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安田記念 2018【回顧】「連闘効果」とは一体なんだ?

こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。

もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!

 

勝負の明暗 はここだった!

【回顧】安田記念 2018 における勝負の明暗

馬 名 性齢 斤量 騎手 タイム 着差 通過順位 上3F
10 モズアスコット 牡4 58 ルメール 1.31.3      11-12 33.3 9
4 アエロリット 牝4 56 戸崎圭太 1.31.3 クビ    03-03 34.0 5
1 スワーヴリチャード 牡4 58 M.デム 1.31.4  3/4    05-05 33.9 1
2 サトノアレス 牡4 58 蛯名正義 1.31.5  1/2    14-14 33.3 7
15 サングレーザー 牡4 58 福永祐一 1.31.5 クビ    07-07 33.7 3
5 ペルシアンナイト 牡4 58 川田将雅 1.31.7 1 1/4    07-07 34.0 2
16 ウインガニオン 牡6 58 津村明秀 1.32.0 2    01-01 35.2 14
14 リスグラシュー 牝4 56 武豊 1.32.1 クビ    11-10 34.2 6
9 レッドファルクス 牡7 58 田辺裕信 1.32.1 クビ    15-15 33.7 8
10 7 ウエスタンエクスプレス セ6 58 クリッパ 1.32.3 1 1/4    05-05 34.8 11
11 8 キャンベルジュニア 牡6 58 石橋脩 1.32.4  1/2    03-03 35.0 10
12 6 レーヌミノル 牝4 56 和田竜二 1.32.5  3/4    02-02 35.3 15
13 12 ヒーズインラブ 牡5 58 藤岡康太 1.32.7 1    11-12 34.7 12
14 3 ダッシングブレイズ 牡6 58 北村宏司 1.32.7    09-07 34.9 16
15 11 リアルスティール 牡6 58 岩田康誠 1.32.7    09-10 34.8 4
16 13 ブラックムーン 牡6 58 秋山真一 1.32.8    16-16 34.1 13

 

スワーヴリチャードの中距離路線に続く“2階級制覇”はなるか?」

「昨秋マイルCSで上位のペルシアンナイトやサングレーザーがマイラーの意地を見せるか?」

アエロリットやリスグラシューなど牝馬勢が牡馬に割って入るか?」

 

などなど、数多くの注目ポイント、見せ場が期待された大一番【安田記念】だったが、終わってみれば9番人気の伏兵で「連闘」のモズアスコットが優勝!

私たちキングスポーツは「ローテが厳しくとも、地力があるから好走は確実」と判断し、軸馬1番スワーヴリチャードから、相手4点目でモズアスコットをキッチリと指名していたが、まさかあそこまで鮮やかな競馬をするとは・・・驚かされた。

関係者、何よりモズアスコットに対して、心からの「おめでとう」を贈りたい。

初重賞勝ちが「初G1勝ち」という偉業を達成したモズアスコットについて、振り返っていきたい。

 

連闘で闘志に火がついたか!

モズアスコットを管理する矢作調教師が、レース後に語ったコメントが非常に興味深い。

「結果的に、連闘したからこその勝利だと感じています」

連闘ってどうなんだろう?確かに、かつては、あのオグリキャップが『マイルCS⇒ジャパンカップ』を連闘し『1着⇒2着』と成果を挙げたなどという事例もある。

だが、それは30年近く前の話。各馬の能力が高いレベルで拮抗している現代の競馬、特に全馬が究極の仕上げで臨むG1においては、やはり体調を落とすリスクのある連闘は簡単ではないのでは?だからこそ、力は認めても相手4点目までにとどめた。

もちろん、名将・矢作師は、そんなことは十分にわかっている筈。それでも「結果的に連闘したからこその」と言い切れる理由は「闘志」にあるとみた!

闘志に火が付いた!

父フランケルの良血だからという訳ではないだろうが、これまでのモズアスコットの走りを見ていると、少々「上品すぎるな」という印象を持っていた。

良くも悪くもガツガツした感じがない。こういった馬は、いざゴール前でのたたき合いになると、競り負けがち。それ故、重賞では善戦マン止まりだったのだろう。

だが、今回のモズアスコットは違った!最後の最後まで「決して譲らない」といわんばかりの気迫で溢れていた。これが「闘志」によるものだとすれば納得!まさに連闘効果に他ならない。

 

矢作師の執念も勝利呼んだ!

そもそも、本来は4頭出しをするはずだった藤澤厩舎が、今週になって3頭を回避させたことで出走が可能となった時点で、矢作師には流れがきていたように感じる。(鞍上のルメール騎手も京王杯SCを制したムーンクエイクに騎乗するとみられていた)

そうした状況を作り出したのも、これまでに【安田記念】で3着2回(2010年のスーパーホーネットなど)と、誰よりも悔しい思いをしてきた矢作師の執念だったのでは?といったら言い過ぎだろうか。

いずれにせよ、矢作師のこのレースにかける意気込みは、並々ならぬものだった、それは間違いない。

現在の日本競馬界において「藤原厩舎などに続く、誰もが認める上位厩舎」という評価を不動のものとしながら、まだまだレースに執念を燃やし続ける矢作師のハングリーさは、私自身も本当に学ばなければいけないのだと痛感する。

ちなみに、矢作師は、モズアスコットの「種牡馬としての将来」にも期待しているようだ。そこまで言えるほど、モズアスコットの潜在能力にほれ込んでいるのだろう。秋以降も楽しみにしたい。

