こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】エルムステークス 2022 における勝負の明暗
2022年 8月 7日(日) 1回札幌6日 天候 : 晴 馬場状態 : 良
【11R】 第27回エルムS
3歳以上・オープン・G3(別定) (国際)(指定) ダート 1700m 14頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | 9 | フルデプスリーダー | 牡5 | 56 | 丹内祐次 | 1.44.2 | 06-06-04-03 | 36.2 | 9 | *(美)斎藤誠 | |
2 | 4 | 6 | ウェルドーン | 牝4 | 54 | 武豊 | 1.44.3 | クビ | 02-02-02-01 | 36.6 | 6 | *(栗)角田晃一 |
3 | B3 | 3 | オメガレインボー | 牡6 | 56 | 横山和生 | 1.44.4 | クビ | 03-04-04-03 | 36.5 | 2 | (栗)安田翔伍 |
4 | B3 | 4 | ブラッティーキッド | 牡4 | 56 | 水口優也 | 1.44.4 | クビ | 03-03-02-05 | 36.6 | 1 | (栗)中尾秀正 |
5 | 7 | 11 | ロードレガリス | 牡7 | 56 | 富田暁 | 1.44.5 | クビ | 11-11-10-09 | 35.6 | 5 | (栗)野中賢二 |
6 | 5 | 7 | ヒストリーメイカー | 牡8 | 56 | 池添謙一 | 1.44.6 | 1/2 | 05-04-04-05 | 36.6 | 7 | (栗)新谷功一 |
7 | 6 | 10 | ブラックアーメット | 牡4 | 56 | 角田大和 | 1.45.0 | 2 1/2 | 08-08-07-07 | 36.8 | 11 | *(栗)角田晃一 |
8 | 2 | 2 | アイオライト | 牡5 | 56 | 菱田裕二 | 1.45.0 | クビ | 01-01-01-02 | 37.3 | 3 | (美)武藤善則 |
9 | B7 | 12 | スワーヴアラミス | 牡7 | 58 | 松田大作 | 1.45.4 | 2 1/2 | 10-10-09-10 | 36.8 | 4 | (栗)須貝尚介 |
10 | B8 | 13 | バティスティーニ | 牡9 | 56 | 鮫島克駿 | 1.45.4 | ハナ | 11-11-07-07 | 37.2 | 14 | (栗)池添学 |
11 | B8 | 14 | ダンツキャッスル | 牡6 | 56 | 吉田隼人 | 1.46.0 | 3 1/2 | 13-13-12-12 | 36.9 | 10 | (栗)谷潔 |
12 | 4 | 5 | アメリカンシード | 牡5 | 56 | 柴山雄一 | 1.46.2 | 1 1/4 | 08-08-12-13 | 37.2 | 12 | (栗)藤岡健一 |
13 | 1 | 1 | ロードエクレール | 牡4 | 56 | 石川裕紀 | 1.46.5 | 1 1/2 | 06-07-10-11 | 37.7 | 8 | *(美)斎藤誠 |
14 | 5 | 8 | ダノンファラオ | 牡5 | 58 | 浜中俊 | 1.46.5 | ハナ | 14-14-14-14 | 36.4 | 13 | (栗)矢作芳人 |
やはり一筋縄ではいかず
単勝1番人気馬が昇級初戦だったブラッティーキッド。
その単勝オッズも、驚きの5.2倍。
レース前の段階からの評判だった「大混戦」を象徴するような数字だが、案の定、結果も一筋縄ではいかなかった。
優勝したのは9番人気の伏兵フルデプスリーダー。
さらに、2着も6番人気のウェルドーンだった。
フルデプスリーダーは、重賞初挑戦にして、初重賞制覇!本当におめでとう!
また、私たちにとっては、有料会員様や、YouTubeチャンネルでも「好調教馬」と断言した一頭でもあった。
それだけには、激走には心から感謝している。
参考⇨エルムステークスの好調教馬特集
意外だった低評価
そのフルデプスリーダーだが、【エルムステークス】と圧倒的な相性(4年連続で勝ち馬を出している)を誇る「前走マリーンステークス組」の「勝ち馬」だ。
ましてや、私たちが好調教馬に指名したように、仕上がりも素晴らしかった。
重賞初挑戦だけに、経験という部分は多少劣るにしても
「そこそこは売れるのかな!?」
という思いもあった。だが、上でも記したように、終わってみれば14頭中の9番人気だから「大穴」に近い部類。
どうして人気が上がらなかったか?
まず間違いなく、鞍上が「横山武史騎手⇨丹内騎手」へと替わった点が最大の理由なのだろう。
気性難の馬こそ、託せる騎手
8月7日終了時点で、全国リーディング全国リーディング16位の丹内騎手。
池添騎手、幸騎手、藤岡佑介騎手ら、歴戦の名手たちの上をいく堂々の成績だ。
また、8月の頭時点で、早くもキャリアハイに並ぶ数字を残すなど絶好調!
