こちらのコラムでは「キングスポーツの予想結果」とは別に、客観的な視点でのレース回顧をお届けしています。それこそが「明日の夢馬券獲得」の糧となると考えています。
もちろん、会員の皆様も、回顧を読んで頂く中で競馬の引き出しをドンドン増やして頂きたい。間違いなく、今後の競馬ライフは充実したものになりますのでご活用ください!
勝負の明暗 はここだった!
【回顧】阪神牝馬ステークス 2021 における勝負の明暗
【11R】 第64回サンケイスポーツ杯阪神牝馬S
4歳以上・オープン・G2(別定) (牝)(国際)(指定) 芝・外 1600m 12頭立
着 | 枠 | 馬 | 馬 名 | 性齢 | 斤量 | 騎手 | タイム | 着差 | 通過順位 | 上3F | 人 | 単勝 | 体重 | ± | 調教師 |
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1 | 7 | 10 | デゼル | 牝4 | 54 | 川田将雅 | 1.32.0 | 08-08 | 32.5 | 1 | 3.1 | 476 | -6 | (栗)友道康夫 | |
2 | 4 | 4 | マジックキャッスル | 牝4 | 54 | 大野拓弥 | 1.32.0 | クビ | 08-10 | 32.4 | 2 | 4.3 | 430 | -14 | (美)国枝栄 |
3 | 1 | 1 | ドナウデルタ | 牝5 | 54 | 和田竜二 | 1.32.1 | クビ | 03-04 | 33.0 | 8 | 24.1 | 450 | +4 | (栗)高野友和 |
4 | 8 | 11 | プールヴィル | 牝5 | 54 | 三浦皇成 | 1.32.1 | クビ | 06-05 | 32.9 | 9 | 24.3 | 456 | +22 | (栗)庄野靖志 |
5 | 8 | 12 | エーポス | 牝4 | 54 | 岩田康誠 | 1.32.2 | 3/4 | 02-02 | 33.3 | 7 | 23.8 | 456 | -2 | (栗)北出成人 |
6 | 6 | 7 | イベリス | 牝5 | 54 | 酒井学 | 1.32.3 | 1 | 01-01 | 33.5 | 4 | 6.5 | 482 | -2 | (栗)角田晃一 |
7 | 2 | 2 | ギルデッドミラー | 牝4 | 54 | 池添謙一 | 1.32.4 | 1/2 | 05-05 | 33.2 | 5 | 8.7 | 480 | +2 | (栗)松永幹夫 |
8 | 3 | 3 | ブランノワール | 牝5 | 54 | 団野大成 | 1.32.4 | クビ | 06-07 | 33.1 | 6 | 14.5 | 472 | +2 | (栗)須貝尚介 |
9 | 6 | 8 | リアアメリア | 牝4 | 55 | 福永祐一 | 1.32.6 | 3/4 | 10-10 | 32.9 | 3 | 4.5 | 492 | +2 | (栗)中内田充 |
10 | 5 | 6 | メイショウグロッケ | 牝7 | 54 | 浜中俊 | 1.32.8 | 1 1/2 | 03-02 | 33.8 | 10 | 55.7 | 456 | -4 | (栗)荒川義之 |
11 | 7 | 9 | ロフティフレーズ | 牝6 | 54 | 幸英明 | 1.33.1 | 2 | 10-08 | 33.6 | 11 | 129.4 | 466 | -4 | (美)上原博之 |
12 | 5 | 5 | メジェールスー | 牝6 | 54 | 藤岡康太 | 1.33.2 | クビ | 12-12 | 33.3 | 12 | 273.1 | 466 | 0 | (栗)四位洋文 |
昨年の日本競馬界における、牝馬勢の大活躍はかつてないほど圧倒的だった。
短距離から中長距離まで、ほとんどの古馬G1を牝馬が制した。
史上初の牝馬ワンツー決着だった【有馬記念】などはその象徴。
そして、流れは年が明けても変わってはいない。
特に4月に入ってからは、その傾向が顕著だ。
先日のG1【大阪杯】では3冠馬らを退けてレイパパレが優勝!
