こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】ニュージーランドトロフィー 2022 における勝負の明暗
【11R】 第40回ニュージーランドT
3歳・オープン・G2(馬齢) (牡・牝)(国際)(指定) 芝 1600m 11頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 単勝 | 体重 | ± | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | 6 | ジャングロ | 牡3 | 56 | 武豊 | 1.33.5 | 01-01-01 | 34.7 | 3 | 7.0 | 460 | -4 | (栗)森秀行 | |
2 | 1 | 1 | マテンロウオリオン | 牡3 | 56 | 横山典弘 | 1.33.5 | 頭 | 05-05-07 | 34.1 | 1 | 2.3 | 486 | 0 | (栗)昆貢 |
3 | 6 | 7 | リューベック | 牡3 | 56 | 吉田隼人 | 1.33.8 | 1 1/2 | 05-04-04 | 34.6 | 6 | 11.5 | 486 | -8 | (栗)須貝尚介 |
4 | 8 | 11 | エンペザー | 牡3 | 56 | 坂井瑠星 | 1.34.0 | 1 1/4 | 02-02-02 | 35.0 | 7 | 12.1 | 480 | 0 | (栗)田中克典 |
5 | 2 | 2 | ティーガーデン | 牡3 | 56 | ルメール | 1.34.3 | 1 3/4 | 09-08-05 | 34.8 | 2 | 4.9 | 498 | -12 | (美)萩原清 |
6 | 7 | 9 | エイシンシュトルム | 牡3 | 56 | 石川裕紀 | 1.34.3 | ハナ | 08-09-08 | 34.7 | 10 | 125.2 | 484 | -2 | (美)勢司和浩 |
7 | 8 | 10 | デルマグレムリン | 牡3 | 56 | M.デム | 1.34.4 | 3/4 | 09-05-05 | 35.1 | 4 | 9.5 | 434 | -4 | (栗)五十嵐忠 |
8 | 7 | 8 | サーマルウインド | 牝3 | 54 | 岩田康誠 | 1.34.5 | 1/2 | 03-02-02 | 35.4 | 8 | 12.5 | 510 | -4 | (美)奥村武 |
9 | 4 | 4 | アバンチュリエ | 牡3 | 56 | 横山武史 | 1.35.0 | 3 1/2 | 11-09-08 | 35.4 | 5 | 11.2 | 466 | 0 | (美)大竹正博 |
10 | 3 | 3 | モチベーション | 牝3 | 54 | 秋山稔樹 | 1.35.2 | 1 | 04-05-08 | 35.8 | 11 | 169.2 | 428 | 0 | (美)清水英克 |
11 | B5 | 5 | ベルウッドブラボー | 牡3 | 56 | 丸山元気 | 1.35.3 | 1 | 05-11-11 | 35.6 | 9 | 55.8 | 458 | 0 | (美)和田雄二 |
混戦の世代だからこその楽しみがある!
路線、あるいは牡馬牝馬を問わずに「混戦」と言われる、現在の3歳世代。
当然、今回の【ニュージーランドトロフィー】もそうだった。
重賞勝ちの経験を持つモテンロウオリオンこそ、やや抜けた1番人気だったし、実際に2着にまとめたが、その他に関しては
どの馬が来ても全く驚けないレース
だったのではないだろうか。
こうした世代やレースは「馬券」という点だけでいえば、予想する側にとっては非常に難解だし、悩まされる競馬ファンは多いだろう。
今回優勝したジャングロ(詳細は後述)に関しても、これまでは「もう少し短い距離向き」と見られていたが、タフな中山マイルでキッチリ逃げ切りを決めた以上、この路線の新しいスター候補といって良いはずだ。
盛り上げたのは「2人のレジェンド」
面白かったのは、新しいスター候補が登場するような3歳世代の重賞を
十分すぎるほどのスターであり、競馬界最高のレジェンドの2人が盛り上げた
という点ではないだろうか。
ジャングロの武豊と、マテンロウオリオンの横山典弘。
細かい理屈を抜きにして、やっぱりこの2人の叩き合いは絵になる。
スター候補誕生の瞬間と、レジェンドの共演。
今回の【ニュージーランド】は、間違いなく
だったということ。このレースを目撃できた私は、そして皆様は間違いなく幸せ者(笑)
幸せを噛み締めながら、レースを振り返ってみたい。
馴染みのない馬が多いからこそ!気になる馬をピックアップ
さて、そんな【ニュージーランドトロフィー】だが、、、素質馬が揃っていたとはいえ、クラシック路線ではない。
そのため、まだまだ皆様にとって馴染みのない馬も多いと思う。
そこでせっかくのこの機会に、私たちと一緒に勉強をしてみるのはどうだろう?
この後、勝ち馬を中心に、私たちが気になった4頭をピックアップ!
