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オーシャンステークス 2022【回顧】ジャンダルムは本番でも戦えるか?

こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。

もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!

 

勝負の明暗 はここだった!

【回顧】オーシャンステークス 2022 における勝負の明暗

2022年 3月 5日(土) 2回中山3日 天候 : 晴  馬場状態 : 良
【11R】 第17回夕刊フジ賞オーシャンS
4歳以上・オープン・G3(別定) (国際)(指定) 芝 1200m 15頭立

馬 名 性齢 斤量 騎手 タイム 着差 通過順位 上3F 単勝 体重 ± 調教師
B4 7 ジャンダルム 牡7 56 荻野極 1.07.9    03-02 34.2 2 5.4 510 -4 *(栗)池江泰寿
6 10 ナランフレグ 牡6 56 丸田恭介 1.08.0  3/4    13-13 33.5 4 8.2 498 +4 (美)宗像義忠
8 14 ビアンフェ セ5 56 藤岡佑介 1.08.0    01-01 34.6 5 9.1 556 -6 (栗)中竹和也
3 5 ダディーズビビッド 牡4 56 浜中俊 1.08.1 クビ    07-06 34.1 8 16.5 508 -2 (栗)千田輝彦
5 9 デトロイトテソーロ 牝5 54 菅原明良 1.08.2  3/4    02-02 34.6 10 32.2 470 0 (美)高木登
B5 8 キルロード セ7 56 内田博幸 1.08.3 クビ    03-02 34.6 9 21.5 506 +2 (美)田村康仁
1 1 マリアズハート 牝6 54 大野拓弥 1.08.3    08-09 34.2 6 14.0 502 -2 (美)菊沢隆徳
3 4 ダイメイフジ 牡8 56 田辺裕信 1.08.5 1 1/4    11-10 34.2 12 118.8 528 -8 *(栗)森田直行
B2 3 ファストフォース 牡6 56 鮫島克駿 1.08.5 ハナ    05-06 34.7 3 6.1 518 -12 (栗)西村真幸
10 2 2 スマートクラージュ 牡5 56 戸崎圭太 1.08.5 クビ    05-05 34.7 1 2.8 472 -2 *(栗)池江泰寿
11 4 6 ボンボヤージ 牝5 54 吉田豊 1.08.6 クビ    13-13 34.1 13 139.2 444 -6 (栗)梅田智之
12 7 13 サヴォワールエメ 牝6 54 石川裕紀 1.08.6 クビ    13-13 34.1 15 204.9 458 -8 (栗)辻野泰之
13 8 15 ロードベイリーフ 牡5 56 亀田温心 1.08.8 1 1/4    11-10 34.4 14 161.6 482 -16 *(栗)森田直行
14 6 11 マイネルジェロディ 牡4 56 柴田大知 1.09.0 1    08-06 34.9 7 14.6 470 0 (栗)西園正都
15 7 12 ビオグラフィー 牝5 54 斎藤新 1.09.1  1/2    08-10 35.0 11 52.6 480 -8 (栗)藤岡健一

 

主役不在のスプリント路線

現在のスプリント路線は、飛び抜けた主役が不在の状況。

ご存知の通り、昨年G1【スプリンターズS】を制したピクシーナイトは、海外遠征中の怪我により、戦線を離脱しているのだ。

それだけに、今回の【オーシャンS】の見どころはシンプル。

今月末に行われるG1【高松宮記念】へ向けて

新たな主役候補の台頭はあるのか?

という点を意識して、私たちもレースをチェックした。

そして、優勝したのは7歳馬で、かつての名スプリンターズ・ビリーヴの産駒であるジャンダルムだった。

2歳だった2017年11月【デイリー杯2歳S】以来の重賞勝ち。

長い日々を耐え抜いた関係者の方々、何よりジャンダルム自身に対して、心からの祝福を申し上げたい。

 

確かに条件が向いてはいたが

レース内容はどうだった?

4角2番手通過という理想的な展開から、直線では楽に抜け出した。

直線一気で追い込んできた2着ナランフレグとは3/4差ながら、かなり余裕があったように思えた。

また、見逃せないのは走破時計の1分7秒9。

一見すると、それほどのタイムには思えないかもしれない。
だが、例年と比べるとやや時計がかかっているように思える今の中山(例えば、1週前の中山記念は、昨年より1秒5も勝ち時計が遅かった)を考慮すれば、優秀だと言えそうだ。

事実上の「完勝」と言って良いだろう。

 

ピクシーナイト不在のスプリント路線で主役になれる?

ただ、その一方で次のような考え方もあるようだ。

「このレースはジャンダルム向きの条件だったのでは?」

確かにそういった面はあるとは思う。

ここ中山を得意としているし(オープンの【春雷S】を勝っている)、ハンデ57.5キロをを背負いっていた前走と比べれば、別定の56キロは戦いやすかったに違いない。

だが、こうした点を差し引いても

「ジャンダルムは本番でも面白い存在になれる」と言い切りたい!

 

背景には「騎手」がいる

その最大の理由は、実は鞍上の荻野極騎手の存在にある。

荻野極騎手はデビュー以来7年目で、念願の重賞初制覇を達成だ!おめでとう!

通算159勝だから、決して結果を残せていない騎手ではないが、それでも、正直に言って目立つ存在ではなかったように思う。

そんな騎手に、どうして重賞で勝ち負けできるほどの馬が回ってきたか?

