こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】ファンタジーステークス 2019 における勝負の明暗
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 単勝 | 体重 | ± | 調教師 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4 | 6 | レシステンシア | 北村友一 | 1.20.7 | 02-02 | 34.9 | 6 | 13.6 | 488 | -2 | (栗)松下武士 | |
2 | 7 | 12 | マジックキャッスル | 戸崎圭太 | 1.20.9 | 1 | 11-09 | 34.6 | 1 | 4.4 | 428 | -4 | (美)国枝栄 |
3 | 8 | 14 | クリアサウンド | 松山弘平 | 1.20.9 | クビ | 06-08 | 34.9 | 2 | 5.4 | 478 | +10 | (栗)杉山晴紀 |
4 | 3 | 5 | ヤマカツマーメイド | 池添謙一 | 1.21.2 | 2 | 05-05 | 35.2 | 3 | 6.0 | 470 | 0 | (栗)池添兼雄 |
5 | 6 | 11 | ヒルノマリブ | 勝浦正樹 | 1.21.3 | 3/4 | 12-12 | 34.8 | 7 | 15.8 | 486 | -6 | (栗)北出成人 |
6 | 4 | 7 | ケープコッド | 吉田隼人 | 1.21.4 | 1/2 | 08-09 | 35.1 | 5 | 11.2 | 464 | 0 | (美)高柳瑞樹 |
7 | 7 | 13 | ペコリーノロマーノ | 福永祐一 | 1.21.5 | 1/2 | 06-05 | 35.4 | 12 | 32.3 | 436 | -2 | (美)久保田貴 |
8 | 2 | 3 | シャレード | 川田将雅 | 1.21.5 | クビ | 08-05 | 35.4 | 4 | 6.2 | 490 | +8 | (栗)藤原英昭 |
9 | 1 | 1 | ベッラヴォルタ | 浜中俊 | 1.21.7 | 1 1/4 | 15-15 | 34.9 | 14 | 60.8 | 478 | -4 | (栗)加用正 |
10 | 8 | 15 | パドゥヴァルス | 西村淳也 | 1.21.9 | 1 | 08-09 | 35.7 | 8 | 20.2 | 432 | 0 | (栗)吉田直弘 |
11 | 2 | 2 | ラヴォアドゥース | M.デム | 1.22.4 | 3 | 14-13 | 35.7 | 13 | 48.3 | 442 | -2 | (栗)渡辺薫彦 |
12 | 6 | 10 | エールヴィオレ | 松田大作 | 1.22.5 | 1/2 | 13-13 | 35.8 | 15 | 301.6 | 434 | +10 | (栗)武英智 |
13 | 5 | 8 | モズアーントモー | シュタル | 1.22.7 | 1 1/4 | 03-03 | 36.9 | 11 | 30.1 | 516 | +2 | (栗)森田直行 |
14 | 5 | 9 | レジェーロ | 和田竜二 | 1.23.0 | 2 | 03-03 | 37.2 | 10 | 28.9 | 398 | +10 | (栗)西村真幸 |
15 | 3 | 4 | エレナアヴァンティ | 内田博幸 | 1.23.5 | 3 | 01-01 | 37.9 | 9 | 28.6 | 458 | +10 | (美)宗像義忠 |
「混戦」という言葉がこれほど相応しいレースも他にないのではないか?
例年、1頭や2頭は「G1級の素材」などと評価される馬が出走しているものだが、今回はそうではない。
前走、下の1勝クラスで2着に敗れたようなマジックキャッスルが1番人気に推された事実が、馬券を買う側の迷いを表しているようだ。(しかも単勝4.4倍)
そんなレースを制したのは、6番人気の伏兵レシステンシアだった。
重賞初勝利、おめでとう!
戦前の評価は「混戦」だったが、終わってみれば2着馬に1馬身だから完勝だ。
しかし!私の主観では、特に2&3着馬とは、着差ほどの能力差はないとみたし、この先の大舞台での活躍を確信できるほどの衝撃は受けなかった。(誤解のないように書いておくと、だからといって今回の勝利の価値が下がるということではない)
能力差がないなら、着差はどの要素から生まれたのか?
もちろん、枠もあるだろう。勝ち馬は6番枠で、2&3着馬は12番&14番だった。
だが、それ以上に
鞍上・北村友一騎手の手綱さばき
を高く評価すべきだと考えるのだ。
失礼ながら、、、春の時点では信頼できなかった
実は以前、レース回顧において、北村友一騎手に触れたことがある。
それは、3月のG1【高松宮記念】。
彼がコンビを組んだダノンスマッシュは1番人気を裏切る形で4着に敗戦。
当時記した内容について、一部転載してみよう。
2強とミスターメロディとの間には、どこに差があったのだろう?
