 9 | (栗)高橋亮 |
| 12 | 8 | 11 | アンヘリータス | 牝2 | 55 | 西村淳也 | 1.23.5 | 7 | 11-12 | 34.7 | 11 | (栗)吉村圭司 |
いつも通り。2歳戦は「敢えて細かく振り返らない」
例によって、という言い方が適切かはわからないが、2歳重賞の振り返り方については、いつもと同じ。
何度かご紹介をしているが、私たちは、2歳戦の場合、展開だとか位置取りだとかペースだとか、細かい部分の振り返りは、敢えて行わないことが多い。
何故か?
この時期の2歳重賞は、多くともここが3~4戦目、中には2戦目で重賞に挑んでくる馬もいる。
もちろん、重賞に出てくるような馬は、並の素質の持ち主ではない。
とはいえ、まだまだ実戦経験に乏しく、幼い馬たちだ。
どんなに素質があっても、たまたま立ち遅れたことでパニックになり、後ろの方で全く力を出しきれないまま終わるみたいなケースだってある。
惨敗した馬が、次の重賞でいきなり大きく逆襲することがあるが、大抵こうしたパターン。
また、新馬戦では差し脚を決めた馬が、たまたまスタートが上手くいったために、気持ちよくスイスイいってしまう、みたいなケースも。
何が言いたいかというと、この時期の2歳馬たちのレースは、再現性が決して高くはない。だから、細かくは振り返らないだの。
それよりも、シンプルに!勝ちっぷりや走りっぷりに大物感をだったり、センスを見せていた馬にフォーカスすれば良いのだと思う。
気性の成長で
じゃあ今回のメンバーで特に楽しみな馬は?
2着のショウナンカリス。
オープン特別での2着好走などの実績がありながら、10番人気という評価。その要因が「距離」にあったことは間違いない。
過去に経験したレースはすべて1200M。やや気性に若いと言われるため、1400Mへの距離延長はマイナスになると考えた方が多かったのだろう。確かに、これまでのレースにはそういった面が感じられた。
ただ、今回はどうだったか?
レース後、池添騎手が「力むところがあるので、折り合いに気をつけながらでした。坂の登りからくだりにかけて、噛んでいるところはありました。それ以外は上手でした」という趣旨の話をされている通り、ほとんど気にならない程度。ガラッと変わった。
結果的に、本質的な距離適性の分が出たのか、ラストで伸びきれずに2着に終わったが、逆に言えば、道中で落ち着いて走れていなければ、もっと失速していたような気がする。
レースや調教をこなす度に、明確に、そして急激に馬が大人になっている。これこそが大器の証だろう。
この先、距離が延びてと言われるとわからないが、1200Mから、ギリギリ1400Mあたりの距離なら、かなりの活躍が見込めるのではないだろうか。楽しみにしている。





