こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】秋華賞 2022 における勝負の明暗
2022年10月16日(日) 4回阪神5日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第27回秋華賞
3歳・オープン・G1(馬齢) (牝)(国際)(指定) 芝・内 2000m 16頭立
着 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 7 | スタニングローズ | 牝3 | 55 | 坂井瑠星 | 1.58.6 | 03-05-05-04 | 34.3 | 3 | *(栗)高野友和 | |
2 | 8 | ナミュール | 牝3 | 55 | 横山武史 | 1.58.7 | 1/2 | 09-09-10-09 | 34.0 | 2 | *(栗)高野友和 |
3 | 9 | スターズオンアース | 牝3 | 55 | ルメール | 1.58.7 | ハナ | 14-13-14-14 | 33.5 | 1 | (美)高柳瑞樹 |
4 | 6 | メモリーレゾン | 牝3 | 55 | 古川吉洋 | 1.59.0 | 2 | 08-08-07-09 | 34.4 | 13 | (栗)長谷川浩 |
5 | 10 | アートハウス | 牝3 | 55 | 川田将雅 | 1.59.0 | ハナ | 03-03-03-02 | 35.0 | 4 | (栗)中内田充 |
6 | 11 | エグランタイン | 牝3 | 55 | 池添謙一 | 1.59.0 | 頭 | 06-06-07-06 | 34.5 | 11 | (栗)笹田和秀 |
7 | 15 | サウンドビバーチェ | 牝3 | 55 | 岩田望来 | 1.59.0 | ハナ | 02-02-02-02 | 35.1 | 12 | (栗)高柳大輔 |
8 | 5 | ストーリア | 牝3 | 55 | 松山弘平 | 1.59.0 | ハナ | 11-11-11-11 | 34.1 | 9 | (栗)杉山晴紀 |
9 | 16 | プレサージュリフト | 牝3 | 55 | 戸崎圭太 | 1.59.2 | 3/4 | 14-15-14-14 | 34.1 | 5 | (美)木村哲也 |
10 | 2 | ライラック | 牝3 | 55 | M.デム | 1.59.4 | 1 1/2 | 16-16-16-16 | 33.9 | 6 | (美)相沢郁 |
11 | 1 | ウインエクレール | 牝3 | 55 | 松岡正海 | 1.59.4 | クビ | 09-09-07-07 | 34.8 | 7 | (美)畠山吉宏 |
12 | 12 | ウォーターナビレラ | 牝3 | 55 | 武豊 | 1.59.4 | ハナ | 03-03-03-04 | 35.3 | 10 | (栗)武幸四郎 |
13 | 13 | エリカヴィータ | 牝3 | 55 | 福永祐一 | 1.59.5 | クビ | 12-12-13-11 | 34.6 | 8 | (美)国枝栄 |
14 | 4 | ラブパイロー | 牝3 | 55 | 酒井学 | 1.59.8 | 1 3/4 | 12-13-11-11 | 35.0 | 16 | (美)大和田成 |
15 | 3 | タガノフィナーレ | 牝3 | 55 | 鮫島克駿 | 1.59.9 | 1 | 06-06-05-07 | 35.5 | 15 | (栗)中村直也 |
16 | 14 | ブライトオンベイス | 牝3 | 55 | 秋山真一 | 2.00.5 | 3 1/2 | 01-01-01-01 | 36.7 | 14 | (栗)清水久詞 |
熱いレースをありがとう!
まずは、レースの回顧より何より、まずは、この大舞台へ辿り着いた16頭(抽選漏れした馬など、登録馬も含めれば22頭)に対して、心からの敬意と、労いの言葉を送るべきだろう。
私たちが想像する以上に、経験の浅い3歳馬が無事にひと夏を越すのは容易ではない。
例えば2冠馬スターズオンアースにしても、【オークス】後には軽度ながら前脚の骨折を経験している。
無事に戦線に戻ってこられて本当に良かったし、よくぞそんな中でも今回3着にまとめたと思う。さすがの底力に感心させられた。
要するに、何が起きても驚けないような状況の中、元気に出走にこぎつけたことは、それだけで大きな価値があるのだ。
レースが終われば、着順はついてしまう。1着馬がいれば、16着馬もいる。
歓喜に湧いた陣営があれば、悔しさが溢れる陣営だってあるだろう。
それでも彼女たちが【秋華賞】で熱く火花をちらした事実は決して消えることはない。ぜひ、全ての出走馬&関係者に胸を張ってほしい。そして、改めて「ありがとう」
勝利に感謝!スタニングローズ
そんな【秋華賞】を制したのは3番人気のスタニングローズ!
