こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】ローズステークス 2022 における勝負の明暗
2022年 9月18日(日) 5回中京4日 天候 : 曇 馬場状態 : 良
【11R】 第40回関西テレビ放送賞ローズS
3歳・オープン・G2(馬齢) (牝)(国際)(指定) 芝 2000m 14頭立
着 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | アートハウス | 牝3 | 54 | 川田将雅 | 1.58.5 | 04-04-05-03 | 34.2 | 1 | (栗)中内田充 | |
2 | 6 | サリエラ | 牝3 | 54 | ルメール | 1.58.6 | 1/2 | 09-09-11-10 | 33.7 | 2 | (美)国枝栄 |
3 | 9 | エグランタイン | 牝3 | 54 | 池添謙一 | 1.58.6 | クビ | 08-08-08-08 | 33.9 | 7 | (栗)笹田和秀 |
4 | 5 | ラリュエル | 牝3 | 54 | 坂井瑠星 | 1.58.8 | 1 1/2 | 02-02-02-02 | 34.7 | 4 | *(栗)矢作芳人 |
5 | 7 | メモリーレゾン | 牝3 | 54 | 古川吉洋 | 1.59.0 | 1 1/4 | 07-06-06-06 | 34.5 | 6 | (栗)長谷川浩 |
6 | 14 | ルージュリナージュ | 牝3 | 54 | 松山弘平 | 1.59.3 | 1 3/4 | 12-14-11-10 | 34.4 | 8 | (美)宗像義忠 |
7 | 10 | マイシンフォニー | 牝3 | 54 | 武豊 | 1.59.4 | クビ | 12-12-14-13 | 34.3 | 10 | (栗)松永幹夫 |
8 | 12 | ヒヅルジョウ | 牝3 | 54 | 菱田裕二 | 1.59.4 | クビ | 06-06-06-06 | 34.8 | 9 | (栗)岡田稲男 |
9 | 1 | セントカメリア | 牝3 | 54 | 福永祐一 | 1.59.7 | 1 3/4 | 12-12-11-13 | 34.6 | 3 | (栗)高野友和 |
10 | 11 | ヴァンルーラー | 牝3 | 54 | 小沢大仁 | 2.00.1 | 2 1/2 | 11-11-08-08 | 35.4 | 11 | (栗)吉岡辰弥 |
11 | 4 | パーソナルハイ | 牝3 | 54 | 吉田豊 | 2.00.9 | 5 | 01-01-01-01 | 36.9 | 5 | *(栗)矢作芳人 |
12 | 13 | ベリーヴィーナス | 牝3 | 54 | 藤岡康太 | 2.01.4 | 3 | 03-04-03-03 | 37.0 | 13 | (栗)鈴木孝志 |
13 | 2 | ブルトンクール | 牝3 | 54 | 浜中俊 | 2.01.9 | 3 | 04-03-03-03 | 37.6 | 12 | (美)新開幸一 |
14 | 3 | ミナモトフェイス | 牝3 | 54 | 鮫島克駿 | 2.01.9 | ハナ | 09-09-08-10 | 37.0 | 14 | (栗)清水久詞 |
セントライト記念同様「堅い決着」に
今週行われた2つのG1トライアルは、いずれも堅い決着に。
単勝の上位人気3頭がそのまま3着までを占めた【セントライト記念】ほどではなかったが、こちら【ローズステークス】も人気2頭のワンツーフィニッシュ!
それも、両馬ともに、それぞれの持ち味をしっかりと発揮した。
優勝したアートハウスなら、センスを感じさせる好位追走からの鋭い抜け出し。
一方、サリエラは3歳馬離れした爆発的な末脚で4角10番手から2着まで追い込んでいる。
人気を集めた彼女たちが、すんなりと結果を残せたのは、セントライト記念の回顧でも記した
「現在の日本競馬界における能力拮抗」
が大きな理由のひとつだと考えている。
やっぱり仕上げは大事なんだ!
上のコラムでは、要するに、能力拮抗の現在の競馬界においては
どれほどの好素材であっても、7〜8割の仕上げで重賞好走することは、極めて困難になってきている
ということを書かせてもらった。
実際に、今回の2頭に関しては素晴らしい素材だが、仕上げも素晴らしかった。
だから、すんなり人気通りの結果になったのだろう。
例えば、アートハウスに関しては川田騎手が次のような話をしている。
思ったことを率直に語ってくれることで定評のある川田騎手の言葉だけに、若き名将・中内田調教師にとっても自信になるだろうし、実際にアートハウスのこれからも非常に楽しみになってきた。
敢えて次への課題を申し上げるなら
アートハウスに関しては【オークス】を見る限り、川田騎手が言うように「走りのバランスが崩れていた」という部分は実際に大きかったのだろうが、同時に「距離」も長いように思えた。
その点【秋華賞】は今回と同じ芝2000Mだ。
ましてや阪神の芝2000Mは内回りコース。
もちろん、展開によってくる部分もあるだろうが、基本的には前でレースを運べる馬が戦いやすい舞台であることは間違いないだろう。
それだけに、先週【紫苑ステークス】のスタニングローズに続いて、かなり有力な候補になったのではないだろうか。
それほど魅力的な馬であることを承知の上で、敢えて気になる点を申し上げるなら「2戦目に苦戦」している実績があること。
新馬を快勝してから臨んだデビュー2戦目で6着。休み明け【忘れな草賞】を完勝してから臨んだ【オークス】は7着。
さあ、同じく休み明けを完勝した今回、本番はどうなるだろうか!?