その他【ダービー卿チャレンジトロフィー】をテルツェットが勝った。
参考⇒大阪杯&ダービー卿チャレンジトロフィー 2021 回顧
そんな中で迎えた今回の【阪神牝馬ステークス】。
牝馬限定とはいえ、昨今の流れを思えば、単に【ヴィクトリアM】の前哨戦には留まらない。
という見方で間違いないだろう。
人気2頭がワンツーフォニッシュ
素晴らしいレースを見せてくれたのは4歳馬の2頭だった。
デゼル&マジックキャッスルが1&2番人気に応えてワンツーフォニッシュ!
特に優勝したデゼルは重賞初勝利だ。
マイルを走るのはデビュー以来初めてだったが、見事なレースぶりだった。
鞍上の川田騎手も3週連続の重賞勝ち(4勝)
デゼル&川田騎手には心からの祝福を申し上げたい。
デゼルは上にいける
では、そのデゼルの今後について考えていこう。
管理する友道調教師は、デゼルについて「マイルがベストがどうかはわからない」と以前語っていた。
確かに、ここがマイル初挑戦という戦績を振り返っても、そういった考えが伝わってくる。もう少し長い距離向きだと考えているのだろう。
私たちも、今回のレースだけでは距離については何ともいえないが、それでも
かなりの活躍が見込める素材
という点だけはハッキリ申し上げたい。
その理由は?
やはり競馬は「調教」なんだ
重視したのは、レース後の友道調教師のコメントだ。
元々は3歳の3月にデビューした馬。
成長曲線に合わせて、無理せずに育ててきたことで、体質強化に成功したようだ。
さすがは、名将・友道調教師といったところか。
昨今の日本競馬界は、一部のずば抜けた馬を別にすれば、十年ほど前とは比べ物にならないほど能力拮抗、混戦だと言われる。
能力拮抗の中を抜け出すとすれば?
やはり誰よりもしっかりと調教を積むことしかないはずだ。
その点、デゼルは友道師いわく、調教がバンバンできる馬。
実際に、今年に入ってからのデゼルは、昨年とは別馬になったかのように、動き、馬体から迫力を感じる。
精神面も大舞台向き
また、古馬相手の重賞は初挑戦。
しかも1番人気でライバルからのマークが集中する立場。
決して簡単な条件のレースではなかったはずだが、全く臆することなく力を出し切れる精神的な強さも魅力。大舞台向きの馬と言えるだろう。
繰り返しになるが、現時点では距離適性に関してはハッキリとは言えないが
かなりの活躍が見込める素材!
この秋あたりは、牡馬相手のG1でも活躍しているかも!?楽しみだ。
マジックキャッスルもほぼ互角の評価で
さて、今回のレースでクビ差2着に惜敗したのがマジックキャッスル。
上がり3ハロン最速タイムをマークしていただけに結果は惜しい。
だが、内容においては互角の評価で良いだろう。
今回のレースは1&2着の2頭がハッキリと抜けていた。
そこで、2着マジックキャッスルを「未来の主役」としてご紹介したい。
2着マジックキャッスル
早速、レース後の大野騎手のコメントをご紹介したい。
実は大野騎手、翌日(日)の中山競馬において「1日4勝」の固め打ち!
乗れているはずの大野騎手だけに、個人的には【阪神牝馬S】の騎乗はもったいなかったように思う。
「勝ち馬とは枠の差」と語っているが、確かに内の4番枠が災い。
進路取りに苦労していたのは明らかだった。
将来的に2頭のどちらが上にいくか、という点については難しいが、今回のレースに関していえば、スムーズならば結果は逆だった可能性もゼロではないとみる。
ラストの脚も本当に際立っていた。
さて、順調ならば【ヴィクトリアM】だろうか。
前走までは2000Mでの好走が続いていたが、個人的にはマイルくらいが最も合いそうな気がする。
とにかくスムーズに走ることさえできたら!
