こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】阪神ジュベナイルフィリーズ 2021 における勝負の明暗
【11R】 第73回阪神ジュベナイルフィリーズ
2歳・オープン・G1(馬齢) (牝)(国際)(指定) 芝・外 1600m 18頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 単勝 | 体重 | ± | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 5 | 10 | サークルオブライフ | 牝2 | 54 | M.デム | 1.33.8 | 11-10 | 33.9 | 3 | 5.6 | 478 | 0 | (美)国枝栄 | |
2 | 6 | 11 | ラブリイユアアイズ | 牝2 | 54 | 団野大成 | 1.33.9 | 1/2 | 06-06 | 34.2 | 8 | 51.2 | 428 | -10 | (美)黒岩陽一 |
3 | 7 | 13 | ウォーターナビレラ | 牝2 | 54 | 武豊 | 1.34.0 | 1/2 | 03-03 | 34.5 | 4 | 6.6 | 470 | -2 | (栗)武幸四郎 |
4 | 8 | 17 | ナミュール | 牝2 | 54 | C.デム | 1.34.0 | クビ | 13-17 | 33.6 | 1 | 2.9 | 430 | -10 | (栗)高野友和 |
5 | 1 | 1 | ナムラクレア | 牝2 | 54 | 浜中俊 | 1.34.3 | 1 3/4 | 11-13 | 34.1 | 6 | 11.9 | 454 | -6 | (栗)長谷川浩 |
6 | 8 | 16 | ベルクレスタ | 牝2 | 54 | 松山弘平 | 1.34.4 | 3/4 | 13-06 | 34.7 | 5 | 8.3 | 466 | -2 | (栗)須貝尚介 |
7 | 4 | 8 | ステルナティーア | 牝2 | 54 | ルメール | 1.34.4 | ハナ | 06-09 | 34.6 | 2 | 4.9 | 432 | -10 | (美)木村哲也 |
8 | 3 | 5 | スタティスティクス | 牝2 | 54 | 和田竜二 | 1.34.4 | ハナ | 17-17 | 34.0 | 9 | 76.3 | 434 | -4 | (栗)石坂公一 |
9 | 6 | 12 | アネゴハダ | 牝2 | 54 | 幸英明 | 1.34.5 | 1/2 | 04-04 | 34.9 | 11 | 97.6 | 442 | +2 | (栗)佐々木晶 |
10 | 4 | 7 | キミワクイーン | 牝2 | 54 | 内田博幸 | 1.34.8 | 1 3/4 | 04-06 | 35.1 | 10 | 80.9 | 420 | +2 | (美)奥村武 |
11 | 7 | 14 | サク | 牝2 | 54 | 酒井学 | 1.35.0 | 1 1/4 | 18-13 | 34.9 | 15 | 145.6 | 448 | +2 | (栗)北出成人 |
12 | 5 | 9 | シークルーズ | 牝2 | 54 | 岩田望来 | 1.35.1 | 3/4 | 13-13 | 34.9 | 14 | 141.8 | 428 | +8 | (栗)杉山晴紀 |
13 | 2 | 4 | トーホウラビアン | 牝2 | 54 | 太宰啓介 | 1.35.3 | 1 1/4 | 02-02 | 36.1 | 18 | 325.9 | 416 | -10 | (栗)川村禎彦 |
14 | 7 | 15 | ダークペイジ | 牝2 | 54 | 横山和生 | 1.35.4 | クビ | 01-01 | 36.4 | 12 | 104.4 | 452 | +4 | (栗)吉村圭司 |
15 | 3 | 6 | タナザウィング | 牝2 | 54 | 国分恭介 | 1.35.6 | 1 1/4 | 13-13 | 35.5 | 16 | 175.6 | 452 | -4 | (栗)清水久詞 |
16 | 8 | 18 | パーソナルハイ | 牝2 | 54 | 藤岡康太 | 1.35.7 | 1/2 | 06-04 | 36.1 | 7 | 41.7 | 462 | -8 | (栗)矢作芳人 |
17 | 1 | 2 | ナムラリコリス | 牝2 | 54 | 泉谷楓真 | 1.35.9 | 1 1/4 | 06-10 | 36.0 | 13 | 111.3 | 476 | +12 | (栗)大橋勇樹 |
18 | B2 | 3 | ヒノクニ | 牝2 | 54 | 長岡禎仁 | 1.35.9 | 頭 | 10-10 | 35.9 | 17 | 261.2 | 446 | +8 | (美)深山雅史 |
「未来」がここにある!
皆様は【阪神JF】と同日に香港で行われた国際G1【香港カップ】をご覧になられただろうか?
まだだよという方は、JRAの公式サイトから動画が見られるので、ぜひチェックしてほしい。
結果としては、5歳牝馬ラヴズオンリーユーがラストランを飾った!