私たちにとっては3連単の軸馬でもあった彼女が勝ってくれたことで、今週を含めて
「G1・3週連続的中」
への挑戦権を得ることができた。
上で記した全馬への感謝に加えて、彼女にだけはもう一度感謝を言わなくてはいけないね(笑)ありがとう!
参考⇒先週の成績速報
さて、的中したから言うわけではないが
「波乱なくすんなりと決着する展開なら、まず勝つのは彼女だろう」
とレース前の段階から確信をしていた。(だから3連単の1着に固定できた)
その理由についてだが、ここで実際に有料会員様にご提供した解説文を一部抜粋で転載してみたい。
私たちの結論は「春の時点でも素晴らしい走りをしていたが、さらに進化している。今なら逆転まである!」
それだけ、前走【紫苑ステークス】のレース内容は素晴らしかった。どうしても、競馬センスの良さだったり確実性だったりが取り上げられがちだが、実際には、直線での抜け出す際の速さ、瞬発力にも同様の魅力があるように感じるし、この点は、明らかに春よりも進化していた。
【オークス】からの直行のローテーションにも良績のあるレースだが、かつてないほどの混戦となる今年は「夏、あるいは秋に使われたアドバンテージは大事になる」と判断。
勝負を分けたアドバンテージ
今回の【秋華賞】だが、皆様もご存知の通り【オークス】3着までの3頭がそのまま単勝上位人気の3頭に推され、結果、彼女たちが上位を占めた。(順番の違いはあったが)
当然、いずれも素晴らしい面々だが、上の解説文にもあるように、唯一、スタニングローズだけが、秋一度使われていた。
調教技術が進化した昨今は、休み明けでもいきなり力を発揮する馬は少なくない。
例えば前日の【府中牝馬ステークス】で2着に激走したソダシなどは、昨年の【桜花賞】を年明け初戦で制して、競馬ファンの度肝を抜いた。
参考⇒府中牝馬ステークスのレース回顧
ただ、それでもやはり、昔ながら「叩かれての良化」という部分は絶対にあると思うし、特に今年のような混戦の際は、大きな要素になると考えていた。
今回、直線やゴール前はかなりの激戦になったが、最後にスタニングローズがひと粘り出来た理由はそこにあったと、私たちは確信する。
強い馬が多ければ、一部の馬にマークが集中することもない。どの馬も順当に力を発揮できる態勢になる。だから、堅い決着になるのだ。
まだ勝負はついていない
それだけに、今回の着順だけで、彼女たちの勝負がついたとは全く思っていない。
特にスタニングローズは2冠馬なのだ。
ここを使われたことでグッと良くなるだろうし、次走(例えばエリ女あたり?)こそは本領発揮の場面となるかもしれない。
ところで、ひとつ余談にはなるが、私はオークスのレース回顧におけるスタニングローズの話題の際に、次のようなことを記した。覚えてらっしゃる方はいるだろうか?
レース前の段階から、母母のローズバドが【オークス】2着&その母ロゼカラーが4着ということで
「バラ一族の悲願達成なるか?」
などと言われていたが、比較的「末脚自慢」だった先代たちに加え、こちらは好位から安定したレースができる馬。
実は良い意味でバラ一族らしからぬ馬であり、その分、コースや条件を問わずに今後(今年のみならず来年以降も)大きな活躍が見込めるはずだ!
ちなみに、ローズバドが激走の2001年は【オークス】上位3頭が、そのまま【秋華賞】でも上位を占めた。(着順の変動はあったが)
再びそういったことがあるのか?そんな事にも注目しながら【秋華賞】もチェックしてほしい。
歴史は繰り返した!ならばこれからも!
結果、スタニングローズが遂に牝馬3冠レースのひとつをとって悲願を達成した!
それと同時に、何と2001年同様「オークス&秋華賞の上位3頭が同じ馬」に!
要するに歴史は繰り返したのだ!
こんなところにも競馬の奥深さ、面白さを感じずにはいられない。
では、2001年の上位3頭、テイエムオーシャン、ローズバド、レディパステルのその後は?