とはいえ、横山武史騎手は全国リーディング2位だから、それと比較すれば、人気を落としてしまうのは止むを得ない部分もあるのだろう。
一方で、丹内騎手には「単なる表面的な数字には表れない最大の持ち味」があるとは、意外と知られていないかもしれない。
以下、昨年&今年(先週時点まで)の、距離別成績データだ。
長距離が上手い=冷静に乗れる騎手。つまり!
上のデータからもわかるように、2500M以上のレースで、最も優秀な数字を残している。
当たり前のことを言うようだが、長距離戦はレース時間が長い分だけ、レース中に様々なことが起こる可能性がある。
ご存じの方もいるかもしれないが、フルデプスリーダーは、走力はありつつも、やや気性に若い面があり、ゲート難だと言われてきた。
事実、今回のレースを前に、陣営からは「ゲートさえ出てくれればチャンスあり」といったようなコメントが出ていた。
結果的には、やや立ち遅れ加減ながらほぼ普通に出ていたでの、すかさず好位を確保して折り合わせる鞍上「技量」の部分が活きたが、仮に出遅れても、彼なら、変に慌てず「ならばマクりの競馬に」などと、冷静に対処したに違いない。
要するにフルデプスリーダーのようなタイプには、ドンピシャの騎手だったのだ!
間違いなく「買うべき騎手」
当然、陣営はそういったところを十分に考慮した上で丹内騎手を起用したに違いない。
さすがは、関東の名門・斎藤誠厩舎だ。
8月7日の終了時点で、関東リーディングは堂々の1位、さらに全国リーディングでも5位につけている。
今年で調教師生活・17年目。数々の実力派を育ててきた厩舎らしく、キメの細かい馬の仕上げには定評があるが、そういった部分は、騎手の起用など、その他諸々の部分にも活きてくるはず。
17年目とはいえまだ51歳、調教師としてはまだまだ若い部類でもあるし、長く活躍してくれるだろう。引き続きこの厩舎の所属馬には要注意だ!
同時に、繰り返しになるが、丹内騎手も数字以上に技量のある騎手だと思う。
もしも、これまでの感覚で、彼に魅力を感じないのであれば、そういったイメージは捨てさることをオススメしたい!
この先の夏、そして秋競馬でも、ぜひ、マークしてほしい!今回は丹内騎手が未来の主役だ!
最後に、今後期待したい馬
騎手の話が長くなったが、最後に馬についてのお話。
勝ち馬はもちろん素晴らしいが、敗れた組の中に印象的だった馬が1頭いる。
4着ブラッティーキッド
1番人気で4着だから、陣営にとっては良い結果とは言えないだろう。
だが「昇級戦&重賞初挑戦」の馬だという部分だけに注目すれば、相当価値の高いレースぶりだったように思う。
レース後、水口騎手が
と語っていたが全くその通り。
やめてしまう部分に関しては何とも言えないが、その他の部分での軽快かつ力強いフットワークは、最も目を奪われた。間違いなく大器。
近い将来、G1でも戦える存在になるのではないか?ぜひ、意識しておいてほしい。
【エルムステークス 2022】のレース後の関係者のコメント
レース後のコメント
1着 フルデプスリーダー(丹内祐次騎手)
「気配は良かったです。追い切りに乗せてもらい、感じを掴んでいました。自信を持って乗れました。ゲートに集中していました。一度立ったりヒヤヒヤしましたが、上手くリカバリーして良い位置につけられました。手応え良く内が空いていて、勝負根性を信じていました。よく頑張りました。初騎乗でしたが、横山武史騎手からいろいろ聞いて不安なく乗れました。正直よく分からなかったですが、勝てて良かったです。北の大地に僕は強いので応援お願いします」
2着 ウェルドーン(武豊騎手)
「理想的なレースができました。何より馬の状態が戻っていて、前よりもいいくらいでした。あそこまで行ったら勝ちたかったのですが、先頭に立つとふわふわしてしまって・・・」
3着 オメガレインボー(横山和生騎手)
「ゲートが決まって、楽にあの位置が取れました。こんなにうまく行くの?というくらいリズム良く行けました。もう少しでした。頑張ってくれていますが・・・」
4着 ブラッティーキッド(水口優也騎手)
「一番スタートを出てくれて、ポジションも良すぎるくらい良かったです。早目に踏んで行こうと思いましたが、3コーナーすぎでやめてしまう面が出てしまったのが勿体なかったです。最後は盛り返していました。まだ発展途上ですし、これから良くなっていくと思います。楽しみです」
5着 ロードレガリス(富田暁騎手)
「外枠だったので、自分の競馬ができると思っていました。向正面で捲っていく競馬を考えていたのですが、1700mでは持つところがありませんでした。最後は外から差し込んでくれましたが、やはりこの馬の本来の力を今日は出せませんでした。少しずつ良くなってきていますし、絶対にこの馬の力を見せることはできると思います。今後乗せて頂ける機会があればリベンジしたいです」
8着 アイオライト(菱田裕二騎手)
「いくつかの選択肢を考えていて、ハナという一番良い選択が取れました。本当に良い感じでしたが、4コーナーで手応えが無くなってしまいました。もしかすると、目に見えない疲れがあったのかもしれません」
(via ラジオNIKKEI )
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