こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】平安ステークス 2018 における勝負の明暗
着 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 9 | サンライズソア | 牡4 | 57 | M.デム | 1.57.3 | 01-01-01-01 | 37.0 | 7 | |
2 | 14 | クイーンマンボ | 牝4 | 55 | ルメール | 1.57.5 | 1 1/2 | 06-06-06-06 | 36.7 | 3 |
3 | 10 | クインズサターン | 牡5 | 56 | 四位洋文 | 1.57.5 | ハナ | 08-08-09-08 | 36.3 | 5 |
4 | 1 | ミツバ | 牡6 | 57 | 松山弘平 | 1.57.6 | クビ | 11-12-03-02 | 37.1 | 6 |
5 | 6 | グレイトパール | 牡5 | 57 | 川田将雅 | 1.57.6 | クビ | 11-11-04-04 | 37.0 | 1 |
6 | 5 | テイエムジンソク | 牡6 | 58 | 古川吉洋 | 1.57.6 | ハナ | 04-04-04-04 | 37.1 | 2 |
7 | 8 | メイショウスミトモ | 牡7 | 58 | 和田竜二 | 1.58.1 | 3 | 04-04-06-06 | 37.3 | 14 |
8 | 7 | アスカノロマン | 牡7 | 57 | 太宰啓介 | 1.58.3 | 1 1/4 | 13-12-14-11 | 36.7 | 13 |
9 | 2 | コスモカナディアン | 牡5 | 56 | 丹内祐次 | 1.58.3 | クビ | 08-08-13-11 | 37.0 | 10 |
10 | 12 | メイショウウタゲ | 牡7 | 56 | 武豊 | 1.58.7 | 2 1/2 | 14-14-09-08 | 37.4 | 11 |
11 | 11 | プリンシアコメータ | 牝5 | 54 | 岩田康誠 | 1.58.8 | 1/2 | 02-02-02-02 | 38.4 | 9 |
12 | 13 | ナムラアラシ | 牡5 | 56 | 福永祐一 | 1.58.8 | ハナ | 15-14-15-14 | 37.1 | 4 |
13 | 15 | トップディーヴォ | 牡6 | 56 | 田中勝春 | 1.58.9 | クビ | 08-08-09-08 | 37.7 | 8 |
14 | 4 | サンマルデューク | 牡9 | 56 | 武士沢友 | 1.59.2 | 2 | 16-16-16-16 | 36.8 | 16 |
15 | 3 | クリノスターオー | 牡8 | 56 | 幸英明 | 2.00.0 | 5 | 06-06-09-11 | 38.9 | 12 |
16 | 16 | マイティティー | 牝6 | 54 | 岩崎翼 | 2.00.5 | 3 | 03-03-08-15 | 39.3 | 15 |
何といっても、単勝1.7倍という圧倒的な評価を集めていたグレイトパールの敗戦、それも馬券圏内さえも逃す5着という惨敗に驚かれた方が多いと思う。
「一体何があったんだ?」
だが、私はこう考えている。「負けるならこれしかない、という形で負けた」と。ということで、そのあたりを解説していこう。
自分のリズムで走れないことの難しさ
実は、平安ステークスの狙いのコラムにおいて、私は以下のような旨を書かせて頂いた。
(略)力のある逃げ馬を追いかけることによる疲労度は、想像以上に大きい。勝ちにいかなければいけないグレイトパールのような立場の馬は、場合によっては、自分の能力の最大値を超える走りを強いられる可能性もあるからだ。 最大値を超えて、それでも前を捕まえられなければ・・・。待っているのはガス欠。そうなった時、後はズルズル失速するしかない。恐らく、中途半端に2~3着ということもないだろう。 だから、今回のグレイトパールは「1着」から「圏外か」そのどちらかになるとみた!
まさに、この読みの通りだったように思う。
「後方待機から向こう正面で捲くって進出」という形は前走やこれまでと変わらない。だが、違ったのは、明らかに格上、そして実力も上かもしれないテイエムジンソクが好位を走っていたということだ。
「ひょっとしたらテイエムが脚を残していて、直線で鋭く伸びるかもしれない」これまでに何度もテイエムと対戦し、彼の強さを十分に知っている川田だからこそ、警戒したと思う。その分、グレイトパールを自重させなければならない部分もあった。気持ちよく走らせきれなかった。
心身がリズムに乗り切れなかったグレイトパールは余計な疲労を感じ、失速したのではないだろうか。
では、もしもテイエムがいなかったら?