彼女たちは、決して3冠レースだけでは燃え尽きなかった。
テイエムオーシャンは、翌年夏、牡馬相手の【札幌記念】を制した。
またその他の2頭は、1年あいたが、2003年にそれぞれ重賞を勝っている。
せっかく繰り返した歴史だ。
最後に1頭!ご紹介させてほしい
上位3頭の素晴らしさは際立っていたが、それ以外で1頭をピックアップするなら、順当に4着のメモリーレゾンだろう。
13番人気ながら堂々の4着!価値あるレースだったように思う。
私たちとしては、彼女の前走後に(ローズS・5着)後に「未来の主役」として挙げた馬でもある。
自分たちの目も、なかなかのものじゃないか(笑)
参考⇒メモリーレゾンを挙げたローズSなどの回顧
【ローズステークス】の際に高く評価した理由は実はシンプルで
・秋華賞への出走が確定できていないにもかかわらず「出られればね!」と、古川騎手が本番を意識した発言をしていた
特に後者は重要で、デビューから常に跨ってきた古川騎手だからこそ、G1を意識したくなるほどの素材だということがわかっていたのだろう。
乗り替わりが当たり前の昨今だが、やはり乗り続けている騎手だからこそわかることは絶対にある!私たちは、できるだけそうしたコンビの鞍上のコメントは大事にするようにしてきた。案の定、メモリーレゾンは頑張った。
そんなメモリーレゾンについて、古川騎手は今回次のコメント。
現状の差は認めつつ、今後への期待もハッキリと語ってくれた。ならばもう一度信じよう!改めて、未来の主役に指名したい!
【秋華賞2022】のレース後の関係者のコメント
1着 スタニングローズ(坂井瑠星騎手)
「嬉しいという気持ちが一番です。馬主さん、高野調教師、スタニングローズに関わったすべての皆さんと、(師匠の)矢作先生に感謝したいです。前回、操縦性の確認ができて、今日も落ち着いていたので、後ろになりすぎないように運びました。1、2コーナーでアートハウスの後ろを確保できて、良いポジションだったと思います。前回と反応が違って、これで負けたら仕方ないという反応でした。(スターズオンアースが)内から来ていましたが、しっかり伸びていたので問題なかったです。夢に見たGIの舞台で、最高でした。(スタニングローズは)徐々に力をつけていますし、3歳牝馬で伸びしろはあると思いますし、これから頑張ってくれると思います」
「惜しかったです。馬体重のプラス20キロは成長分でした。春より馬は良くなっていました。折り合いも雰囲気も良かったのですが、まだ完成途上で、左に逃げるアンバランスなところがあります。一番の勝負どころで、遠心力もついて、左にモタれてしまいました。もったいなかったです。馬の成長を感じられたのは良かったです」
4着 メモリーレゾン(古川吉洋騎手)
「上位の3頭は強かったですが、よく頑張っています。状態は上がっていました。いい競馬をしてくれています。惜しかったですが、今の時点では差があるのかもしれません。これからの馬です」
5着 アートハウス(川田将雅騎手)
「とても具合良く競馬に向かえました。精一杯の走りをしてくれました」
6着 エグランタイン(池添謙一騎手)
「体自体は返し馬でも緩さがありました。まだまだこれから成長していくところだと思いました。2走目でスタートの反応も良くポジションもいいところを取れるかというところで、勝ち馬に2コーナーから向正面でアートハウスの後を取られてしまいました。そこが痛かったですね。それ以外は頑張って最後も踏ん張ってくれました」
7着 サウンドビバーチェ(岩田望来騎手)
「出走できましたので、何とかいい結果を出したいと思っていました。先行して、道中はスムーズでした。最後の反応も良かったです。負けましたが、いい内容の競馬はできました」
8着 ストーリア(松山弘平騎手)
「馬は力のあるところを見せてくれましたが、1コーナーの不利が痛かったですね」
9着 プレサージュリフト(戸崎圭太騎手)
「スタートをちょっとうまく出せず、腹を括って最後の脚にかけましたが、ペースが落ち着いて、きつい競馬になりました。返し馬のフットワークは良く、もう少し伸びてもいいと思ったのですが……。広いコースのワンターンの方がいいのかもしれません」
11着 ウインエクレール(松岡正海騎手)
「イレ込みました。それと経験不足です。いい経験を積めばいいですね。調子はもう少し上がりそうです」
12着 ウォーターナビレラ(武豊騎手)
「やりたい競馬は出来ましたが、距離が長かったですね」
14着 ラブパイロー(酒井学騎手)
「思っていたより、馬混みの中でもしっかり追走してくれました。ただ切れるタイプでは無いのでこのような形になると厳しいですね。自分の形になれば力を出すだろうという感触はありました」
16着 ブライトオンベイス(秋山真一郎騎手)
「4コーナーまではリズム良くいけました。今日一度2000mをうまくフィットして走ったことで、今後距離を詰めても楽に力まず走ってくれると思いますので今日のチャレンジは良かったと思います」
(via ラジオNIKKEI )
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