気になる面々をピックアップ
ここからは、勝ち馬以外に気になった面々を3頭ピックアップ。ごく簡単にだが解説していきたい。
まずはもちろん2着のサリエラから。
デビュー2戦目だった東京での前走で、ほぼ絶望的な位置から驚異的な差し切りを決めたこともあり注目を集めた一頭だが、確かに素晴らしい。
今回も2着とはいえ、上がり最速をマークしている。将来的には相当なレベルまでいきそうな予感。
ただ、ルメール騎手が
と語っているように、反応の遅さは確かに気になったし、G2なら問題なくても、さらにレベルが上がるG1だと、わずかな反応の差が勝負を分けてしまうこともある。
それだけに、あくまでも現時点での評価だが【秋華賞】は決して簡単な戦いにならないかもしれない。できれば、もう少し成長を見てみたい。
とはいえ、伸び盛りの3歳馬。ここから本番までに馬が変わることもある。
だから、もしも私たちが【秋華賞】でサリエラを重視していたら「成長したんだな」と思ってほしい。
5着メモリーレゾン→鞍上の言葉を素直に受け止めたい
今回のレースにおける私たちのイチオシ一頭。
もちろん5着だから残念ではあるが、レース自体は、今後への可能性を感じさせてくれるものだった。
道中のフットワークも軽快だったと思う。
それよりも、驚かされたのがレース後の古川騎手のコメント。
賞金の関係もあるから、実際に【秋華賞】に出られるかどうかはわからない。
それでも、既に出走を意識しているというのは、それだけこの馬に対して手応えを感じているということだろう。
デビューから常に乗っている主戦だからこそ「久々という感じ」がわかったのだろうし、それだけに「ここからのノビシロ」も十分に頭の中に描けているに違いない。
福永・和田と同世代の経験豊富な名手の目を信じて、未来の主役に指名!
6着ルージュリナージュ→漂う大物感
「未来の主役の次点」という感じだろうか(笑)
6着に敗れたルージュリナージュの存在も決して見逃したくはない。
大外の14番枠に加え、スタートももっさり出てしまったことなどもあり、かなりの距離ロス強いられた印象。
それだけに、レース全体の印象としては、決して誉められたものではないのかもしれないが、それでも4角を回ってくるあたりの推進力は、間違いなくメンバーでも屈指!
私たちはウッド調教をチェックする際などにもコーナーの推進力は大事にするようにしているが、今回のルージュリナージュも、実にスムーズにぐいっと伸びてきたように見えた。
「ひょっとしたら!?」とも思ったが、やはり序盤のスタミナロスが響いたか、最後は止まった。
そういった意味では、2000M の距離はギリギリなのかも。
今後1600M〜1800Mで戦う彼女を見たい。かなり、いいところまでいくと思う!
【ローズステークス 2022】のレース後の関係者のコメント
1着 アートハウス(川田将雅騎手)
「オークスで色々とうまくいかなかった中で、それを改善しようとやってきて、結果が出たのはありがたいです。前半、リズムよく進んでいく中で、自然にとれたポジションですが、そこで我慢できるように運びました。直線では、最後に迫ってきた馬もいましたが、良い内容で走っていたので、捕まらないだろうと思っていました。オークスでは、走りのバランスが保てずに崩れてしまいました。その後、大事にケアしながら歩んできたことで、ある程度改善することができて、今日の結果となりました。これなら、本番はさらに良い状態でいける感触を持ちました。ニ冠馬との対戦になりますが、しっかりと準備して、胸を張って秋華賞を迎えたいです」
2着 サリエラ(C.ルメール騎手)
「最初スピードが足りなくて後ろからになりましたが、ずっと冷静に走っていました。3、4コーナーの反応が少し遅かったのですが、ラスト300mは良い脚を使ってくれました。広い競馬場の方が良いです」
3着 エグランタイン(池添謙一騎手)
「勝負どころで手が動いても伸びてくれました。まだ芯が入っていなくて左右のバランスがブレますが、まだまだこれから良くなってくると思います。その中であそこまで詰め寄ってくれましたし、権利が取れましたから最低限の仕事はできたと思います。これからが楽しみな馬です」
4着 ラリュエル(坂井瑠星騎手)
「終始、力みながらの走りでしたが、強い馬を相手によく頑張ってくれました。ベストはもう少し短い距離かもしれません」
5着 メモリーレゾン(古川吉洋騎手)
「勝負に出ての5着ですから仕方がありません。今日はメンバーも強かったですし、久々という感じも少しありました。時計も速い中よく頑張ってくれました。次は良くなると思います。あとは本番に出ることが出来れば、ですね」
(via ラジオNIKKEI )
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