タラレバを承知で書くが、向こう正面で捲くった時、中途半端に好位で止めず、馬の気分のままに一気にいかせられたかもしれない。当然、そのまま優勝争いに絡んだ可能性もあったように思う。
力のある馬でも、スムーズに走ることができなければ簡単に失速する。これが競馬の面白さであり、難しさなのだろう。
それはそれとして、グレイトパールは今回の結果だけで見限る必要はない。これまでのレースぶりを見る限り、素晴らしい素質の持ち主であることは間違いないからね。今回ぶつかった壁を「糧」とすることができれば!次走を楽しみにしよう。
他馬云々関係なしに勝ち馬は強かった!
1番人気グレイトパールは、そして2番人気テイエムジンソクが苦戦した面にばかり注目が集まるが、実際には彼ら云々は関係なく、勝ち馬のサンライズソアは強かった!例え彼らが本来の脚を使っていたにしても、簡単には勝ちは譲らなかっただろう。
2走前の交流重賞【名古屋大賞典】に続いての勝利となるが、展開は全く。同じ前半から先頭に立つと、そのまま押し切る形となった。もちろん、騎乗していたのはいずれもMデムーロ。
鞍上はレース後にこう語っている。
「力のある馬ですが、難しいところがあります。逃げると一生懸命走る馬です。」
実際に、1番人気に推された前走の【ブリリアントS】などは、ゲートで難しい面を出して立ち遅れ、惨敗に終わっている。
いかに名手デムーロといえど、そのような難しい馬に、ましてや今回のようにハイレベルなメンバーが相手のレースにおいて「初コンビ」だったら、上手く導けただろうか?
より良い騎手を求めての乗り替わりが当たり前となってきた現在の競馬界。もちろん、ビジネス上のことだから、それが必ずしも悪い事だとは思わない。だが、サンライズソアのように「馬を知っている騎手が騎乗した方が間違いなくよい」というケースもある筈だ。
この辺り、関係者がもう少し柔軟になってくれたら、より一層輝ける馬もいるのではないだろうか?そんなことを思った。
余談が長くなったが、いずれにせよ、サンライズソアは自分の力さえ出せれば現役トップクラスの力があることは間違いない。秋には【チャンピオンズC】あたりで、台風の目になるかもしれないね。
【平安ステークス 2018】を見逃した方は下記からご覧下さい。
【平安ステークス 2018】のレース後の関係者のコメント
~レース後のコメント~
1着 サンライズソア(M・デムーロ騎手)
「強いです。もっと力のある馬ですが、難しいところがあります。逃げると一生懸命走る馬です。ゲートにうるさいところがあります。今日はメンバーが強いと思っていましたが、この馬も強いです。逃げて落ち着いたペースで行けました」
2着 クイーンマンボ(C・ルメール騎手)
「良いポジションでレースができましたが、向正面では少し忙しかったです。それでもよく頑張っていると思います。距離は1800m以上が合います。前走は小回りで苦しんでいるところがありました。休み前と比べるとパワーアップしています」
2着 クイーンマンボ(角居勝彦調教師)
「一回使って良くなっています。強い馬を相手によく頑張っていると思います。この後はひと息入れて夏の門別(ブリーダーズゴールドカップ)に向かいます」
3着 クインズサターン(四位洋文騎手)
「ロスなくレースをして欲しいという指示でしたが、最高の形で競馬ができました。2着はあるかなとは思ったんですが…」
4着 ミツバ(松山弘平騎手)
「1枠でしたが、まじめに走ってくれました。行きっぷりも良かったです。1~2コーナーでペースが落ち着いたので、動いて行きました。もっとペースが流れてくれたら良かったです。強いレースをしてくれています」
5着 グレイトパール(川田将雅騎手)
「向正面までは良い形でしたが、そこから先がこの馬にとっては良い形になりませんでした。こういった結果になって、申し訳なかったです」
(via ラジオNIKKEI )
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