実は、荻野極騎手は、積極的にジャンダルムの調教に参加していたそうだ。

どうしても気性に難しい面があるため、陣営は試行錯誤の調教を重ねていたそうだが、それを支えていた一人が荻野極騎手だった。

信頼を勝ち得て、2020年10月の【信越S】(1着)以来、何度もコンビを組んでいる。

そんな騎手に対して、名将・池江寿師は最大限の賛辞を送った。

「競馬に乗っていない時も、熱心に手伝ってくれた。極が乗るとゲートを出るんですよね」

 

馬を知り尽くしていることの強み

池江寿師は、実はこんなことも言っている。

荻野極で高松宮記念に行きたい

ジョッキーにとって、これほど嬉しい言葉もないだろう。

混戦確実の高松宮記念に荻野極騎手と参戦

もちろん【高松宮記念】は相手関係のレベルも高い。今回ほどスムーズな戦いになることはないだろう。

だが、冒頭から記している通り、今のスプリント路線は主役不在で各馬の能力が拮抗していることは間違いない。

能力の拮抗した馬たちが、一世一代の大一番で火花を散らす。ごちゃつくような場面もあるかも。そういった中から抜け出すための、極めて大きな強みが

馬を知り尽くしている鞍上の存在

だと私は思う。

引くか?攻めるか?外に出すか?内に出すか?

今の荻野極騎手なら、ジャンダルムにとって最良の選択をしてくれるに違いない。若武者とベテランの異色コンビの本番でのパフォーマンス、楽しみにしている。

 

その他、気になる馬を2頭ご紹介

ここまでジャンダルムの話が長くなってしまったが、最後に「その他に気になる2頭」について。

【高松宮記念】どうこうではなく、長い目で見て楽しみな馬という視点でご紹介する。

まずは

4着ダディーズビビット

古馬重賞は初挑戦だった4歳馬が、強豪を相手によく戦った。

上がり3ハロンでは2番目のタイムを出しているが、確かに直線での伸びも目立った。

だが、私が見る限り「もったいないレースだった」ような気もする。

実はレース後、鞍上の浜中騎手が

「最後まで止まらずに伸びています。ただ、右回りでは膨らみ気味になり、上手くコーナリングができていませんでした。それでもここまで来ていますし、力のある馬です」

と語っているが、全くの同感だ。

ひとまずは右回りで頑張ってもらい、いずれは右回りでも!

未来の主役に指名し、大きく羽ばたく日を楽しみに待っている。

 

人気を裏切ってしまったあの馬は?

そしてもう1頭、1番人気を裏切る形で無念の10着に終わった

10着スマートクラージュ

についてもお話しておきたい。

実は池江寿厩舎は2頭出しだった。

「2頭出しの場合は人気薄を狙え」などという格言が昔からあるが、まさにその通り、ジャンダルム(と言っても2番人気)が優勝を収めた。

前半から好位5番手を確保、決して悪くないレースに見えたが、どうして伸びなかったのか?

尚、鞍上の戸崎騎手は次のような話をしている。

「3コーナーで外の馬に来られて接触し、ラチにもぶつかってしまい、気分を損ねてしまいました。最後の反応ももうひとつでした」

それも確かにあるのだろうが、それにしても伸びなかった。

強いて原因を推測するなら、遠征だろうか。

これまで、掲示板を外したことが2回だけあったスマートクラージュだが、舞台はいずれも東京だった。その他のレースは、殆どが地元関西圏なのだ。

次走、ぜひ地元でのレースを見せてほしい。

そこで改めて、遠征が原因だったのかを考えてみたい。

 

【オーシャンステークス 2022】のレース後の関係者のコメント

レース後のコメント
1着 ジャンダルム(荻野極騎手)
「ゲートが課題でしたが理想的なスタートが切れました。前走は先頭に立つのが早かったので、今日は前に馬を置いて待つことにしました。4コーナーから直線にかけて良い感触だったので、真っすぐに走らせることができれば、勝てるだろうと思いました。年齢はいっていますが、体にはフレッシュさがありますし、この強い勝ち方から今後に期待ができると思います」

(池江泰寿調教師)
「ゲートをしっかりと出たのが良かったです。前走は急仕上げで仕上がり途上でしたから、上積みもありました。中山の1200mも合っています。それに、荻野騎手が乗るとゲートを出ます。オーナーが荻野騎手を乗せ続けてくれていますが、荻野騎手も、競馬に乗らないときでも練習に付き合ってくれたり、一所懸命に取り組んでくれています。それだけに、荻野騎手の重賞初勝利は良かったと思います。この後は、荻野騎手でGIに行きたいと思います」

2着 ナランフレグ(丸田恭介騎手)
「出来が良くなっていました。出したいタイミングで外に出すことができましたし、よく伸びてくれました」

3着 ビアンフェ(藤岡佑介騎手)
「一度使われて、返し馬では素軽さが出ていましたし、体調が良かったです。右回りに変わって条件が好転していましたし、もう少しでした。勝った馬は強かったですが、この馬も良いパフォーマンスを見せられたと思います」

4着 ダディーズビビッド(浜中俊騎手)
「最後まで止まらずに伸びています。ただ、右回りでは膨らみ気味になり、上手くコーナリングができていませんでした。それでもここまで来ていますし、力のある馬です」

5着 デトロイトテソーロ(菅原明良騎手)
「いつも通りスタートは速かったのですが、ビアンフェが行くのは分かっていたので、無理せず控えました。終いまでよく踏ん張っていますし、重賞でもやれることが分かったのは良かったです」

10着 スマートクラージュ(戸崎圭太騎手)
「3コーナーで外の馬に来られて接触し、ラチにもぶつかってしまい、気分を損ねてしまいました。最後の反応ももうひとつでした」

(via ラジオNIKKEI

 

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