 

スワーヴリチャードはやはり強い

中距離路線に続いての「2階級制覇」こそならなかったスワーヴリチャードだが「やはり強いな」というのが率直な印象。

3着に敗れた理由は、決してマイル云々ではなく「1分31秒3」という勝ち時計。さすがに中距離型には速すぎ。底力でカバーできる領域を超えている。

それでも、マイル路線で活躍し続けてきた面々の多くには先着しているのだ。本来の路線に戻るであろう秋競馬が楽しみで仕方がない。

マイルでも強かった

ひとつだけ、結果論を承知で申し上げるが、普段は、あまり馬を押さえない(行く気に任せることが多い)デムーロが、珍しく行きたがるスワーヴリチャード押さえたことも、前残りの展開を考えると勿体なかったように感じた。

彼がかつてG1勝ちに導いたペルシアンナイトなど、他馬の強さを十分に知り尽くしているデムーロだからこそ「ここで無理をさせると、怖いかも・・・」という心境になったのかも。「名手故」の痛い判断ミスになってしまった。

 

その他に気になった馬について少々

まずは、キングスポーツの予告の穴馬だった2番☆サトノアレス。直線でグッと伸びてきた時には「もしかしたら!?」とも感じたが、ラストで脚色が一緒になってしまった。

まだ良くなりそうだ!

スタートで出遅れた分、後ろから外を回さざるを得ない状況になってしまっただけに、結果はともかく、内容に関しては上位3頭にヒケをとらない!こう考えて良い。

2歳時からG1を勝っていることもあり、随分長い事競馬界にいるような印象を受けるが、実はまだまだ4歳の若者だ。笑

もう少し上にいけそうな気がする!秋が本当に楽しみになってきた!

また、武豊騎乗のリスグラシューも外を回したが、これは「まともにぶつかったら足りない」と判断した鞍上が、一発狙って決め打ちしたのだろう。だが、時計が速すぎたこともあり不発に終わった印象。2月の【東京新聞杯】ではサトノアレス以下に先着しているのだから、今回の結果だけで見限る必要はない!

 

全体を通して、昨今の高速馬場は、切れ味がある馬に有利な傾向が強くなっている。

とはいえ、これから梅雨時期にもなるめ、馬場読みも重要な予想の要素となりそうだ。改めて、スタッフ一同、気を引き締めたい

 

 


 

【安田記念 2018】を見逃した方は下記からご覧下さい。

【安田記念 2018】のレース後の関係者のコメント

~レース後のコメント~
1着 モズアスコット(ルメール騎手)
「(連闘でしたが)疲れはありませんでした。心配していましたが、返し馬に乗ると状態が良かったので安心しました。前走を使って今日はGIでしたが、勝てる自信はありました。スタートして400mのところでぶつけてしまい、ポジションを探しました。前にスワーヴリチャードを見て、直線でマークしました。馬がよく頑張ってくれました。GIを勝つことが出来て素晴らしいです。メンバーのレベルが高い中、勝つことが出来ましたし、まだまだマイルのGIを勝てる馬です」

(矢作芳人調教師)
「結果的に、連闘したからこその勝利だと感じていますし、厩舎スタッフの能力の高さを示せて嬉しく思います。レースのことはすべてルメール騎手に任せていました。弱いところがあり、3歳6月にデビューを遅らせた馬です。これからもっともっと成長すると思いますし、この路線を引っ張る存在に育て、そして、フランケルの子供ですから世界的な種牡馬に出来るようやっていきたいと思います。この後、夏は休んで、秋については今のところ国内になる可能性が高いと考えています。安田記念はこれまで2着3回、悔しい思いをしてきました。勝てて本当に嬉しいです」

2着 アエロリット(戸崎騎手)
「馬の状態が良かったです。ハナに行こうかとも思いましたが、外の馬が主張して行ったのであのような形になりました。しぶとく頑張っています」

3着 スワーヴリチャード(M.デムーロ騎手)
「初の1600mでもよく頑張っています。スタートを出てからいいところにつけられ、直線では馬場の良いところを探しながら乗りました。ただ、手応えほど今日はいつもの瞬発力がありませんでした。少し体が減っていたのは夏バテの影響かもしれません」

4着 サトノアレス(蛯名騎手)
「前に並んで突き抜けるかと思いましたが、そこで脚色が他の馬と同じになってしまいました。スタートはタイミングが悪くて遅れてしまいましたが、脚は使っているのでそれほど問題はなかったです」

5着 サングレーザー(福永騎手)
「今日は意識的にポジションを取りに行って、道中はイメージ通りにリラックスして走っていました。馬はうまく対応してくれましたが、前に行った分、いつもの切れ味はありませんでした」

6着 ペルシアンナイト(川田騎手)
「直線で道を作ることが出来ず申し訳ない競馬になりました。すみませんでした」

7着 ウインガニオン(津村騎手)
「最後までよく頑張ってくれています。7着まで来られたのは偉いですね。また夏、頑張ってくれると思います」

9着 レッドファルクス(田辺騎手)
「淡々とした流れになってしまい、脚を温存出来ませんでした。直線でもあまり伸びてくれませんでした」

11着 キャンベルジュニア(石橋脩騎手)
「上手にスタートを出て、道中、力みなく行けました。東京コースだと1400mくらいまでの方がいいかもしれません」

(via ラジオNIKKEI 

 

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