終始厳しいマークに遭い、なかなか追い出せなかったが、ゴール前は桁違いの末脚と勝負根性で一気に伸びた。
これまでに、数々のハイレベルなパフォーマンスを見せてきた彼女だが、衝撃度では今回がNo1かもしれない。
それも【クイーンエリザベス2世C】【BCF&Mターフ】に続く「海外G1・年間達成」の大偉業を達成だ!本当に、これまでお疲れ様。
そんなラヴズオンリーユーを含め「牝馬の時代」の象徴だった、最強5歳勢のトップ3頭(2年前の牝馬3冠を分け合った3頭)が、この秋を以って引退。
間違いなく、ひとつの時代が終わろうとしている。
それでも!今回の【阪神JF】を目の当たりにした今、断言させてほしい。
おめでとう!サークルオブライフ
未来を感じさせてくれるほど見応えのある大一番を制したのは、3番人気のサークルオブライフだった。
まずはG1初制覇、おめでとう!
前走【アルテミスS】を制した際にも話題になったが、やはり出身牧場に目がいった。
かつては、数多くの名馬、特に名牝を輩出してきた名門・千代田牧場だ!
近年は大手の勢いに飲み込まれるかのように、苦戦が続いていた。
そんな中で、遂にG1馬が誕生したのだ!
関係者の喜びは非常に大きいだろう。心から祝福をお伝えしたい。
そんなサークルオブライフだが、私たちは【アルテミスS】が終わった段階で
とハッキリ断言させてもらっていた。
(だから当然、今回のレースにおける3連単1着軸の1頭だった)
詳しくは、当時のレース回顧を見てほしい。
参考⇒アルテミスS 2021 回顧
モノの違いは明らかだった
毎週、各重賞のレース回顧を記す中で、将来が楽しみな馬を「未来の主役」としてピックアップするようにしている。
だが、そんな中でも、まだ重賞をひとつ勝った段階で「3冠候補」をまで言い切るのは、私の中でも異例中の異例。
そう言いたくなるほどのモノの違いを【アルテミスS】から感じた。
爆発的な末脚にばかり目がいくが、修正能力の速さや、厩舎力(名門・国枝厩舎)なども含め、彼女には、今後大きく羽ばたく上での要素が数多く備えられていると思ってからだ。
それほどの馬だけに、今回の【阪神JF】で3番人気に評価にとどまったことには本当に驚いた。
一体これほどの馬がどうして?
理由を考えてみると、恐らく「前走の単勝人気」が影響しているのではないだろうか。
データの時代だからこそ
ネット時代だからこそなのか、特に最近の若い競馬ファンの中には「数字」を意識する人が多いと聞いたことがある。
確かに「実績があっても、前走の着順が悪かった馬は意外に売れない」
そんなケースを何度も見たことがある。
良くも悪くも、ドライに数字を予想に反映させるのだろう。
サークルオブライフの場合も、前走は勝ったとはいえ「7番人気」だった。
それゆえに「フロックだったのかも!?」と考えた人が多かったのだろうと推測する。
ひょっとしたら、ノーザンファーム産の馬が全盛の時代だけに、千代田牧場出身という部分にひっかかった人もいたかもしれない。
だが、競馬はそんなに甘いものではない。
調教師の思いも絶対に見逃してはいけない
上でも記したように、レースの中身を見ればサークルオブライフの素晴らしさは一目瞭然だった。
ひょっとしたらコラムをご覧の方の中にも「数字派」の方がいるかもしれない。
競馬の考え方は人ぞれぞれが基本だから、それを否定するつもりはない。
だが、あなたご自身の予想家としてのレベルをさらに1ランク上げるためには、数字と、中身を融合させるのも面白いのでは?それだけはアドバイスしたい。
そして、中身という意味では、馬の中身を誰よりも知っているはずの「調教師の思い」は絶対に見逃してほしくはない。
必ず予想をする上では大きな参考になる。
実は今回の大一番を前に、デムーロ騎手がこんなことを言っていた。
さあ、来年が本当に楽しみになってきた!
改めて申し上げるまでもないが、国枝調教師といえば、アパパネ、アーモンドアイという2頭の3冠牝馬を育てあげた。要するに、日本競馬界で、最も牝馬の育成に成功した調教師。
これ以上の強みが他にあるだろうか?
だからこそ、今回の勝利はある意味では当然だったのだろう。
奇しくも、ラヴズオンリーユーのラストランの日に、G1初制覇を飾ったサークルオブライフ。
最強牝馬から最強牝馬へのバトンタッチだったのではないか?
そんな妄想をしつつ、これからの彼女の道のりに期待したい!