それぞれ数行程度のシンプルなものにはなるが、今後への期待を記してみたい。
参考にしていただけたら幸いだ。
1着ジャングロ⇒もちろんこの先も
まずは優勝おめでとう!
ウマ娘でお馴染みの藤田オーナーにとっての重賞初勝利だったということもあり、鞍上・武豊騎手にとっても意味のある1勝になったのではないだろうか。
さて、レースぶりを見させてもらったが、簡単にいえば
とても1200Mを中心に使われてきた馬とは思えない
これに尽きる。レース後の武豊騎手のコメントをご紹介してみよう。
本当に、あの差し返しはかなりのスタミナと余力がなければ不可能な芸当。
道中ムキになっていなかったという点から精神的にも成長著しく、マイルはもちろん、1800Mくらいまでは十分にやれるだろう。
武豊騎手との相性も非常に良さそうだし、引き続きの騎乗になるなら、大一番【NHKマイルカップ】でも十分に上位が狙えそうだ。
2着マテンロウオリオン⇒内容は勝ち馬と匹敵するが
続いて2着のマテンロウオリオン。
単勝1番人気の評価に応えられなかったことは、陣営にとっては悔しいだろう。
だが、内容は非常に濃かったように見えた。
4角7番から上がり3ハロン最速の脚で、頭差の2着まで追い込んだ。
しかも上がりのタイムは、2番目の馬より0秒5も速い圧倒的なものだった。
タラレバは禁物にせよ、位置取りひとつで勝利まであったとは思う。
ひょっとしたら、息の長い脚を使うタイプではないのかも?
それだけに「追い込める=直線長い東京で面白い」という単純な発想は危険かも。ぜひ、頭に入れておいてほしい。
5着ティーガーデン⇒もう一度見てみたい
2番人気のティーガーデンは無念の5着に敗戦。
だが、スタートでの大きな出遅れにより、流れに乗れなかった点が大きかったように思う。
レース後、鞍上のルメール騎手は以下のコメントを残している。
馬場が合わなかった部分もあったようだ。
ポジションを上げていく時のフットワークの軽快さには、やはり大物の片鱗が漂っていた。
それだけに、ぜひもう一度見てから、真の能力を判断したい。尚、距離はこれまで通り1400M~1600Mあたりが合うと思う。
8着サーマルウインド⇒果敢な勝負も、、、限定戦なら!
早速だが、レース後の岩田康騎手のコメントをご紹介してみたい。
前半から好位2~3番手を追走。
決して悪くないフットワークに見えたが、意外な失速。
やはり、周囲に牡馬ばかりがいることでの圧力、そしてダメージは想像以上に大きいのかも。
そして、長年の騎手生活から、そういった点を十分に理解している岩田康騎手だからこそ
「牝馬相手なら勝負になる」
というコメントが出たのだろう。
間違いなく前半の動きはここでも通用していた。「牝馬相手なら」という条件つきにはなるが、未来の主役に指名して、引き続き注目してみたい!
【ニュージーランドトロフィー 2022】のレース後の関係者のコメント
レース後のコメント
1着 ジャングロ(武豊騎手)
「スタートがいつも速い馬で、今回も自然にハナに行けるかと思いましたが、道中ムキにならずに走ってくれました。一旦マテンロウオリオンに出られましたが、差し返しました。この距離(1600m)で勝てたのは大きいです。レースに幅が出れば、もっと良いと思います」
2着 マテンロウオリオン(昆貢調教師)
「最後はうちの馬が止まっていました。テンションはこの前より落ち着いていて、良かったと思います。この馬は久々だとパフォーマンスが落ちるみたいです。一回使った方が良いので、次は期待できると思います」
3着 リューベック(吉田隼人騎手)
「初めてのマイルの距離で忙しかったです。馬に硬さが出てきていますが、その中でよく走っていました。今日のような競馬を続けてくれると良いです」
5着 ティーガーデン(C.ルメール騎手)
「いつも通りスタートは遅かったです。ポジションを徐々に上げていきましたが、伸びなかったです。硬さのある馬で、柔らかい馬場も合わなかったです」
6着 エイシンシュトルム(石川裕紀人騎手)
「3回乗せてもらって、徐々に馬の口向きも良くなっていました。競馬も覚えてきていますが、現状、競馬で攻め切れませんでした。1400m、1800mと使ってきて、どこかではまってくれると良いです」
8着 サーマルウインド(岩田康誠騎手)
「牡馬相手に勝ちにいきましたが、ここまででした。距離は長くても大丈夫だと思います。牝馬相手なら勝負になると思います」
9着 アバンチュリエ(横山武史騎手)
「ゲート裏から雰囲気がダメでした。前走から間隔も詰まっていて、大事なところで悪い面が出てしまいました」
(via ラジオNIKKEI )
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