もちろん、細かくみていけば、枠だ、展開だなどと色々あるのだろうが、私個人としては
「心」の差
こそが最も大きかったと考えている。
2強が感じていた必要以上の緊張感
心の差ってなんだ?
と言われる方もいるだろうが、このコラムでは「心」を
「普段通りの心境で大一番に臨めたかどうか?」
と定義する。
まずはダノンスマッシュ
改めてご紹介するまでもないが、3コーナーで内側に大きく斜行し、ナックビーナスとアレスバローズの進路をふさいだ。鞍上の北村友騎手は、過怠金を課せられている。
(ちなみに、レース後にアレスバローズの川田騎手は「あれでは競馬になりません。かわいそうでした」と語っている。北村友がかなりしぼられたであろうことは想像に難くない。笑)
あくまでもパトロール映像を見た限りでの印象だが、北村友は自分とダノンスマッシュのことだけで精一杯で、全く周りが見えていないように思える。
1番人気に推されるほど力のある馬だから、落ち着いて回ってくれば、自ずと結果はついてくるはずなのに、、、。
現時点では、北村友はG1を勝つ騎手に相応しい「心」を備えていなかったということだ。
失礼ながら、厳しいことを書かせてもらった。
率直に言って、この時点では「北村友一騎手の騎乗馬は買いにくいな」とも思った。
しかし、今は違う!
経験を力に変えて
先日の秋華賞を制したクロノジェネシスなど、数々の一流馬とコンビを組んでいる経験が彼を成長させたのか。
あるいは高松宮記念の悔しさにより奮起したのだろうか。
今回の【ファンタジーステークス】はその象徴とも言えるのではないか。
レース後にパトロールを見直したが、彼の進路取り、仕掛けのタイミングには全く無駄がなかった。
そつのない騎乗とでも言うべきか。
高松宮の時点では「周りが見えてない」と書いてしまったが、今の彼は
周りが見えていなければできない騎乗
をしている。
真のトップジョッキーへ
そういえば、北村友一騎手は、今週のG1【エリザベス女王杯】において、上でも名前を挙げたクロノジェネシスとコンビを組む。
今回はデットーリやスミヨン、マーフィーら世界レベルの名手たちも騎乗を予定。
そんな面々を相手に、進化を遂げた北村友一騎手がどんな騎乗を見せるのか?
楽しみにしている。
3着・クリアサウンド
前半から好位をキープ、良い手応えで直線に入りながら、ラスト1ハロンで止まってしまった。
力負け?いやそうではない。
単純に1400Mの速いペースが合っていなかったとみる。
脚をためらなかった分、ラストで失速しただけ。
2走前、牡馬相手の重賞【新潟2歳S】で4着に好走しているように、恐らくベストはマイル!
次走がマイル戦なら、かなり期待してみたい。
【ファンタジーステークス 2019】のレース後の関係者のコメント
~レース後のコメント~
1着 レシステンシア(北村友一騎手)
「ゲートの中でチャカチャカしていて、駐立が良くありませんでした。スタートは五分に出て自然に二番手を取れましたし、スピードのあるところを見せてくれました。抜け出すときの脚、反応も良かったですし、最後まで持続していました。精神的に敏感なところがありすぎる馬です。そこが課題になってくると思います。スピードは十分に通用すると思いますが、いかに精神面でコントロールできるかだと思います」
2着 マジックキャッスル(戸崎圭太騎手)
「しっかり伸びていますが、もう一列前で競馬ができれば良かったです。もまれるのも初めてで、良い経験ができました」
3着 クリアサウンド(松山弘平騎手)
「枠も良かったですし、スタートも良く、前に馬を置いて良い感じで追走できました。馬場の良いところも通れました。ただ最後は手応え程伸びず、残り1ハロンで甘くなりました」
4着 ヤマカツマーメイド(池添謙一騎手)
「良い形で回ってこられました。勝ち馬を見て追い出しています。良い脚を使っていますが、初めて伸び負けていたので残念です」
5着 ヒルノマリブ(勝浦正樹騎手)
「滞在だった札幌とはテンションが違いました。ゲートで遅れたのは想定外です。それで位置取りが悪くなりました。最後は伸びていますし、力負けではありません」
6着 ケープコッド(吉田隼人騎手)
「返し馬の雰囲気は良かったのですが、ゲート裏に行くとカリカリしてきました。それでも一歩目をフワッと出て、道中の折り合いはつきました。若干ゴーサインへの反応が遅かったのですが、一回使えば変わってくると思います」
9着 ベッラヴォルタ(浜中俊騎手)
「ずっとテンションが高く、駐立もゲート内でしっかりできませんでした。精神的な成長が欲しいです」
(via ラジオNIKKEI )
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