本番でも馬券圏内まで!自信をもって未来の主役に指名する。
【阪神牝馬ステークス 2021】のレース後の関係者のコメント
レース後のコメント
1着 デゼル(川田将雅騎手)
「しっかりと自分の脚を使ってくれました。追い切りに一度跨って特徴をつかませてもらってその通りの競馬だったと思います。前半はこの馬のリズムを大事にしながら、終いの良い馬なのでそれを大事にと思いました。直線に入るまでしっかり待ちましたし、それから、動きを作っていきながらでした。すごく独特な走り方をする馬ですけど、無事にここまでたどり着くことが出来ましたし、能力は高いと証明してくれたと思いますのでこれからも無事に歩んでほしいと思います。(ヴィクトリアマイルに向けて)距離は大丈夫ですし、左回りに替わっても何ら問題ないと思います。良い内容で走り切ってくれたと思います」
2着 マジックキャッスル(大野拓弥騎手)
「久々のマイルでしたが、上手く対応してくれました。去年の秋より精神面が大人になって、操縦性というか、競馬のリズムが良くなっていました。勝ち馬とは枠の差でしょうか。そんなに負けていませんし、これからも良い競馬をしてくれると思います」
3着 ドナウデルタ(和田竜二騎手)
「スタートもそれなりに出てくれて、予定通りの競馬ですがやっぱり前半噛みますね。流れも遅かったし、1600mになると、前半流れてくれた方が競馬はしやすいと思います。折り合いがついて直線(前が)開いてくれてからスッと動いてくれました。牝馬同士ならやれそうな雰囲気があります」
4着 プールヴィル(三浦皇成騎手)
「体は結構増えて(+22kg)いましたし、休みが空いてのレースでした。その中でもしっかり放牧と厩舎が走れる状態に持ってきてくれていました。距離の延長や右回り、休み明けと課題はありましたが、しっかりいい形でクリアしてくれたのかなと思います。間違いなく馬は使って軽くなって良くなると思います。良いレースでした」
6着 イベリス(酒井学騎手)
「最後は脚が上がってしまいました。でも1400mなら・・・という走りを今日もしてくれました。この馬には時計も速すぎたというところもありました。せめて32秒台後半ならもう少しというところもありました。今日は他の馬もついてきましたしね。でも力をつけています」
7着 ギルデッドミラー(池添謙一騎手)
「好位のポジションを取れました。ハミのかかりが良くて、引っ掛かるところはありましたが、我慢できました。直線でスッと脚を使えたのですが、最後は同じ脚になってしまいました。もうひと伸び欲しかったです。前半の折り合いが大事だったと思います」
8着 ブランノワール(団野大成騎手)
「逃げた馬の直後で競馬をして欲しいという指示でした。スタートはスムーズでしたが、他に速い馬がいて、それほど行けませんでした。内々で脚を溜めて、直線では内の馬場が悪い所がありましたし、早めに進路を確保できていれば脚は使えてたと思います」
9着 リアアメリア(福永祐一騎手)
「前回ほどの入れ込みは見せませんでした。ゲートの中も悪い態度ではなく、スタートを切ってくれました。1着馬と2着馬を見る形で4コーナーまで運べました。どれくらい脚を使えるかと思っていましたが、使えませんでした。走れていない印象です。脚を使って敗れたわけでは無いので、他の手を考えないといけないのかなと思います」
10着 メイショウグロッケ(浜中俊騎手)
「この馬なりに頑張っています。1200mの時は重賞でも牡馬相手でも、良い競馬をしていました。1600mでは末が甘い印象で、伸び切れていませんでした。乗りやすいですし折り合いに不安はないのですが、結果を見ると、短い方が良いのかなと思います」
(via ラジオNIKKEI )
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