もちろん、勝ち馬でも「未来の主役」だ!
最後に、1番人気ナミュールについて
サークルオブライフの話が長くなりすぎて申し訳ない。
最後に、やはり1番人気を裏切る形になってしまったナミュールについてもお話しておきたい。
ゲートで大きく出遅れながら、しかも馬場の悪い内側を直線で走りながら、上がり3ハロン最速のタイムを繰り出して、勝馬から0.2秒差でまとめた。
タラレバを言っても仕方がないとはいえ、スムーズなら勝ち馬との併せ馬になっていただろう。
ただ、もったいないなと感じる部分がある。
ぜひ、レース後のCデムーロ騎手のコメントをご覧いただきたい。
あくまでも結果論を承知で申し上げるが、仮に彼女が、これまで多頭数で揉まれる競馬を経験していれば、怖がることはなかったかもしれない。
彼女の過去2戦は10頭立て&9頭立て。
どちらかといえば、少頭数に近い部類であり、苦労することなくスムーズに勝ってきてしまった。
そのツケがここで出てしまったのかもしれない。
どれだけ調教を重ねようと、多頭数に揉まれる経験だけはできない。
それができるのは実戦のみ!だから、私たちは2歳戦を予想する際、同じくらいの評価で迷った馬がいる時は、なるべく多頭数を経験している馬を選ぶようにしている。
参考にしてほしい。
それはともかく、ナミュールが素晴らしい素材であることは間違いない。この経験を糧に、次はいかなる場面でも乗り越えていくだろう。
来年の3冠路線をサークルオブライフと共に盛り上げてほしい!
レースを見逃した方はコチラ
【みんなのKEIBA 次回12月19日(日)午後3時】
2歳女王決定戦
「阪神ジュベナイルフィリーズ・GⅠ」
3番人気の⑩サークルオブライフが
最後の直線豪快に差し切り
世代最初のGⅠを制しました!2着⑪ラブリイユアアイズ
3着⑬ウォーターナビレラ pic.twitter.com/RlWu8c6Iuf— フジテレビ競馬 (@fujitvkeiba) December 12, 2021
【阪神ジュベナイルフィリーズ 2021】のレース後の関係者のコメント
1着 サークルオブライフ(M.デムーロ騎手)
「すごく嬉しいです。強かったです。自信もあって、ずっと手応えがあってスムーズでした。直線で外に行ってジリジリ伸びているので馬を信じていました。良かったです。新馬戦から毎回上手に走っています。2戦目は出遅れましたがそれからはスタートも上手に出ています。ストロングポイントはとにかくバテないことです。ポテンシャルを出してくれているので、成長したら来年楽しみです」
2着 ラブリイユアアイズ(団野大成騎手)
「レース前に久々に跨った時に、折り合いも馬とのコンタクトも問題なく体重は減っていましたが良い感触でした。レースではテンから無理せず折り合って進めることが出来ました。最後は勝ち馬との決め手の差が出た形です」
3着 ウォーターナビレラ(武豊騎手)
「思い通りのレースは出来ました。状態も良かったですし、惜しかったですね。もう一歩でした」
4着 ナミュール(C.デムーロ騎手)
「ゲートの出が良くなく後方からのレースになりましたが、向正面で前の馬がゴチャゴチャした時に怖がって内に入る形になりました。直線では最後に前があいて馬場の悪い内から伸びています。今日は外枠が難しかったです」
5着 ナムラクレア(浜中俊騎手)
「競馬はとにかく折り合いをつけることが第一だったので、返し馬はテンションが高くても競馬はリラックスして走ることが出来ました。こういう感じで競馬ができたらマイルもこなしてくれるのではないかと思います」
6着 ベルクレスタ(松山弘平騎手)
「上手く前に壁を作ることが出来ず、苦しいレースになりました。その中でこの馬の力は見せてくれました。溜める競馬が出来ていたらもっとやれただけに申し訳ない気持ちです」
7着 ステルナティーア(C.ルメール騎手)
「スタートして200mくらい行ったところでぶつけられてポジションが取れませんでした。直線でもなかなかスペースができませんでした。残念です」
8着 スタティスティクス(和田竜二騎手)
「ゲートは上手に出てくれました。ただスピードに乗ってくるまでに時間が掛かるので位置取りが良くなくなりました。3番手集団も遅かったので行くところがなく、外に出しましたがすごい脚で来ています。能力があります」
10着 キミワクイーン(内田博幸騎手)
「スタートしてスピードがあるのでそれなりの位置につけられました。ゴーサインを出した時に周りも動く馬ばかりですからね。止まっているわけではありませんが、初めてのコース、右回りの中よく頑張っています。次につながるレースになったと思います」
(via ラジオNIKKEI )
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